三紀の独り言
2009年5月1日(金)
毎日、毎日とてもいい天気です。しかし、豚インフルが・・(^^;)母の入院で横浜へ行く事の多い日々、今日はなんと、横浜の高校生が・・との報道。え!横浜に行かれないのか、と思いきや、豚インフルではなさそうだとのこと。しかし、うがい、手洗い、とマスクは用意しましょうね。早く沈静してくれますように。5月5日子どもの日に神楽坂のシアター・イワトで糸遊びがあります。田原順子師と弟子たちによる、創作琵琶弾き語りの会です。全部で6人の出演者が琵琶で創作した作品を語ります。私は馬と娘の物語(遠野物語より)を。ご興味のあるかたはお越しくださいね。そして、ちょっと楽しい?お知らせです。MIKIのブログが出来ました。どうぞお遊びにいらしてください。そろそろ沙羅双樹の白い花の咲く時期です。谷中の天王寺(日暮里駅をのぼっていくと左手にある)に今年も小さい可憐な花をつけていると思いま~す(^^)。
2009年4月23日(木)
4月の10日、11日と横浜の赤レンガ倉庫の劇場で、猫の事務所の主宰者の畑圭之助脚本、演出(制作 物語りの巣舎)による、ミュージカル「ヨコハマ・ヴァンパイア」がありました。ヨコハマの150周年にあてたミュージカルで、ピアノ、ベース、バイオリンの生演奏にのせ、ダンスあり、歌あり、お芝居ありと楽しめました。客船「あすか」の見える、赤レンガ倉庫はヨコハマの香りがいっぱいでした。お話は150年前に日本に上陸したヴァンパイアと日本人の若い娘、はなとの出会いと別れ、そして出会い、というお話です。毎年、新しいバージョンでやっていきたいそうで、出演者はオーディションで選ぶとか。三紀さん、はなを狙ってる?と友人。ま、まさか。琵琶で少女をやるのとは訳が違う・・それに踊れないもの・・と、どこか本気で考えてしまう自分が悲しい(^^)。でもやっぱり舞台はいいですね。パワーをいただき、来年もがんばれ!とエールを送りました。
2009年3月17日(火)
暖かくなってきました!寒くてさぼっていたウオ-キングも自転車での遠出も再開です。春の訪れはうれしいものです。この頃になると思い出す風景があります。小学生の頃、家の裏のほうに小さな山がありました。どうしても、一人ではてっぺんに行かれなかった。上まで行ったら帰れなくなってしまう気がしました。そんなとき、隣の家の一級上の冴子ちゃんが私をその裏山へ誘いました。緊張でお腹が痛くなりそうだった私はそれでも必死に後について登り、小さな山の頂きについたらそこは広々とした、いちめんのなのはな!今ではその小さな裏山も崩され、宅地になっているかもしれません。その頃は、隣の農家には牛がいて、春にはレンゲソウ、夏は蛍、そして、夏休みのラジオ体操の広場には泉がありました。川であらった大根が流れている!そんなこともありました。托鉢にきたお坊さんはあの山を越えてきたのかもしれません。そんなことを思い出していたら、そういえばあの蛍は源氏だったのか、平家だったのか、と気になりました。もしかしたら、源平が戦っていたかもしれませんね^^;お彼岸の日、20日に八街の丸太小屋で気功教室と琵琶があります。詳しくは風の駅舎、043-444-7373、井上さんまでお問い合わせください。
2009年2月28日(土)
梅の花がきれいです。紅梅、白梅。凛として楚々とした梅の花がとても好きです。鶯の声を耳にするのももうすぐですね!先日、馬頭琴の美炎さんとのコラボレーションが終わりました。美炎(みほ)さんのお話ではモンゴルは「天の川」という意味だそうです。力強い馬頭琴の音色に耳を傾けながら、モンゴルの大地や天の川が広がってくるように感じました。また、美炎さんがご自身でお創りになった曲はモンゴルのイメージだけでなく斬新でした。
「ひのきとひなげし」という宮澤賢治の作品をご一緒しましたが、悪魔に自分たちのアヘンを売ってまで美しく、スターになりたいひなげしに、ひのきが諌めるというお話です。その中に「天(あめ)なる花を星といい、この世の星を花という」言葉がでてきます。ひのきがひなげしに、君たちこそがスターなのだよ、と語りかけるのです。賢治の言葉はやさしいけれど、難しい。でもこの言葉を口に出してみると、なんだか力が湧いてきます。地上にも天と同じように星がたくさんきらめいている、そんな感じがしてきます。
2009年2月15日(日)
1999年、ロシアで、馬頭琴という楽器に初めてふれました。木彫りの馬の顔のついた、モンゴルの楽器です。弓で弾き、音は胡弓を大きくしたような感じ。サンクトぺテルスブルグの演劇学校においてあったその楽器の音とロシアの町並みは忘れられない思い出です。今月21日(土)午後2時より。京成臼井の近くガイヤスペース(回転木馬3階)で馬頭琴奏者の美炎さんとコラボをします。2,3年前から琵琶の音が気になっていて、と言ってくださってやっと実現した初めてのコラボのコンサートです。美炎さんが富士山の麓で琵琶の音をイメージしながら作曲された曲や、宮澤賢治の作品「ひのきとひなげし」などをご一緒に弾きます。美炎さんは名前の通り美しく若い女性!私も負けじと?がんばります!
