化学療法

乳房温存療法               ガイドライン
                               2005年版

乳癌の手術についての説明(乳房温存療法)

 乳癌の治療は、癌腫を体から取り除くことが第一で、まず、手術療法を考慮します。手術療法には、おもに乳房切除術と乳房温存手術の2種類があります。

 今回、乳癌に対して、乳房温存手術を施行します。腫瘍直上の皮膚を紡錘状に皮膚切開し、癌腫を周囲2 cmの正常乳腺とともに切除します。乳腺切離断端を手術中に迅速病理診断し、癌細胞の完全にない事を確かめます。ある場合には、ないところまで追加切除をしますが、乳腺全体を取らなければ取りきれない場合もあります。また同時に、腋窩リンパ節郭清を行います。腋窩リンパ節は、術後の予後と治療方針を決定する上で重要です。

 術後の創部皮下にリンパ液貯留を防ぐため、腋窩と前胸部皮下に廃液チューブを留置し、吸引バッグに接続し、持続吸引します。術後廃液が少なくなれば、抜去します。約3〜4日です。

 手術に伴う合併症としては、創部出血、創下リンパ液貯留、肩関節周囲炎・運動制限、患側上肢浮腫などがあります。本人のリハビリにより予防できるものもあります。

 術後、病理組織診断によって、今後の治療方針を決定します。

@組織型:充実型、浸潤型、硬癌(スキルス)
A腋窩リンパ節の転移の有無
B女性ホルモンの感受性。
C乳腺切離断端の癌細胞の有無

 この4点に基づいて、追加療法(癌化学療法・放射線療法)を行うかを決定します。術後6日目に病理組織診断結果で出ますので、家族と共にご本人に説明します。

 ホルモン剤を全員の方が術後1日目から服用します。この薬は、女性ホルモンが乳腺に働くのを阻止する作用を持っています。子宮にも多少なり作用しますので、分泌等があるようでしたら、婦人科に受診してもらいます。

 入院してから手術・術後・退院までの予定は、すべてクリニカルパスに沿って行います。別紙説明書を元に、看護婦から詳しい説明があります。

 まずは手術を乗り越えることが第1です。リハビリを含めて、辛いことが多くありますが、頑張りましょう。