地震・防災関連用語集
カテゴリ:地形
土砂などの堆積が盛んに行われている場所には、河川が海に注ぐ場所と山地から平坦な地形にさしかかる2つの場所があります。
洪水ともなれば渓流を下る激流は土砂や小石を巻き込みながら濁流となります。山間部を抜け谷の出口から平坦な地形にさしかかると河床勾配が急減するために流速が低下します。運搬力を減じた濁流は粗粒な堆積物(砂礫)を堆積させつつ一筋の流れは幾筋もの流れとなって放射状に分流します。この堆積物の分布が谷の出口を扇の要とする扇の形に似ていることから、このような場所を扇状地と呼んでいます。
また、扇状地は土石流の堆積場所でもあり、時として身のたけを越えるような岩石が堆積することもあります。
谷の出口に存在する扇状地の多くは現在の河川の流れによって形成された最も新しい堆積地形の1つであるので、現在の地質時代に形成された固結していない地盤である意味合いをこめて沖積扇状地ともいいます。
扇状地面の傾斜は、砂礫の大きいほど、流水量の少ないほど急になります。扇状地は透水性の大きな砂礫でできているため、通常時は谷の出口で伏流し、扇状地の末端部で湧水していることが多くなります。扇状地は水はけが良く、支持力も大きいため、構造物の基礎としては良好な地盤になりますが、土石流に遭遇する危険があるので注意が必要です。