第二部 地震防災情報

  2.3 その他の海溝型地震(地震調査研究推進本部) 

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     C 三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価
       平成14年 2002/7/31 地震調査委員会発表

        (但し、宮城県沖地震は、B 宮城県沖地震の長期評価として別途掲載)

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 長期評価として地震発生確率が発表された地震は、発生領域、地震の型や特徴などから次のように区分されています。

@ 三陸沖北部のプレート間地震
A 三陸沖北部の固有地震以外のプレート間地震
B 三陸沖北部から房総沖のプレート間大地震(津波地震)
C 三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのプレート内大地震(正断層型)
上記以外の地震
 D 三陸沖南部海溝寄り
 E 宮城沖地震
 F 福島県沖
 G 茨城県沖

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三陸沖北部から房総沖の対象領域(地図)
図マーク図 san-1 三陸沖北部から房総沖の評価対象領域
(地震調査研究推進本部 地震調査委員会)

【地震の区分と名称など】

 日本海溝沿いでは本州を載せる陸のプレートの下に太平洋プレートが沈み込んでいます。2つのプレート境界面が破壊することによって発生するプレート間地震を主体としていますが、時には太平洋プレートが破壊することによって発生するプレート内地震も起こっています。

 評価対象領域は地震の発生状況から図san-1のように区分されています。
 このうち同じ震源域で繰り返して発生するような固有地震は三陸北部を除いてほとんど知られていませんが、図san-1の領域内でプレート間地震が発生する可能性が大きいと考えられています。 
 三陸沖南部海溝寄りの領域は宮城県沖地震と連動することがあり、宮城県沖地震との関連に注意が必要です。

 昭和三陸地震津波は、「三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのプレート内大地震(正断層型)に分類されています。このタイプの地震が発生する具体的な領域は特定されていません。領域全体での発生確率と各領域に対応する発生確率の両方が示されています。

【特徴・過去の被害など】

 日本海溝は太平洋側沿岸から遥か沖合いの約200kmの距離にあるため、この付近でマグニチュードM8クラスの地震が発生しても体に感じる震動(震度)はあまり大きくないことが多いにもかかわらず、三陸北部から房総半島の太平洋岸は大津波に襲われることがあります。
 津波被害が発生した地震の代表としては、1896年(明治29年)の明治三陸地震津波(死者行方不明者:2万2千人)、1933年(昭和 8年)の昭和三陸地震津は(死者行方不明者:3千人)があり、いずれもマグニチュード8以上の巨大地震です。

 明治三陸地震津波は、「三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのプレート間大地震(津波地震)」に分類され、このタイプの地震の起こる確率は今後30年以内に20%と評価しています。
 昭和三陸地震津は太平洋プレートが破壊する正断層型の地震であり、このタイプのM8クラスの地震は他に知られていません。過去400年間に1回発生したことから発生確率が決められています。

