第二部 地震防災情報

  2.5 都道府県の被害想定一覧

区切りバー 

 いくつかの自治体では地震の被害想定調査が実施されています。
 想定されている地震は、過去の地震の再来や実際に存在する活断層が活動したときの地震など、具体的な地震がほとんどであり、被害想定とはひとたび想定した地震が発生するとどのような被害が発生するか推定し、防災対策の基礎的資料としょうとするものです。
 なお、自治体によっては地震発生の時期や時刻、風速などの気象条件、震源と大都市までの距離などの条件を変えて被害想定が実施されており、一般に、被害が大きくなるように条件が採用されています。
 

 東北(宮城県、山形県)
 関東(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)
 信越(長野県、新潟県)
 東海(岐阜県、静岡県)
 近畿(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県)

区切りバー

 各自治体の被害想定などの情報はほとんどインターネットから集めました。まだ、公表されていなかったり、あるいは公表されていてもインターネットで検索できていない場合も含まれると思われます。収集できた情報のみ、表2.4.1にまとめて示します。

表マーク 表 2.5.1 都道府県の被害想定一覧表
都道府県
(東北)
想定地震(*) マグニチュード 全壊または大破棟数 焼失棟数
(出火件数)
死者数 避難者数 その他(**)
宮城県 長町−利府断層帯地震 直下型地震 7.2 46,000 65,000
(1,000)
3,100 350,000
金華山沖南部地震 プレート境界型地震 7.5 18,000 38,000
(560)
1,300 140,000
山形県 庄内平野東縁地震 直下型地震 7.2 6,700 84
(43)
460 24,000
(ピーク時)
新庄盆地周辺地震 直下型地震 7.0 1,300 16
(12)
110 7,800
(ピーク時)
山形盆地西縁地震 直下型地震 7.2 12,000 120
(64)
780 9,900
(ピーク時)
長井盆地西縁地震 直下型地震 7.0 3,100 22
(17)
230 11,000
(ピーク時)
山形県西方沖地震 プレート境界型地震 7.7 490 9
(9)
44 3,400
(ピーク時)
津波による被害含まない
都道府県
(関東)
想定地震(*) マグニチュード 全壊または大破棟数 焼失棟数
(出火件数)
死者数 避難者数 その他(**)
埼玉県 南関東地震 プレート境界型地震 7.9 7,300 8,900
(127)
640 130,000
(ピーク時)
関東大地震の再来
今世紀中ごろの可能性が大きいといわれています。
東京−埼玉県境下地震 プレート境界型地震 7.2 17,000 44,000
(240)
1,500 420,000
(ピーク時)
西埼玉地震(昭和6年の西埼玉地震の再来) 直下型地震 6.9 7,800 22,000
(100)
430 12,000
(ピーク時)
綾瀬川断層による地震 直下型地震 7.4 120,000 140,000
(620)
9,000 1,300,000
(ピーク時)
千葉県 県北西部 直下型 7.2 8,500 40,000 3,400
県北東部 7,600 43,000 3,700
県西部 15,000 80,000 6,500
県中央部 18,000 8,700 7,300
元禄地震の再来 プレート境界型地震 8.2 28,000 48,000 10,000
関東地震の再来 7.9 24,000 28,000 4,800 1923年の関東地震の再来
東海地震 8.0 1,400 0 300
東京都