お時間がございましたら是非お越しください。お問い合わせ:回転木馬℡043-489-9618料金1500円。企画:風の駅舎043-442-7699井上
2009年2月2日(月)
30日は浅草大黒家で義太夫さんとのコラボでした。この日は朝から雨。寒くはないのがせめてもの救いです。浄瑠璃の竹本越孝さんの「弁財天は水の神様、だから雨は縁起がいいの」との一言で、がぜんやる気に。大黒家さんの天丼をみなさんでいただき、制作、ビデオ、司会、当日の手伝い、をしてくださった近藤さんご夫妻、ご友人の市力さん、義太夫さんの妹弟子さん、にお礼を言う暇もなく、本番が始まりました。自分が出演しているのも忘れ、越孝さんと三味線の都賀栄さんの「伽羅先代萩」に聞きほれ、貧乏神にもみなさんの笑顔をいただき、楽しかった、の声をいただきました。本当にありがとうございました。舞台がはね、斜め前の「ひょうたん」にいるよ、という友人達。もんじゃ焼きのお店でした。彼女たちが言うには「義太夫ももんじゃも初めて!」とのこと。いくつになっても(?)初めてのことがあるっていいじゃない、と思いながら、家に帰り着くと、やはり見に来てくれた高校時代の同級生からメールが。「私、浅草に初めて行った!」うーんなかなか刺激的な一日でした。
2009年1月26日(月)
聚の会が終わりました。語り物は古典が中心で、そして琵琶の合奏でした。古典をしっかり練習できるありがたい時間です。しかし、古典は基本とはいえ、やはり手ごわい!その古典を、今週の金曜日の夜にも
演奏いたします。30日、午後7時より、浅草大黒家別館4階のサロンで、義太夫さんと初のコラボレーションをします。一部が聚の会でやりました船弁慶、10分版。そして、義太夫さんの伽羅先代萩「政岡忠義の段」。そして、2部はがらりと変わり、貧乏神です。貧乏神は遠山顕さんの書かれた英語劇場「わらしべ長者」(NHK出版)の中から使わせていただきました。日本語版がおもしろく、遠山さんにお願いして3年ほど前から琵琶で語らせていただいています。とても楽しい作品です。また、大黒家さんは浅草でも有名な天ぷらのお店で、天丼がとてもおいしいです。浅草「大黒家」℡03-3844-1111
あまりお聞きになることのない義太夫と琵琶。どうぞお越しください。お待ちしています!
