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国生み神話の意味


古事記の物語りの中で人格をもった神が初めて登場する場面はイザナギとイザナミが国生みをする場面です。この場面では古代の夫婦の契りかたの常識が映しだされています。


男の方から声をかけなくてはうまく子作りができないという場面なんですが、これは男の方からアプローチしなくてはいけないという古代の結婚観が表れているのではないでしょうか?つまり夫婦の主導権は夫が握るということです。


イザナギとイザナミの二柱の神の名前は「凪ぎ」と「波」から取られた名ではないかと考えられています。これは本来この神が海の神だった証拠でもあります。つまり海人の祭る神です。


さて、この国生み神話なんですが、類型神話の中で南方系と呼ばれるものとよく似ています。それは「矛で海を掻き混ぜると島ができる」という設定です。古事記の編纂者は瀬戸内海に伝わる海人の伝承を自分達の祖神の神話に組み入れたのです。


日本神話の中には南方系と北方系そして海人、山人の神話が型を変えて存在しているのです。これはそれらの人々が大和朝廷の傘下にはいったという事を表しているのだと思います。


記紀編纂者は類型神話に祖神の系譜をあてはめて、一つの壮大な神の叙事詩を作りあげたのです。


何故そんな事をする必要があったかという問題があります。それは大陸や半島に負けない歴史を持つ国であるという事を知らしめたい、という事が一つ。そして大和朝廷の天皇こそが日本の正当な統治者であるという証明をするためなのです。


いわゆる万世一系伝承をつくりあげるために必要だったのです。日本神話から類型神話の部分を抜き取ると、そこには本当の古代日本があるのではないかと考えています。