地震・防災関連用語集

カテゴリ:地質年代と地層

氷期と間氷期

地球の温度環境を大きく分けると氷河時代と無氷河時代に分けられ、氷河時代にあって氷河が拡大した時期を氷期といい、氷期と氷期との間の温暖で氷河が縮小した時期を間氷期といいます。

新生代に入ると南極大陸が他の大陸から孤立し、南極大陸を廻る環南極海流が成立することによって南極大陸が寒冷化し、氷河時代呼ばれる時代に入りました。氷河時代でも寒冷な氷期と比較的温暖な間氷期があり、氷期と間氷期を繰り返しました。最終氷期は約1万年前に終わり、現在は間氷期に相当しています。最終氷期以後の温暖化に伴って氷河が縮小し、海水準が上昇しました。この海進を縄文海進と呼んでいます。

最終氷期とそれ以後の間氷期のおよその境界は地質の時代区分では第四紀の更新世と完新世の境界(約1万年前=1.17万年)にほぼ対応し、旧石器時代と新石器時代・縄文時代の境界(1万数千年前)にも対応します。したがって、新石器時代・縄文時代から現在までの文明は、最終氷期以後の温暖化とそれに伴う環境変化ともに形成されたことになります。

氷河が発達し、地球上を覆う氷河の面積が増えると太陽からの熱エネルギーを反射しやすくなることからますます気温が低下します。氷期には大陸に厚い氷床が発達し、山地を削り広大な平野が形成される一方で、間氷期には氷が溶けて海水面が上昇します。海面の変動は、海峡・水道の断続や海岸地形の変化を引き起こし、動物の移動や植物の分布に大きな影響を及ぼしました。

氷期と間氷期の気候変動には2.3万年、4.1万年、10万年の周期変動が認められており、それぞれ歳差運動、地軸傾きの変化、地球公転軌道の離心率の変化に対応しています。これらの3つの働きによって、地球が受ける日射量が周期的に変化するとする説をミランコビッチ・サイクルといい、日射量の極小期と極大期が氷期と間氷期に当たるといわれています。実際にミランコビッチ・サイクルの影響を受けていることは確かであっても、これだけで過去の気候変動を説明することは困難であり、未解決の問題があるとされています。