60歳の区切りイベントとして四国遍路をすることは2年前から決めていたこと。 その前段として、松本から東京までの徒歩にトライしたのだ。 今年60歳を迎え遍路に行こうという気持ちに変わりはないのだが、いまいち四国に出かけようという心の盛り上がりがない。
四国路は3月から5月の連休明けまでは相当に込み合うということだったので、そこは避けようと考えていた。ではいつスタートするか。踏ん切りがつかない。本当に1000キロ以上の距離を歩けるだろうか。体力的に自信がないというのが主たる理由。最近腰の調子も良くない。 3月が過ぎずるずる4月も過ぎていく。5月に入りこれではならじと意を決する。 5月後半には出発するんだと自分に言い聞かせる。
まず、距離に対する自信をつけるため、20キロのウォーキング大会に出る。ついでだから5,6キロの荷物を背負いながらにする。案の定、途中から腰の按配が悪くなる。歩くにつれ左腰が痛くなる。それでも完歩はできた。問題はその痛みを翌日に持ち越さないかどうか。翌朝起きてみると、多少の痛みは残るが歩けない状態ではない。
第一ハードルはクリア。
次は連日の歩行に耐えられるかどうか。20キロ、30キロを連日歩く自信はないが、とりあえず近くの湖沼まで往復8キロ程度をできるだけ毎日歩いてみることにする。適度な上りもありトレーニングにはちょうどいい。1週間ほど続けたがこれもさしたる問題はない。
あとは山登り。10数年前から心臓の機能が完調ではなくなった。体調の悪いときは、歩道橋を上るだけでも心臓がアップアップすることがある。山登りの自信はない。それがゆえに東京まで歩いたときも笹子峠はパスした。しかし、あの程度の峠道が歩けないようでは遍路はおぼつかない。なにしろ遍路道では多くの山や峠が待っている。 というわけで天気のいい日を見計らい笹子峠に出かけた。甲斐大和から笹子まで、10数キロの道のりだ。 おっかなびっくりで歩き始めたが、べつだん心臓はなんともなさそう。それでも慎重を期しながら、とうとう1095mの峠のトンネルにたどりつく。やれやれである。 最終ハードルもクリアーしたみたいだ。 これで出発の条件は整った。遍路に出かけると最終決定をしたのは出発3日前のことだった。
蛇足 必要な事前トレーニングは個人差が大きいが、普段あまり歩いていない人であれば2~3ヶ月かけるのが望ましい。 歩行距離、連日の歩行、山登り、荷物を背負った歩行、それに悪天候の対策など。これらに対処するには2~3ヶ月かけてトレーニングしておけばかなりの自信になると思う。
そんなわけでばたばたした準備の中で出発した。したがって88ヶ寺に関する知識もほとんど持たず、もちろん番外の寺やルートに関する知識など皆無に近い状態で出かけることになった。別格のお寺があるなんてことは歩き出してしばらくしてから知った。まったくお恥ずかしい次第です。 |