地震・防災関連用語集

カテゴリ:地震

P波とS波

地震によって震源から放射される地震波にはP波とS波があります。

震源から離れた位置で地震波を観測すると最初に観測されるのがP波(Primary Wave=最初の波)で、P波が継続しつつある中で続いて観測されるのがS波(Secondary Wave=第二の波)です。P波とS波はPrimary WaveとSecondary Waveの頭文字をとって名づけられており、P波とS波という名称は地震波の伝播速度の違いに由来しています。

地震動を感じたとき、最初にカタカタと揺れる震動あるいは突き上げるような震動と表現されるのがP波であり、P波を感じてからしばらくの後にゆさゆさと大きく横方向に揺れるのがS波です。P波を縦波といい、S波を横波とも呼びますが、縦波と横波という呼び方は人が地震動を縦に感じるか横に感じるかという揺れの方向を意味しています。

さらに、P波とS波は疎密波とねじれ波とも呼ばれることもありますが、地震波の伝播媒体の運動を現す物理的な表現です。(☆☆☆ P波=縦波=疎密波、S波=横波=ねじれ波 ☆☆☆)

P波とS波の伝播速度は伝播媒体(岩盤や地盤)の弾性率や剛性率などによって決まり、一般に地殻内では硬くて亀裂の少ない地下深くの岩盤ほど伝播速度は大きくなります。ごく浅い部分を除いた地殻内でのP波の伝播速度は毎秒6~7キロメートル程度でS波の伝播速度は毎秒3.5~4.5キロメートル程度です。どのような条件であっても必ずP波の速度がS波の速度よりも速いことから、震源から最初に到達する波は常にP波です。

ある観測点にP波が到達してからS波が到達するまでの時間をS-P時間あるいは初期微動継続時間といいます。S-P時間は震源からの距離に比例するので震源距離を概算するのに用いられることがあります。

実際の震源決定は多数の観測点で得られるP波の到達時刻をコンピュータで処理することによって求められ、地震発生から数分以内に決定されています。

P波を検知して直ちに警報を出して破壊的なS波の到達に備えようとするシステムにJRの早期警報システム「ユレダス」や気象庁の緊急地震速報(平成19年10月1日から一般提供が始まる)があります。

2004年(平成16年)10月23日に発生した新潟県中越地震では走行中の上越新幹線「とき325号」が脱線しました。目撃者によると火花に包まれるように走行しながら停止したといわれています。一歩間違えば新幹線の正面衝突さえ危惧されるような状況ではありましたが、幸いにも大事に至りませんでした。新潟県中越地震は直下型地震であって震源が近いことからP波到達後3秒間でS波の本格的な地震動が到達しましたが、それでも「ユレダス」の改良型がP波を検知してから1秒間で警報を発して自動緊急停止が作動していたといわれています。