 なお、文中のMは気象庁のマグニチュードを指します。


表@ 三陸沖北部のプレート間大地震
震源域の形態 陸側のプレートと太平洋プレートの境界面。低角逆断層型
前回発生年月日 1968/5/16(1968年十勝沖地震*
青森県を中心に死者52名、負傷者330名、建物全壊673棟
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:39.6年
平均発生間隔:約97.0年
地震後経過率:0.41
*1968年十勝沖地震:三陸沖北部(青森県東方沖)で発生した地震であり、千島海溝沿いのいわゆる十勝沖地震の発生領域での地震ではありません。
三陸沖北部で発生した地震でありながら十勝沖地震と命名されているのには途惑います。
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 ほぼ0〜0.4%
今後30年以内 0.2〜10%
今後50年以内 30%〜40%
地震の規模※ M8.0前後
評価時点は2009年1月1日現在
表A 三陸沖北部の固有地震以外のプレート間地震
震源域の形態 陸側の主にプレートと太平洋プレートの境界面。
低角逆断層型。
被害地震 1994年の平成6年三陸はるか沖地震:八戸を中心として被害が発生し、死者3名、負傷者788名、住家全壊72棟
発生間隔等 平均発生頻度は11.3年に1回程度。
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 60%程度
今後20年以内 90%程度
今後30年以内 -
地震の規模 M7.1〜M7.6
ポアッソン過程のため評価時点による確率の変化はない
表B 三陸沖北部から房総沖のプレート間大地震(津波地震)
震源域の形態 陸側のプレートと太平洋プレートの境界面。
低角逆断層型。
被害地震 1896年(明治29年)明治三陸地震津波:死者など少なくとも2万人。地震動による被害はなく、津波による被害
発生間隔等 三陸沖北部から房総沖の海溝寄り全域の平均発生頻度:400年に3回程度
三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのうち特定の200kmの領域:530年に1回程度。
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 7%程度(2%程度)
今後30年以内 20%程度(6%程度)
今後50年以内 30%程度(9%程度)
地震の規模※ Mt8.2前後
( )は特定の海域の値
ポアッソン過程のため評価時点による確率の変化はない
表C 三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのプレート内大地震(正断層型)
震源域の形態 太平洋プレート内部。正断層型。
被害地震 知られているのは1933年(昭和8年)の昭和三陸地震津波だけ 地震動による被害は少なく津波による被害が甚大 死者・行方不明者3,000名以上
発生間隔等 三陸沖北部から房総沖の海溝寄り全域の平均発生頻度:400〜750年に1回程度。
【特定海域】三陸沖北部から房総沖の海溝寄りのうち特定の200kmの領域:1600〜3000年に1回。
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 1〜2%(0.3〜0.6%)
今後30年以内 4〜7%(1〜2%)
今後50年以内 6〜10%(2〜3%)
地震の規模※ M8.2前後
( )は特定海域の値
ポアッソン過程のため評価時点による確率の変化はない
表D 三陸沖南部の海溝寄りのプレート間地震
震源域の形態 陸側のプレートと太平洋プレートの境界面。
低角逆断層型。
前回発生年月日 1897/8/5
津波により三陸沿岸に小被害
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:111.4年
平均発生間隔は105年程度。
地震後経過率:約1.07
宮城沖地震と連動する場合がある
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 30〜40%程度
今後30年以内 80〜90%程度
今後50年以内 90%〜98%
地震の規模※ M7.7前後
(M8前後)
( )は表Eの宮城県沖地震と連動した場合
評価時点は2009年1月1日現在
表E 宮城県沖地震
宮城県沖地震については別ページに記載。
宮城県沖地震のページにジャンプ
表F 福島県沖のプレート間地震
震源域の形態 陸側のプレートと太平洋プレートの境界面。低角逆断層型.。
複数の大地震が2日程度の間に続発(群発地震)
被害地震 1938年(昭和13年)の福島県東方沖地震
死者1名、負傷者9名
発生間隔等 平均発生頻度:400年に1回以下。
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 2%程度以下
今後30年以内 7%程度以下
今後50年以内 10%程度以下
地震の規模※ M7.4前後
複数続発
ポアッソン過程のため評価時点による確率の変化はない
表G 茨木県沖のプレート間地震
震源域の形態 陸側のプレートと太平洋プレートの境界面。低角逆断層型。
被害地震 最大の地震は1982年M7.0であるが被害なし
発生間隔等 平均発生頻度:21.2年に1回程度。
最新発生時期:0.7年前
項目 将来の地震発生確率
今後10年以内 ほぼ0%〜0.2%
今後20年以内 90%程度以上
今後30年以内 -
地震の規模※ M6.8程度
評価時点は2009年1月1日現在
※ 地震の規模Mの「程度」は、「前後」よりばらつき大きいことを示す。
 三陸沖中部については発生確率を評価するだけの資料がない(発生の可能性はかなり低い)ため、確率の評価は行われていません。
また、房総沖については大きな被害がなかったことから発生確率の評価は行われていません。

 地震調査研究推進本部の「海溝型地震の長期評価」にリンクします。
 
http://www.jishin.go.jp/main/p_hyoka02_kaiko.htm

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参考資料

三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 2002/7

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