第二部 地震防災情報

  2.3 その他の海溝型地震(地震調査研究推進本部) 

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     A 千島海溝沿いの地震活動の長期評価について
       
平成15年 2003/3/24 地震調査委員会発表
               2004/12/20改定

         
                地震発生確率の算定基準日は2009年1月1日現在
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 長期評価として地震発生確率が発表された地震は、発生領域、地震の型や特徴などから次のように区分されています。

@ 十勝沖のプレート間地震
A 根室沖のプレート間地震
B 色丹沖のプレート間地震
C 択捉島沖のプレート間地震
D ひと回り小さいプレート間地震(十勝・根室沖)
E ひと回り小さいプレート間地震(色丹・択捉島沖)
F プレート内地震(やや浅い地震)
G プレート内地震(やや深い地震)
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千島海溝沿いの評価対象領域(地図) 
図マーク図CH-1 千島海溝沿いの評価対象領域
(地震調査研究推進本部 地震調査委員会)

【地震の区分と名称など】

 千島海溝沿いでは北海道および色丹島・択捉島を載せた陸のプレートの下に太平洋プレートが沈み込んでいます。
 
 この地域の地震は、陸のプレートと太平洋プレートの境界面および太平洋プレート内で発生しています。
 プレート境界で発生する地震をプレート間地震といい、太平洋プレート内で発生する地震をプレート内地震と呼びます。

 マグニチュード(以下Mと略記する)8クラスの巨大地震であるプレート間地震の発生領域は図CH-1のように十勝沖、根室沖、色丹島沖、択捉島沖の4つに区分され、それぞれその領域で発生する巨大地震を十勝沖の地震、根室沖の地震、色丹島沖の地震、択捉島沖の地震と呼びます。

 評価対象となる地震はM8クラスのプレート間地震、ひと回り小さいプレート間地震およびプレート内地震で、プレート内地震は震源域の深さで区分されています。

【特徴・過去の被害など】

 評価対象領域で発生するM8クラスの巨大地震の平均発生間隔は約77.4年と比較的短い。
 比較的資料の整った1839年(江戸末期)以降では十勝沖の地震(1843年)で最大の人的被害が発生しており、死者は43人です。
 十勝沖の地震は「平成15年十勝沖地震」として発生したばかりであり、行方不明2人、石油タンク炎上などの被害が発生しました。

 ひと回り小さいプレート間地震やプレート内地震では大きな被害は発生していませんが、それでも1993年の「平成5年釧路沖地震」では死者2人、負傷者967人という被害が生じました。「平成5年釧路沖地震」はプレート内のやや深い地震です。

 なお、文中のMは気象庁のマグニチュードを指します。
 また、プレート間地震とはプレート境界型地震、プレート内地震とはスラブ内地震と同じ意味です。(第一部の「1.3 地震の型」を参照)


表@ 十勝沖のプレート間地震
震源域の形態 陸側のプレートと太平洋プレートの境界面。
低角逆断層型
震源域 十勝沖 図CH-1参照
前回発生年月日
被害
2003/9/26(平成15年十勝沖地震)
行方不明2、負傷844、住家全壊116
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:5.3年
平均発生間隔:約72.2年
地震後経過率:0.07
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 ほぼ0%
今後30年以内 0.2%〜2%
今後50年以内 20%程度
地震の規模 M8.1前後
根室沖地震と連動した場合はM8.3程度
評価時点は2009年1月1日現在
表A 根室沖のプレート間地震
震源域の形態 陸側のプレートと太平洋プレートの境界面。
低角逆断層型。
震源域 根室沖 図CH-1参照
前回発生年月日
被害
1973/6/17(根室半島沖地震)
負傷26、家屋全壊2、浸水275
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:35.5年
平均発生間隔:約72.2年
地震後経過率:0.49
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 3%〜8%
今後30年以内 40%程度
今後50年以内 80%程度
地震の規模** M7.9程度
十勝沖の地震と連動した場合は8.3程度
評価時点は2009年1月1日現在
表B 色丹島沖のプレート間地震
震源域の形態 陸側のプレートと太平洋プレートの境界面。
低角度断層。
震源域 色丹島沖 図CH-1参照
前回発生年月日
被害
1969/8/12
死傷者なし
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:39.4年
平均発生間隔:約72.2年
地震後経過率:0.55
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 6%〜10%
今後30年以内 50%程度
今後50年以内 80%程度
地震の規模** M7.8前後
(参考:MW8.2前後)
評価時点は2009年1月1日現在
表C 択捉島沖のプレート間地震
震源域の形態 陸側のプレートと太平洋プレートの境界面。
低角度断層。
震源域 択捉島沖 図CH-1参照
前回発生年月日
被害
1963/10/13
死傷者なし
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:45.2年
平均発生間隔:約72.2年
地震後経過率:0.63
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 10%〜20%
今後30年以内 60%程度
今後50年以内 80%〜90%程度
地震の規模** M8.1前後
(参考:MW8.5前後)
評価時点は2009年1月1日現在
 * 平均発生間隔:@〜Cの領域での発生間隔はどの領域でもほぼ同程度であると仮定した平均値
**地震の規模:「程度」は「前後」よりばらつきが大きいことを意味する
   MWはモーメントマグニチュード
表D ひと回り小さい規模のプレート間地震(十勝沖・根室沖)
震源域の形態 陸側のプレートと太平洋プレートの境界面。
低角逆断層型。
震源域 十勝沖から根室沖にかけての領域
図CH-1参照
被害 1915年 死者2
発生間隔等 平均発生頻度:17.5年に1回
 項目 将来の地震発生確率
今後10年以内 40%程度
今後30年以内 80%程度
今後50年以内 90%程度
地震の規模** M7.1前後
ポアッソン過程のため評価時点による確率の変化はない
表E ひと回り小さい規模のプレート間地震(色丹島沖・択捉島沖)
震源域の形態 陸側のプレートと太平洋プレートの境界面。
低角逆断層型.。
震源域 色丹島沖と択捉島を併せた領域
図CH-1参照
被害 死傷者なし
発生間隔等 平均発生頻度:10.5年に1回
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 60%程度
今後30年以内 90%程度以上
今後50年以内 90%程度以上
地震の規模** M7.1程度
(参考:MW7.7程度)
ポアッソン過程のため評価時点による確率の変化はない
表F 沈み込んだプレート内のやや浅い地震
震源域の形態 太平洋プレート内で発生するプレート内地震
震源域 具体的な地域は特定できない
深さは50km程度
被害 1994年(平成6年北海道東方沖地震) 負傷者473
発生間隔等 発生頻度:82.8年に1回
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 10%程度
今後30年以内 30%程度
今後50年以内 50%程度
地震の規模** M8.2前後
ポアッソン過程のため評価時点による確率の変化はない
表G 沈み込んだプレート内のやや深い地震
震源域の形態 太平洋プレート内で発生するプレート内地震
震源域 具体的な地域は特定できない 
深さは100km程度
被害 1993年(平成5年釧路沖地震) 死者2、負傷者967
発生間隔等 発生頻度:27.3年に1回
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 30%程度
今後30年以内 70%程度
今後50年以内 80%程度
地震の規模** M7.5程度
ポアッソン過程のため評価時点による確率の変化はない

 地震調査研究推進本部の「海溝型地震の長期評価」にリンクします。
 
http://www.jishin.go.jp/main/p_hyoka02_kaiko.htm

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参考資料

千島海溝沿いの地震活動の長期評価について 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 2003/3
千島海溝沿いの地震活動の長期評価について(第二版) 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 2004/12

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