地震・防災関連用語集

カテゴリ:都市機能

制震・免震

耐震とは建物を丈夫に造ってゆれながらも地震動に耐えることであり、制震や免震は建物が地震のエネルギーを吸収したり伝わるのを抑えたりすることをいいます。

地震によって建物が倒壊する主な原因に地震動(地盤の震動)と建物の固有周期が一致して、建物が共振する現象があります。建物が共振すると建物の揺れは増幅され、時間の経過と共に建物の揺れは増大します。木造住宅や中低層の建物の固有周期は0.2~0.5秒程度ですが、直下型地震などの一般的な地震はこのような周期の震動からなるので建物は地震動を受けて共振しやすい傾向があります。一方、海溝型の巨大地震の場合は周期数秒の長周期地震動を含んでいるため、震源域から距離が離れていても高層の建物に共振現象が生じるのではないかと懸念されています。高層の建物は強い風でも揺れやすく、建物に被害が生じるような揺れでなくても人は船酔いに似た不快感を生じることがあります。高層の建物では風や地震による建物の揺れを防止するために制震装置が設置されます。建物の頂上部に建物の固有周期と同じ重量物を載せておくと重量物は建物の揺れの方向と反対の方向に動いて建物の揺れを抑える効果があります。さらに建物に設置した地震計からの信号によって重量物の移動を制御すれば建物の揺れを効果的に押さえることができます。また、壁や梁にダンパー(減衰器)を挟んで建物の揺れを抑えます。このように風や地震による建物の揺れを吸収して共振が生じても揺れを増大させないように抑えることを制震といいます。

地震計はバネに吊り下げられた重りが震動に対して動かないことを利用しており、重りが動いても制動が働いてできるだけ地面の震動を忠実に記録できるように工夫されています。地震計の記録とは動く地震計の外枠(台座または収納ケース)と動かない重りとの相対的な運動を表しています。

地震計の重りと同様に震動から逃れることを免震といい、地震計のバネに相当するのが積層ゴムで制動装置がダンパーです。免震装置は地震と共振しやすい中低層のビルから適用が始められ、戸建住宅にも徐々に普及してきています。

免震住宅では免震ビルの積層ゴムに代わって免震支承(転がり支承あるいは滑り支承)が使用されています。免震を共振の立場から見ると、積層ゴムや免震支承に支持された建物はその固有周期が長くなり、一般的な地震動には共振しなくなります。

なお、破壊的な震動は横揺れであること、および建物は上下方向の震動に比べて横方向の揺れに弱いことから制震・免震は横方向の揺れを対象としています。