以下のコンテンツは、Chaosium社の"Call of Cthulhu"サプリメント
"Ramsey Campbell's Goatswood and Less Pleasant Places"
におけるデータを翻訳したものです。
グラーキの黙示録:
11巻からなる手書きの手稿本│9巻からなるフォリオ版│12巻からなる手書きの手稿本
キャンベル神話における呪文:
バイアティスの追放│ムナガラーの招来/退散│墓所に群れなすものとの接触│タフ=クレイトゥールの逆角│飛行│シャンを追い出す
複数巻からなる、未だ完結していないこの書物には、いくつかの版が存在します。個々の巻は、グラーキの崇拝者達に授けられた予言、知識及び命令について詳述しています。各巻においてはこの教団に関する様々な主題が扱われ、それぞれに関連する呪文が収録されているのです。
英語、複数の無記名の著者、19世紀初期。この11巻からなる版は手書きで書かれており、部分的に他の書物からの複写も含まれています。この書物は極めて珍しいものです。正気度ポイント喪失は1D10/2D10。〈クトゥルフ神話〉に+18%。研究と理解に要する時間は平均70週間。呪文――原典として、キーパーは以下の9巻からなるフォリオ版について認められた呪文に、少なくとも4つの呪文をさらに加える事が出来ます。
英語、複数の無記名の著者、1842-1865年、活字組みの限定版の双書。11巻からなる原典から一部を削除されつつ書き写された、この9巻からなる版は、限定版として密かに出版され、1865年に最終巻が販売されました。正気度ポイント喪失は1D6/2D6。〈クトゥルフ神話〉に+15%。研究と理解に要する時間は平均32週間。呪文――アザトースの招来/退散、ダオロスの招来/退散、シュブ=ニグラスの招来/退散、ドリーム・クリスタライザーの守護者との接触、バイアティスとの接触、アイホートとの接触、グラーキとの接触、グロスとの接触、ムナガラーとの接触、加えて、ナイハーゴの葬送歌、ザイクロトルからのものの召喚/従属。
英語、複数の無記名の著者、19世紀中期以来複写・再複写されてきたもの。原典である11巻には1925年に12巻目の手稿本が、その後もさらにいくつかの巻が追加されてきたようです。後に追加されたそれらの手書きの複写版自体も、原典に引き続き複写されています。今や、最新の版には不注意から、魔術の手順、薬品の処方、あるいは呪文の術式をたびたび無効にしてしまう、多くの細かな誤りが混ざってしまっています。〈クトゥルフ神話〉技能のロールに成功すると、時にはそのような誤りを訂正出来る事もあります。正気度ポイント喪失は1D8/2D8+4。〈クトゥルフ神話〉に+19%。手稿本の巻数にもよりますが、研究と理解に要する時間は平均80週間以上。呪文――活字組みのフォリオ版に含まれるものに加えて、原点である11巻の版のために選んだ4つの呪文、さらに加えて、1925年以降の日付のある新しい巻のために1D4の呪文。
クトゥルフ神話知識に関するこれらの重要なコレクションは、つやのある半透明でぼろぼろの薄紙に手書きされ、帳面の形に綴じられています。グラーキの崇拝者達によって書かれたこの黙示録の中の情報は、このグレート・オールド・ワンからその信徒達に、夢や幻視を通じて受け取られていました。原典の記述は断片的であり、手稿の主題がしばしば突然変更されています。以前にある著者が捨て置いていた話の流れを、別の著者が拾い上げて再び書き始めるからです。初版である11巻は19世紀初期に書かれました。12巻目が世に出たのは1925年です。1865年には、原典11巻のうちの9巻を拙速に複写したものがグラーキの教団からひそかに持ち出され、海賊版としてわずかな部数が限定販売されました。その中の情報のいくつかは、たとえ海賊版といえども、出版者があえて印刷する事を避けるのに充分なほど冒涜的なものでした。黙示録の中では他の秘密結社についても言及されており、印刷された双書のほとんどは、これらの秘密結社によって購入されるか、あるいは盗まれるかしてしまいました。今日、この双書を収集家達の市場において見つける事はほとんど不可能です。現在までのところ印刷された唯一の「グラーキの黙示録」であるこの版は、フォリオ版のハードカバーです。
