地震・防災関連用語集
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科学的には、その土地の年平均気温より高い水温を持つ湧水と定義されます。
温泉は循環水が地下にあるときに地熱により温められ、周囲の岩石・堆積物との相互作用の結果、多様な化学成分を含むようになったものと考えられ、溶存成分だけではなくガスを伴うものが多くあります。同位体地球化学的方法により、温泉水に対する初生水の寄与はたかだか数%以内であることが明らかになっており、かけ湯といってもそのほとんどは循環水です。
温泉法は昭和23年に制定された法律であり、温泉を保護し、その利用方法の適正を図り、公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。温泉法で言うところの温泉は、地中から湧出する温水・鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、温泉源から採取されるときの温度が25°C以上あるいは一定以上の溶存物質等の物質を有するものと規定されています。なお、温度が25℃というのはこれ以上であれば普通の地下水と違って温度異常を有するという考え方に基づいています。
温泉によっては細菌にとって有害な溶存成分を含んでいるため、現代のような治療薬がない時代においては武士の刀傷などの化膿した傷の治療には絶大な効果があったものと思われます。温泉には体をリラックスさせる効果がありますが、他にも人体にとっても有害な成分が微量に含まれていることが体に刺激を与え免疫力を高める効果になっているのかもしれません。同様に、放射能泉ではラジウムなどの微量の放射能が細胞を活性化させて自然治癒力を高める効果(ホルミシス効果=低線量被爆効果)があることが知られています。
温泉は火山地帯に集中しており、現在の火山活動に伴う熱が温泉の熱源となっている場合が多いですが、温泉の一部では、新第三紀中新世のグリーンタフ活動や中生代白亜紀の花崗岩を生成した活動の熱が温泉の熱源となっている可能性があると考えられており、地下深部では数千万年にわたって活動時の熱が保持されているようです。一方、地下の平均的な温度上昇率は、100mで3°C程度であるので、地表の温度を20°Cとすれば、地下1000mの深度では50°Cの地下温度となります。最近開発された温泉では地下深部に賦存する地下水をくみ上げたものが多くあります。
大地震の前後に温泉の湧出量が変化したり大地震の後に突然温泉が湧出するような例があります。大正12年の関東大地震の前には熱海温泉の間欠泉が活動を停止するほど衰退していたものが地震の前日になって急に活発化し、地震直後はさらに激しい噴湯活動を示したと言われています。