地震・防災関連用語集
カテゴリ:災害
豪雨などによって斜面が崩壊して渓流に落ち込むと、土砂や渓流の堆積物が流水とともに急速度で流れ下る現象が生じることがあります。これを土石流といい、道路や橋梁、人家を押し流すことによって土砂災害が発生することがあります。
土砂の移動形態として、固体(土砂)と気体(空気やガスなど)との混相流や、固体(土砂)と液体(水)との混相流がありますが、土石流は、固・液混相流であり、通常の流水で運搬される土砂量より遥かに大量の土砂が流出します。土石流の流れの特性や堆積の特性によって、砂礫型土石流、泥流型土石流、土砂流に別けられます。
渓流を下る土石流(絵)
砂礫型土石流の場合は先端部に巨礫が集まっており、直進性が強く、先端部の巨礫による衝撃により大きな破壊力を伴います。先端流速は数m/sであり、しばしば直径2~5m程度の巨石が含まれています。
右の絵(「十津川水害と北海道移住」より)は急速度で渓流を下る砂礫型土石流を描いています。先端部に巨礫が集中し、先端部の後には液状の土砂(泥流や土砂流)が後続流として伴います。
土石流の流下速度が低下して堆積を開始する場所は、谷の出口、扇状地の頂部、支流の合流点、狭窄部の出口、地形勾配が10度以下のところなどになります。
活火山地域で発生する泥流型土石流は、より勾配の緩やかな場所まで流下するので、危険区域は下流側に拡大します。
人家五戸以上あるいは学校、病院などの重要建物があるという条件の土石流危険渓流は全国で約8万渓流に及んでいます。土石流災害を回避するためには、砂防ダムのような対策工の他に、危険地域の住宅の移転や住宅の増加防止対策が必要であり、第一には、危険であるとの認識が重要です。