地震・防災関連用語集

カテゴリ:地震

緊急地震速報

緊急地震速報は気象庁による速報システムです。同様なシステムには新幹線をいち早く減速あるいは止めようするJRの早期警報システム「ユレダス」やその改良型が運用されています。

震源から放射される地震波にはP波とS波がありますが、両者の伝播速度の違いから、最初に振幅の小さいP波が到着し、その後に振幅の大きなS波が到着します。大地震の場合、このS波が被害をもたらします。

緊急地震速報は震源に近い観測点にP波が到達すると観測点では最初の2秒間のデータを用いて観測点から震央までの距離や最大振幅、マグニチュードなど(単独観測点処理)が算出され、直ちに気象庁本庁に送信されます。気象庁では受信した複数の観測点のデータを用いて震源やマグニチュードを算出(複数観測点処理)し、各地の震度や地震波の到達時間が計算されます。計算結果が緊急地震速報の発表条件、または発信の条件を満たすと緊急地震速報が対象者一般に発信されされます。これらの震度予測処理と情報作成処理は次々と入る新たな情報を基にして逐次修正・発信されます。

気象庁は21日、地震発生直後に大きな揺れが来るのを事前に知らせる「緊急地震速報」の一般提供を10月1日から始めると発表した。これに合せ、NHKはテレビ、ラジオ放送で速報を流す。9月頃に始める予定だったが、混乱を避けるために周知・広報の期間を十分に設けて実施することにした。
速報は、地震の小さな揺れ(初期微動)をとらえて大きな揺れが来る前に知らせるシステム。鉄道事業者やゼネコンなどは昨年8月に先行導入しており、一般提供の時期が焦点だった。緊急地震速報 10月から (2007年6月22日読売新聞より)

距離と伝播時間の関係

震央からの距離と地震波の伝播時間の関係

緊急地震速報が発信されるのは震源の近くの複数の観測点で既にP波が到達しており、このP波に後続するS波が秒速3km程度で伝播・接近している状況下です。直下型地震のように震源が近い場合は緊急地震速報が発信されても、人が地震に対処するような時間的余裕はありません。あるいは、本格的なS波の来襲後に緊急地震速報を受信する場合も予想されます。

右の図は震源の深度を20kmとした場合の走時曲線の例で、震央からの距離と地震波の到達時間との関係を示しています。この図によると、震央付近(震央から10km以内)では直下から地震波が放射されるために、震央からの距離にあまり関係なくほぼ同時に地震波が到達することを示しています。この場合、P波が到着してからS波が到着するまでの時間(初期微動継続時間)は3秒程度です。P波が到着してからS波が到着するまでの時間は震央から離れるほど時間的余裕が出てきますが、震央から震源からたとえば80km離れていても10秒程度しかありません。自宅にいてできることといえば、家族に大声で注意を喚起すること、火を消すこと、ドアを開けること、後はより安全な場所で身構えることくらいでしょう。

緊急地震速報は震源からある程度離れた位置にいる人にとっては有用ですが、直下型地震の場合、震央付近の最も被害が集中する地域では緊急地震速報が間に合わないという現実があります。

参考資料

緊急地震速報の概要や処理手法の関する技術的参考資料 気象庁地震火山部