地震・防災関連用語集

カテゴリ:地形

崖錐

絵 崖錐

急崖や急斜面の崖下に形成される円錐状の堆積地形を崖錐(右の絵を参照)といいます。崖錐は急崖や急斜面上の風化岩片が落下して形成された地形であり、さまざまな粒径の物質(岩塊~土砂)が不均質に混じり合った崩土よりなります。

崖錐上を歩くと岩塊が転がり落ちるような場合や1歩進むと半歩ずり落ちるような状況を呈することがあるように、極めて不安定な斜面であって、末端部が侵食されると容易に崩壊を起こします。崖錐上端部付近の盛土や下端部付近の切土は崖錐の崩壊を促す結果につながること、トンネルや構造物に対しても不安定な地盤であることから、土木や地質の分野では注意を要する対象となります。

崖錐を構成する粒子は流水によって長い距離を運搬されてきた堆積物とは異なり、上部斜面から短距離を移動することによって堆積した岩塊や風化土砂であるため、一般に角ばっており、空隙が多いのが特徴です。空隙が大きいために透水性が大きく、雨水や表面水は地下に浸透して、崖錐が形成される以前の地表に沿って流れることが多くなります。このため、崖錐の上部で地下水が乏しいのに対して、末端部では湧水が認められることがしばしばあります。

崖錐斜面の上部は礫径が小さいのに対して、下部は礫径が大きい岩塊が多く、また、崖錐を構成する堆積物が硬い岩塊や礫である場合は軟らかい場合に比べて急斜面を形成する傾向があります。

一般に崖錐は岩塊や岩片の供給および堆積物の移動に加えて水分が少ないことが重なり、植物にとって過酷な環境です。