詳細
関東地震 プレート境界型地震 7.9 36,343 632,616
(758)
9,363 2,106,899
(1日後)
1923年の関東地震の再来
区部直下の地震 仮想プレート境界型地震
(フィリッピン海プレートの上面)
7.2 43,000 380,000 7,200 1,900,000
(4日後)
区部直下と多摩直下が示してあるがどこでも起こる可能性ある。
帰宅困難者は370万人。
多摩直下の地震 14,000 120,000 1,800 810,000
(4日後)
神奈川県 東海地震 プレート境界型地震 8クラス 20,000 2,200
(120)
230 32,000 津波の第一波は、地震発生後約30分後。
南関東地震 7.9 320,000 220,000
(990)
16,000 1,000,000 1923年の関東地震の再来。津波の第一波は、直後。
神奈川県西部地震 直下型地震 7クラス 34,000 5,300
(120)
600 41,000 津波の第一波は、相模湾西部では直後、三浦半島や湘南地域では10〜20分後。切迫性が指摘されている。
神奈川県東部地震 仮想直下型地震 7クラス 94,000 120,000
(430)
2,700 620,000
上縄・国府津−松田断層帯地震 直下型地震 8クラス 410,000 (1,500) 7,600 680,000 地震発生確率大、南関東地震を上回る神奈川県最大の災害になる可能性がある。
都道府県
(信越)
被害想定(*) マグニチュード 全壊または大破棟数 焼失棟数
(出火件数)
死者数 避難者数 その他(**)
長野県 糸魚川−静岡構造線(北部)地震 直下型地震 8.0 160,000 15,000 3,500 現在調査取りまとめ中
糸魚川−静岡構造線(中部)地震 直下型地震 8.0 牛伏寺断層を含む区間では地震発生確率大
信濃川断層帯地震 直下型地震 7.5
伊那谷断層帯地震 直下型地震 7.5 地震発生確率大
東海地震 プレート境界型地震 8.0 1,900 24 16,000
阿寺断層系地震 直下型地震 7.9
新潟県 秋田沖の地震 日本海東縁地震 7.6 0 0 40 970
新潟県南西沖の地震 日本海東縁地震 7.7 940 5
(5)
320 9,400
粟島付近の地震 日本海東縁地震 7.5 6,600 47
(47)
1,100 42,000 1964年(昭和39年)新潟地震の再来
下越地域の地震 直下型地震 7.0 36,000 11,000
(240)
1,200 230,000
中越地域の地震 直下型地震 7.0 16,000 2,800
(96)
350 89,000
上越地域の地震 直下型地震 7.0 11,000 3,400
(57)
590 44,000
都道府県
(東海)
想定地震(*) マグニチュード 全壊または大破棟数 焼失棟数
(出火件数)
死者数 避難者数 その他(**)
岐阜県 阿寺断層系を震源断層とする地震 直下型地震 7.9 50.000 99 1,300
跡津川断層を震源断層とする地震 直下型地震 7.8 21,000 25 270
関ヶ原−養老断層形を震源断層とする地震 直下型地震 7.7 80,000 760 2,500
関ヶ原断層を震源断層とする地震 直下型地震 6.9 21,000 24 290
静岡県
(第三次)
東海地震 プレート境界型地震 8 190,000 58,000 5,900
(冬5時)
1,200,000 予知がある場合の死者は1,470人
神奈川県西部地震 直下型地震 7 6,400 4,200
(冬18時)
260
(冬5時)
切迫性が指摘されている。
都道府県
(近畿)
想定地震(*) マグニチュード 全壊または大破棟数 焼失棟数
(出火件数)
死者数 避難者数 その他(**)
滋賀県 比叡断層地震 直下型地震 31,000 (140) 1,000
花折断層地震 直下型地震 9,900 (98) 190
柳ヶ瀬断層地震 直下型地震 7,700 (42) 180
関ヶ原断層地震 直下型地震 22,000 (79) 730
百済寺断層地震 直下型地震 32,000 (150) 1,000
京都府 花折断層地震 直下型地震 7.6 220,000 (520) 10,000 420,000
西山断層系地震 直下型地震 7.5 130,000 (390) 5,000 270,000
黄檗断層系地震 直下型地震 7.1 100,000 (290) 4,900 230,000
三峠断層地震 直下型地震 7.0 29,000 (90) 650 39,000
上林川断層地震 直下型地震 7.0 26,000 (85) 620 38,000
若狭湾内断層地震 直下型地震 7.0 800 (3) 30 1,900
南海地震 プレート境界型地震 8.4 0 (0) 0 0
大阪府 上町断層系地震 直下型地震 6.6〜7.3 280,000 (910) 19,000 850,000
生駒断層系地震 直下型地震 6.5〜7.2 230,000 (880) 13,000 530,000
有馬高槻構造線地震 直下型地震 6.9〜7.6 31,000 (170) 4,000 210,000
中央構造線の地震 直下型地震 7.2〜7.8 1,000 (45) 200 34,000
南海地震 プレート境界型地震 8.4 1,000 (97) 100 66,000
兵庫県 有馬−高槻断層帯〜六甲・淡路島断層帯地震 直下型地震 7.7 130,000 68,000
(480)
12,000 410,000 火災および死者は冬の18〜19時
山崎断層帯地震 直下型地震 7.7 54,000 4,400
(113)
3,100 200,000 同上
中央構造線断層帯地震 直下型地震 8.0 8,500 780
(18)
770 28,000 同上
日本海沿岸地震 直下型地震 7.3 1,700 560
(11)
110 5,100 同上
南海道地震 プレート境界型地震 8.4 640 8700
(49)
610 5,100 同上
 (*)注 活断層の活動によって起こる地震を直下型地震としています。
 想定地震は、直接将来の地震を予測するものでもなく、地震の発生時期が迫っていることを意味するものでもありません。更に、将来起こる実際の地震は、想定した地震と違う可能性があり、また、想定していないような被害が発生する可能性もあります。
 (**)注 地震推進本部では活断層の評価を行っており、今後30年間の地震発生確率(最大値)が3%以上の断層帯に対しては、「今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中では高いグループに属することになる」という相対的な評価が付けられています。そこで、想定地震が今後30年間の地震発生確率(最大値)3%以上の活断層に相当する場合は、「地震発生確率大」と表示しました。

 表 2.4.1によると、一つの都道府県で死者1万人以上と想定される地震は、関東では元禄地震や関東大地震であるプレート境界型の再来型地震であり、関西では京都府の花折断層地震、大阪府の上町断層系地震と生駒断層系地震、兵庫県の有馬−高槻断層帯〜六甲・淡路島断層帯地震など、活断層の活動による直下型地震になっています。

区切りバー

参考資料

東京における直下地震想定に関する調査報告書 東京都 1997年
東京における地震被害の想定に関する調査研究 東京都防災会議 1991年
地震被害想定調査の概要 宮城県総務部 宮城県ホームページ
山形県地域防災計画 第3章 予想される被害等の状況 山形県ホームページ
埼玉県」地震被害想定調査 埼玉県ホームページ
千葉県地域防災計画 第5節 想定地震と被害想定 千葉県ホームページ
神奈川県地震被害想定調査報告書 概要版 神奈川県防災局ホームページ
長野県地震対策基礎調査について 長野県ホームページ
第6節 地震の想定柏崎市ホームページ
岐阜県腫瘍かつ断層地震被害想定調査概要 岐阜県ホームページ 地域県民部危機管理室
第三次地震被害想定の概要 静岡県ホームページ 防災局防災情報室
新京都府総合計画 第2章 基本計画内の被害想定結果の概要 
大阪府地震被害想定調査の概要 大阪府ホームページ 
地震被害想定の概要について 兵庫県ホームページ 防災企画課・消防課

区切りバー

前頁
前頁
次頁
次頁
Home
先頭(目次)に戻る