2009年1月18日(日)
寒い日が続きます。でも今日は寒さにめげず、聚の会の稽古へ。聚の会は今年で3回め。師匠である田原順子先生と弟子の会です。カルチャーセンターの生徒さんや、個人レッスンのお弟子さんあわせて32名の方が参加します。3年前、初めてこの会が発足し、その稽古に参加してびっくり。こんなにたくさんの琵琶が!そして琵琶の大合奏です。3時間以上の長丁場ですが、琵琶古典曲の語りあり、現代曲の合奏ありと、もちろん平家物語の語りもあり。見ごたえがあります。1月24日(土):イーストステージ・いけぶくろ(コア・いけぶくろ6階℡03-3984-7601)池袋駅東口から徒歩5分だそうです。13時開演。入場無料。ちなみに私は「あいあい傘」という琵琶17台の合奏と「船弁慶」の語り(10分ほど)をやります。時間内、出入りは出来ますので、お時間がございましたらいらしてください。
2009年1月8日(木)
明けましておめでとうございます。今年もたくさん楽しいこと、幸せなことがあるといいですね!今年はお年賀状を送られる方が増えているということでしたが、今年いただいたお年賀状で、福岡県、大牟田仏教会の米倉生法さんからいただいたお年賀状に書かれた詩をご紹介させていただきます。米倉さんは浄土真宗のお寺のご住職ですが、大牟田の色々な宗派のお寺が集まる会をされています。
「一條の光に明日のたしかさをおもう。一滴の涙にことばにならない心をおもう。一輪の花にいのちの不思議をおもう。一声の念仏に仏の願いに生かさる我を思う」
墨で一枚一枚書いてくださっているのでしょう。ありがとうございます。
私も、足元の一歩に思いを込めて、今年も進んでいこうと思います。どうぞ今年もよろしくお願い致します。
12月30日(火)
2008年もいよいよ終わりです。今年も本当にお世話になりました。今年はとにかく創作!創作!と進んできました。NHK公開セミナーのための「篤姫」「源氏物語」の創作ではNHK文化センターの井辺さん、中井さんをはじめ皆様に本当にお世話になりました。夏の京都、思文閣美術館での「松谷みよ子の仕事展」では、松谷みよ子さんの作品「龍の子太郎」を創作させていただき、松谷さんの作品は3作になりました。また猫の事務所の会員にもなってくださっているNHKラジオ「ラジオ英会話」、人気講師でいらっしゃいます遠山顕さんには、以前テキストに載っていた小泉八雲の「若返りの泉」をやらせていただきました。6分ほどの楽しい作品でコンサートではアンコールで語らせてもらいましたが、とても好評でした。遠山さんは今年、新美南吉の「花のき村と盗人たち」をご自身で琵琶を奏で和英で上演されたそうです!今年もたくさんの出会いをいただきありがとうございました。来年も良い作品を創っていきたいと思います。キラキラの幸せと笑顔が皆様とともにありますように!
12月22日(月)
今年の2月にガラス絵の児玉房子さんが宮澤賢治のガラス絵展を東京でやられました。そしてガラス絵展をご覧になった朝倉恵さんが児玉先生の賢治のガラス絵展を前橋で企画されました。私も前橋でお世話になりましたが、その朝倉さんが、上野の東京文化会館のピアノパラリンピックのコンサートのご案内をくださいました。障害を持っていらっしゃる方のコンサートです。ダウン症の方、脳性まひの方。そして聴力障害のかた。一音一音が深く心に入ってきました。聴力障害をお持ちの10代の方のピアノにハッとしました。どこか天から聞こえてくるような音です。この方は私たちには聞こえない音を聞かれているのでしょうか。そのとき賢治の「告別」という詩を思い出したのです。賢治が学校をやめるとき、音楽に才のある生徒へ向けて書いた詩の中に「もしも楽器がなかったら、いいかおまえはおれの弟子なのだ、ちからのかぎり、そらいっぱいの光でできたパイプオルガンを弾くがいい。」という一節がありました。天上の風にのって巡るようなその音の美しさは光でできたパイプオルガンの音でしょうか。その日は早めに上野駅に着きましたが寛永寺の鐘の音にやはりハッと胸をつかれました。この音の響きもきっと天へとつながっている。目にみえない大切なものを忘れていないだろうかと、ふと自分に問い掛けました。
12月 7日(日)
