絵1
家屋の倒壊と火災(救助と迫る火炎)
絵2 家屋の倒壊と火災
震災は家屋の倒壊に始まり火災によって拡大します。 過去には家屋の倒壊と火災の連鎖によって大震災といわれるような震災に至った例がありますが、現在においても地震に伴う火災は脅威です。
大正12年9月1日の関東大震災では火災が猛威をふるい、火災旋風が発生しました。避難路となる橋は焼け落ち、飛び火は川を横断しました。東京では火に追われて逃げに逃げても逃げ切れない人々が地震の発生から何時もたった後に焼死あるいは川に飛び込み溺死しました。
昭和2年の北丹後地震では倒壊家屋の中に閉じ込められて脱出することができず、生きながらに多数の人々が焼死しました。
2003年9月26日、襟裳岬東方沖でマグニチュード8.0の地震(平成15年十勝沖地震)が発生して行方不明者2名、負傷者849名、全壊住宅116戸という被害が生じ、震度は9つの町で最大震度6弱を記録しました。
この地震で震源から約200km以上離れた苫小牧市では震度5弱で一般の建物に被害らしい被害がなかったにも係わらず石油タンク群に被害が生じました。苫小牧市周辺にある千キロリットル以上の石油タンク249基のうち、170基に被害が出てそのうち2基に火災が発生しました。長周期地震動によりタンク内の液面が共振によって大きく揺れるスロッシング現象が生じたことが原因とされています。
これまでの地震や事故で石油タンクが炎上することはたびたびありましたが、いずれも単発的です。海溝型巨大地震では長周期地震動が発生しますが、この長周期地震動と石油タンクや超高層建築物あるいは長大橋などの大型構造物が共振するのではないかと懸念されています。
絵3のように数十数百の石油タンクが炎上し、海に流出すればすればどのようなことが起こるのでしょうか。
絵4は火災旋風を表現しています。
関東大震災の火災旋風の調査を担当した寺田寅彦*は稀有の現象と考えざるを得ないとしながらも江戸時代の大火の記録にはこのような旋風のあったことを想像させるようなものがあるとして、いくつか紹介しています。
調査結果として、
と述べています。
(現代かなに書き改めました。*寺田寅彦:東京帝国大学教授地震研究所所員で随筆家)
地盤災害のひとつに地震による砂地盤の液状化があります。
1964年(昭和39年)の新潟地震では液状化の発生により、昭和大橋の落橋や川岸町の県営アパート8棟のうち3棟が破壊を受けることなく傾いたり倒れたりしました。新潟地震では砂質地盤の液状化による被害が大きかったことから、液状化現象が地震災害として注目されるようになりました。
絵5は、
などの液状化による被害状況を表しています。