地震・防災関連用語集

カテゴリ:災害

地すべり

山地や丘陵などの斜面で地塊が下方あるいは側方に移動する現象を崩壊といいますが、ある種の崩壊を一般の崩壊と区別して地すべりと呼んでいます。

地すべりは一般に徐々に移動を生じ、その速度は比較的緩慢であり、1回の滑動で安定することなく再発する特徴があります。また、地すべり土塊は原形を保ったまま滑動する場合が多く、共通の地質状況下で多発しています。

地すべりは粘土と深く関わっており、粘土が地下水の作用を受けるとその強度が低下するとともに間隙水圧が増大することになり、粘土中でセン断破壊が生じることによって地すべりが発生します。

地すべりが発生して地塊が移動・堆積することによって、元の地形より急な斜面や緩斜面など特徴的な地形が形成されます。山間地での緩斜面は地すべりが繰り返し発生することによって生まれた場合が多く、緩斜面上部に池を伴う場合もまれではありません。このような場所は狭いながらも米が作れること、宅地として利用しやすいことから集落が形成されることがあります。従って、地すべりが再発した場合、そこには集落が存在する可能性が大きく、結局のところ、地すべりは住宅・宅地、耕作地などを損壊させるために、人の生活基盤と大きな関わりを持つことになります。また、地すべりにより土砂が渓流に流れ込むと土石流の原因となり下流域の災害に結びつので、広域的な視野での対策が必要になります。