海岸教会「花嫁のベール」

3月の下旬、大桟橋近くの横浜海岸教会は満開の桜に囲まれていた。
横浜でも歴史の古いこの教会で、明治22年(1889)25歳の花嫁が
新郎に英詩「花嫁のベール」を贈った。

 われら結婚せりとひとは云う
 また君はわれを得たりと思う
 然らば、この白きベールをとりて
 とくと我を見給え


花嫁の名前は若松しず子フェリス女学校の教師をしていた彼女は、
当時の世の中でな考えられない姿勢で横浜海岸教会で結婚した。
会津藩士の娘として1864年に生まれ、戊辰戦争で孤児となった。
縁があり横浜で育った彼女はフェリス女学校の一期生として卒業し、
そのまま母校の教壇に立っていた。
 進歩的女性の若松しず子は文筆家としても「小公子」の翻訳で名前
を残している。独特のやわらかい口語は、不幸な生い立ちからの力
強さと優しさに満ちている。

 満開の染井吉野に囲まれた白亜の教会は風景画の様だった。教会
前の広場は1854年に日米和親条約が結ばれた開港広場、そして大
桟橋・・・・。新しい風が常に吹き込んでいる港町横浜は、100年以上
前にも進歩的でハイセンスな女性を生み出したのかもしれない。
 32歳で短い生涯を閉じたしず子は、染井吉野が生まれた東京巣鴨
の染井霊園に眠っている。

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