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(4)裁判所

76条(1) すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

<司法権の独立>

1 司法権は、
「裁判を通じて国民の権利や自由を保障し、法や秩序を維持する」
はたらきをしています。
 この特殊な役割から、他の権力からの独立(司法権の独立)が、どうしても必要と言えます。たとえば、行政府(内閣)や立法府(国会)が司法府より優位に立っていたり、圧力をかけたりすることがあれば、違憲立法審査制は作用しなくなってしまいますね。

【参考】大津事件
 以上のように、司法権の独立は、司法権の特殊な役割からたいへん重要です。この司法権の独立について、有名な事件があります。
 それが大津事件です。1891(明治24)年、来日中のロシア皇太子が滋賀県大津市で警官に襲われ、負傷しました。内閣(行政府)はロシアとの関係が悪化することをおそれ、犯人を死刑にしようとしましたが、大審院(院長 児島惟謙)は、内閣の圧力に屈さず、刑法の規定を守って無期徒刑の判決を下し、司法権の独立を守ったのです。

1 司法権の独立に関する日本国憲法の条文
(1)特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。(76(2))
※戦前には、軍法会議や皇室裁判所・行政裁判所などの特別裁判所がありました。
(2)すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。(76(3))
(3)裁判官の身分保障
 裁判官は、(ア)裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定されたときを除いては、(イ)公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。(78)
 裁判官が例外的に罷免されるのは、
(ア)(裁判により、)心身の故障のために職務を執ることができないと決定されたとき
(イ)公の弾劾 ・国会における弾劾裁判
・最高裁判所の裁判官だけは、79条の規定により、国民審査で罷免になることがある。
※国民審査はリコールの一種ですが、ここでは公の弾劾に整理して考えます。
(ウ)定年 最高裁判所・簡易裁判所=70歳 その他=65歳

<裁判制度>

1 裁判所の種類・裁判官(弁護士の資格を持つ者)
●最高裁判所 長官は、内閣が指名し、天皇が任命する。
          その他の裁判官は、内閣が任命する。
●下級裁判所 高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所
          最高裁判所の作成する名簿により、内閣が任命する。
2 公開裁判の原則(裁判は、原則として公開とする)
82条(1) 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
82条(2) 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保証する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

 つまり、判決は、すべての裁判において公開されるということである。
【考察】なぜ、裁判は公開しなければならないのだろう? 理由を考えよう。

3 三審制
第一審 −控訴→ 第二審 −上告→ 第三審
【考察】三審制がみとめられている理由を考えよう。

4 裁判の種類
(1)民事裁判
 民事事件(個人や団体の争い)を扱う裁判。和解を前提とし、和解できないとき初めて訴訟を行う。
(2)刑事裁判
 刑事事件(窃盗・詐欺・強盗・放火・殺人など、法律で定めている犯罪行為)をあつかう裁判。
 事件が発生すると、@検察官が警察官と協力して捜査し、A検察が原告となって被疑者を起訴、B裁判にかけるという手順で行われる。
(3)行政裁判
 行政事件(国や地方公共団体と個人との争い)を扱う裁判で、民事事件に準じて行われている。

5 弁護士
 訴訟事務や行政府への不服申し立てなどを、当事者やその関係者の依頼によって行う有資格者。

<検察機構>

1 検察官
 刑事事件において、国民の代表として、警察官と協力して捜査し、公訴(起訴)を決定する。「検察官一体の原則」により、法務大臣の一般的な指揮・監督を受ける。身分を強く保証されている。
2 検察機構
 最高検察庁・高等検察庁・区検察庁
3 検察審査会
 地方裁判所、またはその支部に設置。審査員は、衆議院議員の選挙権をもつ者の中からくじで任命。任期6ヶ月。不起訴処分に対する審査請求を受けて検討し、必要があれば検察庁へ勧告する。目的は、検察事務に民意を反映させ、その適切な運営をはかることにある。

<違憲立法審査制>

 国会(立法府)や内閣(行政府)の行動が、憲法に違反していないかどうか裁判所(司法府)が判断すること。
 内閣に対してのときは、この言い方をさけ、「行政審査」と言うことがある。
 アメリカで発達し、明治憲法には規定がなかった。すべての裁判所にあるが、とりわけ最高裁判所は終審裁判所であり、最終的な判断をするので、「憲法の番人」とよばれる。統治行為(条約・自衛隊など)は裁判になじまないとして、判断をくだしていない。違憲判決の例としては、尊属殺重罰規定や衆議院の定数不均衡などがあった。