地震・防災関連用語集

カテゴリ:災害

深層崩壊

風化岩盤もろともに崩壊する深層崩壊

山地斜面は一般に地表から深さ方向に土層、風化岩盤、未風化岩盤が漸移的に分布しますが、崩壊を区分すると岩盤上に分布する風化土砂や崖錐堆積物などの表層のみが崩壊する表層崩壊と深層の風化岩盤もろともに崩壊する深層崩壊に分けられます。

表層崩壊の深さは0.5~2m程度であるのに対し、深層崩壊の場合は時には数10mに達します。深層崩壊は深さが深いことから崩壊の規模が大きいことが特徴であり、多量の土砂や岩塊が斜面を流下するため、集落全体を埋没させたり、河川を閉塞させるようなことがあります。さらに二次的には堰止湖による増水と決壊に伴う洪水や土石流の発生などを伴うことがあります。

歴史に残るような崩壊は深層崩壊であり、豪雨や融雪あるいは地震が引き金となって発生しています。豪雨の例としては明治22(1889)年の十津川水害(奈良県)があり、大規模の深層崩壊が発生して崩壊土砂が天ノ川や十津川を閉塞しました。地震の例としては昭和59(1984)年の長野県西部地震に伴う御岳山南斜面の崩壊があります。

深層崩壊の崩壊面(すべり面)は風化岩盤中の不連続面であり、豪雨時のように地下水が岩盤内に集中すると滑り落ちようとする力が増大し、その力が岩盤の強度を越えると岩盤の不連続面を境にして一気に滑り落ちます。岩盤の不連続面は岩盤の変形によって形成されたものであり、長い年月に亘る重力や地下水などの影響によるものと考えられております。なお、崩壊深度が深くても、ゆっくりと断続的に滑る崩壊は地すべりと呼ばれ、深層崩壊とは区別しています。