グラーキとその教団の他に、黙示録においては以下の事についても言及されています:ダオロス及びドリーム・クリスタライザー、ヨグ=ソトース、アイホート、バイアティス、ルルイエ及びクトゥルフ、ムーンレンズの番人及びゴーツウッドのシュブ=ニグラス教団、ムナガラー、グロス、イゴーロナク、オールド・ワンの養い子、ミ=ゴ、シャガイからの昆虫、アザトース。情報のほとんどはイギリス諸島、特にセヴァーン川渓谷における様々な教団について言及しているものです。
1925年において、「グラーキの黙示録」の12巻からなる手稿本の各巻に収録されている情報は次のとおりです。
第一巻――黙示録の最初の巻はグラーキの地球到来、この神を運んできた、都市をのせた遊星がグロスター州に衝突した時の事について論じています。この巻ではまた、隕石の衝突よりもはるか以前にグラーキは地球に顕現していたと主張し、この神性と他のグレート・オールド・ワンであるセベク及びカルナックとの関係に言及する異端者についても話題にしています。「タフ=クレイトゥールの逆角」として知られているものについても言及されています。正気度ポイント喪失は1/1D2。〈クトゥルフ神話〉に+2%。研究と理解に要する時間は平均7週間。呪文――グラーキとの接触。
第二巻――この巻はグラーキの不死の従者達及び、最終的にこのもの達を破壊する事になる「緑の崩壊」について論じています。また、死せる巨大都市及びグラーキの水晶の落とし戸についても、「明かされし四十八のアクロ文字」と同様この巻において言及されています。正気度ポイント喪失は1/1D2。〈クトゥルフ神話〉に+1%。研究と理解に要する時間は平均10週間。呪文――グラーキの従者との接触(中央に差し込まれた一枚の紙に書かれている)、緑の崩壊、ナイハーゴの葬送歌、見返しの遊び紙に書かれた、吸魂。
第三巻――「グラーキの黙示録」の第三巻はバイアティスについて言及しており、深きもの達がこの神性の彫像を星間宇宙から地球へと持ち込んだ事、そして単にこの彫像に触れるだけでグレート・オールド・ワンが召喚されるという事について説明しています。さらに、バイアティスの幽閉及びグラーキの「入信儀式」についての記述に着手しています。正気度ポイント喪失は1/1D2。〈クトゥルフ神話〉に+2%。研究と理解に要する時間は平均8週間。呪文――バイアティスの追放、バイアティスの招来/退散、バイアティスとの接触。
第四巻――この巻ではアイホート及びその雛について、オールド・ワンの養い子と共に言及されています。また、星辰の座が正しくなり、主達が再び地球上を歩き出す際に、グレート・オールド・ワンの僕達がなすべき義務について述べています。正気度ポイント喪失は1/1D2。〈クトゥルフ神話〉に+1%。研究と理解に要する時間は平均9週間。呪文――アイホートとの接触、にかわで58ページと59ページの間に貼り付けられた紙に、雛を取り除く及びアイホートを追放する。
第五巻――彗星あるいは惑星のような存在であり、ネメシスの神話の一部をなす、先駆けにして執行するものグロスについて調査されています。正気度ポイント喪失は1/1D4。〈クトゥルフ神話〉に+3%。研究と理解に要する時間は平均6週間。呪文――グロスとの接触、外なる神々の従者の召喚/従属。
第六巻――この巻はムーンレンズ、その番人及びゴーツウッドのシュブ=ニグラス教団に関するものです。正気度ポイント喪失は1/1D2。〈クトゥルフ神話〉に+2%。研究と理解に要する時間は平均8週間。呪文――ムーンレンズの番人の招来/退散、シュブ=ニグラスの招来/退散、シュブ=ニグラスの黒き子山羊の召喚/従属。
