地震・防災関連用語集

カテゴリ:災害

斜面の崩壊

日本は国土の76%が山地または丘陵地であるという地形条件、梅雨や台風などの時として豪雨をもたらす気象条件、脆弱な地質条件など斜面が崩壊する条件が揃っており、斜面の崩壊は宿命的とさえいえます。いつどこの斜面が崩壊するかは人智を超えた領域を含んでいますが、これまでの多くの斜面崩壊の事例から大まかには危険な斜面と安全な斜面を区分することはできます。

崩壊が生じやすい斜面

  1. 斜面の傾斜が30°~50°である場合が多い。
  2. 凹地形の斜面(谷型斜面)に多い。
  3. 斜面勾配が変化する変わり目(これを遷急点といい横のつながりを遷急線という)より下の斜面に多い。
  4. その他、地質構造と関係した流れ盤側の斜面、地下水の湧水となる谷地形の先端(谷頭部)周辺など。

一般に、斜面崩壊の土砂は遷急点までの高さの2~3倍の距離まで崩れ落ちることが多いので、斜面末端部からこれ以上の距離を保って宅地を選ぶ必要があります。

国土交通省では、

  1. 傾斜が30度以上、
  2. 高さが5m以上、
  3. 傾斜地の下に5戸以上の人家がある、

という3つの条件に当てはまる危険箇所(急傾斜地崩壊危険箇所Ⅰ)を拾い出していますが、このような箇所は全国で約11万箇所以上あります。

斜面崩壊による直接的な災害としては家屋の倒壊や埋没および人の死傷あるいは道路などの破壊・埋没などですが、崩壊土砂が渓流へ流れ込むことによって土石流が発生しやすくなり、ときには土石流の発生によって下流域まで災害が拡大することがあります。土石流による災害としては道路や家屋の破壊、河岸の侵食や洗掘、堆積による河床の上昇やこれに伴う河川氾濫などがあります。

降雨と斜面崩壊との関係では、24時間雨量では200mm、あるいは1時間雨量では20mm以上になると斜面崩壊率が急増する傾向があるといわれています。