地震・防災関連用語集

カテゴリ:災害

液状化

地震の発生によって砂地盤が揺さぶられると地盤のせん断強度が失われて地盤が液体状になり、地盤によって支持されていた重いものは沈み軽いものは浮き上がり、砂や水が噴出します。この現象を液状化といいます。

新潟地震では液状化により顕著な被害が発生しました。昭和大橋の落橋や川岸町の県営アパート八棟のうち三棟が破壊を受けることなく傾いたり倒れたりしたのは液状化のためでした。大地震の際に液状化が発生することは古くから知られていましたが、新潟地震では砂質地盤の液状化による被害が大きかったことから、液状化現象が地震災害として注目されるようになりました。最近の地震での液状化による被害では、日本海中部地震でのライフラインの破壊、兵庫県南部地震での側方流動による護岸堤や構造物の杭基礎の破壊などが注目されました。

旧相模川橋脚

旧相模川橋脚

右の写真は、関東大地震(1923年)の際、地盤が液状化することによって浮上出現した「相模川橋脚」です。(「茅ヶ崎市教育委員会  国指定史跡 旧相模川橋脚 史跡整備に伴う確認調査概要報告書 2002」より)

液状化による被害の形態としては建物の沈下や傾斜、地中構造物の浮上、岸壁や擁壁の移動や転倒、堤防や堰堤および道路などの盛土材料自体の流動、地盤の側方流動が知られています。

液状化がしやすい地盤は、

  1. 砂の粒経が0.1mm前後で粒経が揃っており、
  2. 緩い状態で堆積して、
  3. 地下水で飽和されている、
  4. 地下20mより浅い範囲の、

地盤です。

液状化しやすい条件が揃った箇所としては、河川の下流部、デルタ地帯、旧河道、自然堤防の周辺部などの沖積地帯や埋立地が挙げられます。

なお、遺跡調査によると、礫層が液状化した例も数多く発見されており、また、兵庫県南部地震でも粒径が不揃いのマサ土(花崗岩が風化してできた土砂)の埋立地が液状化しており、激しい震動に襲われると砂質地盤ばかりでなく砂礫地盤でも液状化することがあります。

大都市が発達する以前の集落は水はけの良好な自然堤防や高台に発達していました。また、街道も同様に沖積低地を避けて通っていたため、地震に伴って液状化が発生しても目立った被害が発生しませんでした。

液状化による被害は都市化に伴う住宅や工場の沖積(完新世の堆積物よりなる)低地への進出とともに地震被害として拡大しています。

砂地盤を考えると、N値が大きいほど地盤は密で液状化しにくいので、N値を指標にして液状化しやすいかどうかを大まかに判定することができます。深さにもよりますが、N値が10よりも小さい砂は最も液状化しやすく、10~20の砂は他の条件が揃うと液状化する可能性があり、40以上の砂はほとんど液状化することはないといわれています。