第二部 地震防災情報

  2.3 その他の海溝型地震(地震調査研究推進本部) 

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     F 日本海東縁部の地震活動の長期評価
       平成15年 2003/6/20 地震調査委員会発表

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 長期評価として地震発生確率が発表された地震は、発生領域、地震の型や特徴などから次のように区分されています。

@ 北海道北西沖の地震
A 北海道西方沖の地震
B 北海道南西沖の地震
C 青森県西方沖の地震
D 秋田県沖の地震
E 山形県沖の地震
F 新潟県北部沖の地震
G 佐渡島北方沖の地震
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日本海東縁部の評価対象領域(地図)
図マーク図NI-1 日本海東縁部の評価対象領域
(地震調査研究推進本部 地震調査委員会)

【評価対象領域】

 地震観測および歴史記録からM7.5以上の地震が発生したことが知られている領域として北海道西方沖、北海道南西沖、青森県西方沖、山形県沖、新潟県北部沖が評価対象に挙げられています。
 また、地震観測および歴史記録からM7.5以上の地震が発生したことが知られてはいなくても地震性堆積物・津波堆積物の記録及び領域の大きさから判断して将来M7.5以上の地震が発生する可能性がある領域として北海道北西沖、秋田県沖、佐渡島北方沖が評価対象になっています。
 なお、北海道西方沖と北海道南西沖および北海道南西沖と青森県西方沖に挟まれた空白域はM7.5i以上の地震が発生する可能性は低いとして評価対象から除かれています。 

【地震のタイプなど】 

 日本海東縁部にはプレート境界があると考えられています。その境界は東西方向の圧縮力のために「歪み集中帯」と呼ばれる何条かの断層・褶曲帯が形成され、南北方向に延びています。
 歪み集中帯では東西方向の圧縮力を受けており、発生する主な地震は逆断層型のタイプです。

【特徴・過去の被害など】 

 日本海東縁部の地震の発生間隔は太平洋側のプレート境界で発生する地震に比べて比較的長いと考えられていますが、新潟県北部沖で発生した1964年(昭和39年)の「新潟地震」、青森県西方沖で発生した1983年の「昭和58年日本海中部地震」、北海道南西沖で発生した1993年の「平成5年北海道南西沖地震」など、最近大きな地震が連続して発生しています。
 地震発生確率からするとこれらの地震によって活動期は過ぎたかに見え、対象となる地震の発生確率はいずれも小さい値になっています。


表@ 北海道北西沖の地震
発生領域の目安
地震のタイプ
歪み集中帯で起こる逆断層型
具体的な地域は特定できない
深さは20km程度以浅
最新発生時期 歴史記録からは知られていない
2100年程度前 利尻トラフの地震性堆積物(タービタイト)の調査による
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:2100年程度
平均発生間隔:3900年程度
地震後経過率:0.54
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 0.002%〜0.04%
今後30年以内 0.006%〜0.1%
今後50年以内 0.01%〜0.2%
地震の規模 M7.8程度
評価時点は2007年1月1日現在
表A 北海道西方沖の地震
発生領域の目安
地震のタイプ
歪み集中帯で起こる逆断層型
最新発生時期および被害 1940年8月2日の神威崎沖の地震
地震動による被害はほとんどなかったが、津波による死者は10名
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:66.4年
平均発生間隔:1400〜3900年程度
地震後経過率:0.02〜0.05
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 ほぼ0%
今後20年以内 ほぼ0%
今後30年以内 ほぼ0%
今後50年以内 ほぼ0%
地震の規模※ M7.5前後
評価時点は2007年1月1日現在
表B 北海道南西沖の地震
発生領域の目安
地震のタイプ
歪み集中帯で起こる逆断層型
最新発生時期 1993年7月12日の北海道南西沖地震
死者・行方不明者230名、負傷者323名、家屋全壊601棟
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:13.5年
平均発生間隔:500〜1400年程度
地震後経過率:0.01〜0.03
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 ほぼ0%
今後20年以内 ほぼ0%
今後30年以内 ほぼ0%
今後50年以内 ほぼ0%
地震の規模※ M7.8前後
評価時点は2007年1月1日現在
表C 青森県西方沖の地震
発生領域の目安
地震のタイプ
歪み集中帯で起こる逆断層型
最新発生時期 1983年5月26日の日本海中部地震
死者104名、負傷者163名、住家全壊933棟・流出52棟
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:23.6年
平均発生間隔:500〜1400年
地震後経過率:0.02〜0.05
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 ほぼ0%
今後30年以内 ほぼ0%
今後50年以内 ほぼ0%
地震の規模※ M7.7前後
評価時点は2007年1月1日現在
表D 秋田沖の地震
発生領域の目安
地震のタイプ
歪み集中帯で起こる逆断層型
深さ20km程度以浅
最新発生時期 歴史記録からは知られていない
佐渡島北方沖堆積物の調査など
発生間隔等 平均発生間隔:約1000年以上
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 1%程度以下
今後30年以内 3%程度以下
今後50年以内 5%程度以下
地震の規模※ M7.5前後
ポアッソン過程のため
評価時点による確率の変化はない
表E 山形県沖の地震
発生領域の目安
地震のタイプ
歪み集中帯で起こる逆断層型
最新発生時期 1833年12月7日の庄内沖の地震
死者100名で津波が発生
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:173.1年
平均発生間隔:約1000年程度以上

地震後経過率:0.17以下
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 ほぼ0%
今後30年以内 ほぼ0%
今後50年以内 ほぼ0%
地震の規模※ M7.7前後
評価時点は2007年1月1日現在
表F 新潟県北部沖の地震
発生領域の目安
地震のタイプ
歪み集中帯で起こる逆断層型
最新発生時期 1964年6月16日の新潟地震
死者26名、負傷者447名、住家全壊1960棟
発生間隔等 前回から評価時点までの経過時間:42.5年
平均発生間隔:約1000年程度以上

地震後経過率:0.04以下
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 ほぼ0%
今後30年以内 ほぼ0%
今後50年以内 ほぼ0%
地震の規模※ M7.5前後
評価時点は2007年1月1日現在
表G 佐渡島北方沖の地震
発生領域の目安
地震のタイプ
歪み集中帯で起こる逆断層型
深さ20km程度以浅
最新発生時期 歴史記録からは知られていない
佐渡海嶺の地震性堆積物の調査より
発生間隔等 平均発生間隔:約500〜1000年程度
項 目 将来の地震発生確率
今後10年以内 1〜2%
今後30年以内 3〜6%
今後50年以内 5〜10%
地震の規模※ M7.8程度

※ 地震の規模Mの「程度」は、「前後」よりばらつき大きいことを示す。

 地震調査研究推進本部の「海溝型地震の長期評価」にリンクします。
 
http://www.jishin.go.jp/main/p_hyoka02_kaiko.htm

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参考資料

日本海東縁部の地震活動の長期評価 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 2003/6

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