第七巻――この巻ではアザトース、その「別形態」及びユゴスの鉱山とそこに棲むもの達について論じられています。また、シャガイ、その住民及びそれらの奴隷種族達についてもいくつか言及されています。正気度ポイント喪失は1/1D3。〈クトゥルフ神話〉に+2%。研究と理解に要する時間は平均10週間。呪文――アザトースの招来/退散、ザエダ=グラーの招来、シャンを追い出す、ミ=ゴとの接触、シャガイからの昆虫との接触、ザイクロトルからのものの召喚/従属。
第八巻――この巻ではヨグ=ソトース教団及び墓所に群れなすものについて、異なる場所、時間、及び次元へと通ずる様々な門及び入口についてと共に、記述に着手しています。この巻においてはまた、スグルーオの住民達についても論じられており、この生命ある音が地球へと訪れる事を可能にする、特殊な装置を製作するための設計図を入手する事が出来ます。正気度ポイント喪失は1/1D2。〈クトゥルフ神話〉に+2%。研究と理解に要する時間は平均9週間。呪文――ヨグ=ソトースの招来、墓所に群れなすものとの接触、門の創造、門の発見、時間をねじ曲げる、夢占いの門。
第九巻――この巻においては、ドリーム・クリスタライザー及びその飢えし守護者、そしてダオロスについて論じられています。その中には、ダオロスを招来して「ヴェールの向こうを見る」ための儀式も含まれています。正気度ポイント喪失は1/1D2。〈クトゥルフ神話〉に+1%。研究と理解に要する時間は平均7週間。呪文――ダオロスの招来/退散、ヒプノスとの接触。
第十巻――グラーキの夢引きが、クトゥルフの持つ同様の能力と比較されています。また、それとは関連のない、ルルイエについての議論もあります。ムナガラー及び外界にあるその住処の次元についても要約が書かれています。正気度ポイント喪失は1/1D3。〈クトゥルフ神話〉に+1%。研究と理解に要する時間は平均7週間。呪文――クトゥルフとの接触、ムナガラーの招来、旧き印、夢を送る。
第十一巻――この巻はトンドという名で知られる惑星、その上にある青い金属と黒い石で築かれた都市について、チグという神性と共に論じています。ドリーム・クリスタライザーについての言及もあり、グラーキの夢を送る能力についてもまた論じられています。正気度ポイント喪失は1/1D2。〈クトゥルフ神話〉に+1%。研究と理解に要する時間は平均5週間。呪文――ドリーム・クリスタライザーの守護者との接触。
第十二巻――1925年にマーシィ・ヒルに住んでいた一人の男によって書かれたこの巻は、イゴーロナク及びこの神に従うぼろをまとったすばしっこい僕達について論じています。この巻を読むという行為には恐ろしい危険が伴っています。何故なら、この巻をたった一ページでも読んだ者に対しては、イゴーロナクが自由に憑依を試みる事が出来るからです。正気度ポイント喪失は1/1D2。〈クトゥルフ神話〉に+1%。研究と理解に要する時間は平均8週間。呪文――イゴーロナクとの接触、イゴーロナクの子供との接触。
(p14-16)バイアティスを、再び外へ召喚されるまで、地下の牢獄の中に押し戻します。この呪文は詠唱するのに2ラウンドを必要とし、呪文への参加者は一人あたり1D4ポイントの正気度を費やします。術者(及びこの呪文を知っている他の人々)は、好きなだけのマジックポイントを消費する事が出来ます。この呪文を知らずに居合わせている人々は、呪文をかけるのを補助するためにそれぞれ1マジックポイントを提供する事が出来ます。呪文に参加した人々は皆、1D4ポイントの正気度を喪失します。呪文をかけるのに使用されたマジックポイントの合計を、バイアティスのPOWである32と抵抗表上で戦わせてください。
この呪文をかける事に成功するためには、その場に《旧き印》が存在している必要があります。バイアティスの彫像は必ずしも必要ではありませんが、それが存在している場合には呪文に成功するためのさらなる可能性が与えられる事になり、マジックポイントの効果が20%増加します。