寒くなってきました。いよいよ師走です。2日に義太夫を聞きに上野広小路亭へ。オランダでご一緒させていただいてから、ほぼ毎月、広小路亭へ行っています。女流義太夫、いわゆるじょぎ、さん。琵琶は一人で弾いて語りますが、義太夫は太夫さんと三味線(太棹)さんと二人で語っています。今、私たちが語っている琵琶の古典曲よりも前、江戸時代の語り物でしょう。言葉がわりとむずかしいため、必ず詞書(ことばがき)というものが入り口に置いてあります。それを読みながら聞くことが出来ます。はじめはよくわからなかったのですが、最近、面白くなってきました。先日の題は忠臣蔵。葵のご紋の入っている幕の中のじょぎさんの語りを聞きながら、江戸時代に入りこんでいるかのよう。たっぷり聞けてお得な千円(前売り)です。
ひと時、のんびりとした時間を味わい、出演した友人たちに挨拶をして、師走の街を帰りました。
11月23日(日)
蔵の喫茶店「結花」さんでのコンサートのため市川からバスにのって矢切へ。市川は真間の手児奈伝説のあるお寺などあり、なかなか風情のあるところです。今日は朗読会「かま猫」が主催してくれました。桜の薄い赤色、イチョウの黄色と美しい木々の中、バスに乗って会場へ。40人ほどでいっぱいの会場は蔵を改築したという風情のあるところです。小さい空間ならではの琵琶弾き語りを楽しんでいただけましたら幸いです。朗読会「かま猫」は、私が指導させていただいていますが、来年1/29、2/19,26,3/未定(木、予定)の全5回、「宮澤賢治を声に出して読むワークショップ」を開きます。場所は、東西線原木中山駅、徒歩2分、信篤公民館。13時から、と18時からの2グループ、3千5百円。たった5回ですが賢治のキラキラした言葉を声に出して、味わってもらいたいと思っています。ご興味がありましたら、是非ご参加ください。お問い合わせは演劇舎「猫の事務所」℡047-328-8175まで。
11月13日(木)
源氏物語の「浮舟」は薫と匂宮の二人の男性に想われ、思い悩み宇治の川に身をなげてしまう女性の話です。その後、横川の僧都と妹の尼に保護され、出家します。瀬戸内寂聴さんが源氏物語は出家の文学、とおっしゃっておられましたが、この女性、浮舟は悩みながらも自分の意見を持った女性です。この「浮舟」を今月、22日(土)に、松戸の矢切のコンサートでもやらせていただきます。所沢から移築されたという蔵の喫茶店「結花」さんで。1時半開演です。もうひとつ松谷みよ子さんの書かれた、「お月さんももいろ」というお話も語ります。9年前にダンスの方たちと初演して以来、今年は久しぶりにやらせていただきました。土佐の民話がベースということですが、松谷みよ子さんの作品はやっぱりいい!お近くの方は是非お越しくださいね。
11月2日(日)
源氏物語千年紀の今年、はじめてきちんと源氏物語を読みました。3月、オランダに行く飛行機で、源氏物語の一ページめを開きました。最後まで読み通したことがない、とはよく聞く話しで、私もわかりやすい田辺聖子さんの訳を読ませていただいたものの、そのうち睡魔に打ち勝てず・・・。そして、3週間のオランダ公演を終え、再び、飛行機に。久しぶりの日本の新聞とお米の夕食になんだか感動。外にはぽっかり浮かんだ美しい満月が。カーテンを少しあけ月を見ながら読んだ源氏物語はずんずんと心に入ってきました。うれしい出会いでした。今、浮舟を創作中です。寺島玲子さんに脚本を書いていただき、瀧野美智さんのギャラリーで。美智さんは源氏物語からイメージをして、地蔵菩薩を創作中です。お時間がありましたらいらしてください。11月15日、午後2時より 東急東横線 自由が丘徒歩5分 アン フリー ギャラリー ℡03-3704-7665 美智さんの作品展は4日から29日まで開催。
10月23日(木)
平家物語の古典、「都落ち」という曲を久しぶりに稽古していました。平家が木曾義仲に追われ、都を落ちていく時の話で、清盛の弟、平忠度(ただのり)が藤原俊成に自分の書いた歌を託す、というお話しです。また、清盛の娘で安徳天皇の母、建礼門院に仕えた右京大夫という人がいます。その人は清盛の孫、平資盛(すけもり)の恋人で、平家の全盛時代から滅びるまで、そしてその後を生き、やはりたくさんの歌を残しました。その方たちの歌を読むと、その時代に生き、そして滅びに向かった平家の人々が立ち現れてくるようです。先の「都落ち」で忠度が歌った歌「さざ波や志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな」そして壇ノ浦で滅びた資盛への思慕の中、右京大夫が志賀で歌った歌「谷川は木の葉とぢまぜこほれどもしたには絶えぬ水の音かな」そこに、確かにある木や水。哀しさの中に命を感じるこれらの歌が心に響きます。
