すると、野犬も「不審な犬」に気付いてしきりに鼻を動かして、それを確かめていたが怪しいと分かると、ぬいぐるみのシッポを噛み切った。
「計画」がダメになりそうになったその時!頭上で激しく音がした。いつの間にか、イカサマが駈け付けて鈴を揺らして鳴らしたのだ。
「こっちだこっちだ!さあ、行くぜ…鬼さんこちら、手の鳴る方よ!」
イカサマは、野犬の注意を引き付けると自慢の俊足で逃げ出した。野犬達は、一斉にイカサマを追いかける。その隙にガンバ達は賽銭箱に
近づくとシジンと忠太を救出した。そして、急いで逃げ出したが「異変」に気付いた野犬が、今度はガンバ達をおいかけてきた。そのうちの
一匹が、ぬいぐるみに飛びかかったがガンバ達は間一髪、脱出に成功。
怒った野犬達は、彼らを追いかけてくる。そのガンバ達は、境内の林を抜けて縁日で賑わっている参道へと出た。それを追う野犬達の足を
ヨイショ達が縄で足を引っ掛けて転倒させる。ますます野犬は、怒って追いかける。そのため突然、野犬の群れが駈け込んできたために縁日の
会場から悲鳴が上がった。それにはお構いなしに、ガンバ達は野犬達と大喧嘩。イカサマが吹き矢で野犬の目を狙ったり、ヨイショとボーボは
綿飴を作る機械を押し倒したり、シジンと忠太は屋台を組んでいた縄を齧り切ってそれを崩したり、ガンバも狭い袋に野犬を追いこんで穴から
突き出た鼻をひと齧り。しかも、人間達の目にはガンバ達の姿は映らない。野犬が突然暴れ出したものと思って…
「この野郎、何しやがる!」
とばかりにほうきで叩かれ、足蹴にされ、水をかけられ…と、散々な目に遭って境内から追い出されてしまった。
境内から離れた場所に集合したガンバ達は、野犬に勝ってみんなで大声で笑いながら喝采を叫んでいた。
「あの犬達の姿ったらなかったぜ!」
「シッポがスーッとしたぜ!」
「忠太君のホームシックも、治ったようだね」
仲間と共に笑い転げる忠太を見て、シジンが言った。
「シジンさんだって、さっき酔っ払っていた時、楽しそうでしたよ」
忠太の無邪気な言葉に、シジンは思わず顔を赤らめる。
「何か知らねぇが、俺達は戦っている時が一番だな」
「ああ!シッポがビンビン立っちゃってさ…」
ガンバの言葉に、ガクシャが思わず
「そうね、シッポがねビン…」
仲間同士のノリで続いたものの、言葉が出ないガクシャにボーボが
「ガンバ悪いよ、ガクシャが気にしていることを言っちゃってさー」
この言葉に、彼らの注目がガクシャに集まる。ガクシャは咳払いすると
「いや、気になんてしていませんよ。シッポが短いのはね、進化している証拠ですからな」
苦し紛れの理屈だが、ボーボは真顔で
「進化って、どういうこと?僕のは、長ーいけど?」
自分のシッポと見比べるボーボに
「いいってことよ、ボーボには相応しいシッポだぜ」
イカサマの揶揄に、ボーボは照れ笑い。と、大きな音と共に頭上に鮮やかな色が広がった。
「あれは、花火と言うもんです」
打ち上げ花火に見とれる彼らに、ガクシャが説明する。
「よーし、明日はドーンとカラス岳へ向かって、でっぱつだい!」
ガンバの言葉に、カラス岳登頂を誓う彼らだった
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