[訳者註:「バイアティスの彫像」に関するデータは記載されていませんが、おそらくは「城の部屋」に登場したものを指していると思われます。バイアティスの姿を写し取ったこの彫像は透明な鉱物で出来ており、様々な色の輝きを万華鏡のように放っています。その光はかなり遠方からも見る事が出来ます。「妖蛆の秘密」によれば、この像はディープワン達によって地球に持ち込まれ、これに敬意を表すか、あるいは生き物がこれに触れるかする事によってバイアティスが召喚されるそうです。なお、"Keeper's Companion"には「バイアティスとの接触」の呪文が記載されています。]
(p32)この呪文は夜間にのみかける事が出来ます。ムナガラーが到来する時には、生贄となる犠牲者が一人用意されていなくてはならず、また術者もこの神性の視界から身を隠していた方が良いでしょう。さもなくば、貪り喰われる危険を侵す事になります。
かけるのに9マジックポイントと、1D3ポイントの正気度が必要です。呪文自体には五から十ラウンドの時間がかかりますが、接触の試みは常に成功します。この呪文は「門」あるいはその他の、異次元からの入り口の近くでかけられなくてはなりません。墓所に群れなすものはそれらを通って、自分達の平面からやって来る事でしょう。もしくはヨグ=ソトースの寺院かその近くにおいても、この呪文をかける事が出来ます。
[訳者註:墓所に群れなすもの自体のデータは“クトゥルフ・ダークエイジ”において「墓に群れるもの」の名称で収録されています。]
(p33)古代エジプトの司祭達によって示されたように、これはグラーキが初めて地球に到来した方法であると考えられてきました。この呪文はかけるために1D20ポイントの正気度と3ポイントのPOWを消費します。実際には高度に数学的な呪文なので、INTが18以下の者がこれを試みる事は出来ません。呪文をかけると、グラーキの属する次元とこの次元との間に門が開かれます。門が開いた場合、我々の世界に棲むグラーキの部分がその完全な存在と結合され、我々の世界に対してさらに強い影響力を働かせる事が可能になるのです。この呪文はまた、存在している門を閉じるために使用する事も出来ます。その際に必要となるPOW及び失われる正気度は、門を開く場合と同じです。
[訳者註:「湖の住人」の他に、「ムーンレンズ」や「暗黒星の陥穽」においても言及されています。]
使用者が空中を飛行出来るようになる軟膏を作り出します。この呪文には洗礼を受けていない男児から精製された脂や、その他の恐ろしい材料が必要です。それらの材料は新月の暗闇の間に大釜の中で煎じられなくてはなりません。この呪文をかける者は15マジックポイントと1D10ポイントの正気度を費やし、呪文の材料を一晩中煮詰めながら冗長な儀式を執り行います。この呪文によって作られる魔力の込められた軟膏は直射日光によって分解されてしまうので、暗所に保管される必要があり、そして日没後にのみ容器を開けたり使用したりされるべきでしょう。この呪文は1D4回分の飛行用軟膏を作り出します。塗りつけた軟膏の効果は1D6時間持続します。妖術師はこの呪文の助けにより、最高10ポイントの速度で飛行する事が出来ます。
[訳者註:「城の部屋」においてギルバート・モーリィ卿がバイアティスと共に出かける際に使用したと思われる呪文です。]
(p34)この呪文は、薬草のアルニカで描かれた直径五フィートの五芒星の内部に立つ、生きている宿主からシャンを駆除します。術者は一時間をかけて儀式を行い、10マジックポイントを消費します。さらに、術者及び犠牲者は共に1ポイントのPOWを永久的に消費する事になります。術者は2ポイントのPOWを消費して、この呪文を自分自身にかける事も出来ます。儀式の後、五芒星はシャンが再び侵入するのを十二時間の間妨げます。この呪文はシャンを破壊する事は出来ませんが、直射日光のもとで行われた場合には、そのような効果を持つ事になるでしょう。
[訳者註:"Ramsey Campbell's Goatswood"においては、シャンは直射日光にさらされると死んでしまうという設定が追加されています……あれ、原作では光合成で栄養を得ているという設定だったような……?]
(p158)