10月16日(木)
月がきれいです。今日は満月。白く光る鏡のよう。散歩をしながら眺めていました。千年の昔、琵琶湖に映る月を石山寺から眺めながら、紫式部は「源氏物語」を書きはじめたと聞きました。湖に映るのも月なら、小さなお椀に入るのも月、と言ったのは道元だったでしょうか。少ない知識をしぼり考えます。「さめぬればやみも光もなかりけり夢路を照らす有明の月」と歌った貞心尼。良寛の最期をみとった貞心尼の悟りを得たときの歌のようです。どんな月を見たのだろう。夢路とは今のこの生のことなのでしょうか。古人の見た同じ月をこうしてみている、考えてみるとすごいことです。家に近づくと京葉道路の陸橋の下には車の波。もう少し、月を見ていましょうか、と後戻りしたのでした。
10月9日(木)
横浜には坂が多い。「横浜」という雑誌で特集を組んでいました。そういえば、私の行った小学校も中学校も高校も坂の上です。名前にも必ず丘の字が。晴れた日にはどの学校からも富士山が大きく見えました。そして坂を降りていくとき海が姿を見せる場所がとても好きでした。千葉に越してきたとき、空の広さに驚きました。道が平坦でさえぎるものがないのです。横浜の坂から見える景色こそ一番と思っていましたが千葉の広い空一面の夕焼けもとても美しいものでした。そして、近くの江戸川方水路で、はぜつり用の小さな舟が墨絵のように浮かび上がる日暮れの瞬間。それも美しい。この河の先に広がる海も学生時代に見た海とつながっているのですね。
10月1日(水)
裏通りが好きです。夕方、買い物を終えて帰る途中、その裏通りでは、お母さんが小さな双子の女の子を両手でひいて、歩いていました。ポニーテールがゆらゆらゆれる後ろ姿のかわいらしいこと。若い男の子たちがあまりの可愛さに二人を振り返り見ている様もほほえましい。かと思うと、お母さんのひざを叩いて泣いている男の子。若い女性が走ってきます。急いでいる様子、落し物にも気づかず全速力ですが、それを拾ってあげたサラリーマンもやはり全速力で走るしかない。おーいと声をかけてやっと間に合いました。私はといえば、そんな風景を眺めてぼんやり歩いている。空にはうろこ雲。「夕暮れ」より「夕間暮れ」という言葉が似合う秋の日のひと時です。
9月22日(月)
あまりテレビを見る方ではないのですが、またテレビのお話。先日、特攻隊の出撃を見送った「なでしこ隊」のドラマをやっていました。ドラマと言っても、なでしこ隊だった方のお話が入り、ドキュメンタリーの部分もあります。見送る事しか出来なかったという思いを62年間背負い続けている「なでしこ隊」の人たち。結婚式の前の日に特攻隊の基地へゆかなければならなかった人、そしてその婚約者の方。飛び立つ前日、婚約者の方にあてた手紙には、詮なきこと、としながら、あなたに会いたい、話したいと書かれてありました。大きな力の前に一人一人の思いが踏みにじられていく戦争の恐ろしさを改めて感じます。みな笑って出撃したわけではない、涙をこらえていったのだ、というなでしこ隊の方の言葉には思わず涙がでました。戦争を知らないからと言って、語り伝えることが出来ないわけではない。いつか、一人の方のお話であってもいい、語らせていただくことが出来たら、と思いました。
9月15日(月)
旅先でテレビをつけたら、女優の吉行和子さんが最後の舞台作品にするといっておられた「アブサンス ある不在」というお芝居をやっていました。見ました、もちろん!年老いた女の人が記憶がなくなって病院へ入る。病院で、昔愛し合い、別れた人たちとの思い出をたどりながら記憶が戻り、一人で生きていこうという決意を、揺れ動く心に滲ませて、病院を去る。実はもう自分は息子に必要な存在ではない、というショックで記憶をなくしていたのです。演出が大間知靖子さん。もう随分昔、円の演劇研究所で、大間知さんのクラスに参加にさせていただいたことがあります。このお芝居を見ながらやっぱりお芝居はいいなあ、と思いました。セリフという言葉。肉体という存在。その中から眼に見えない世界が現れる。きれいごとでない人間の心があらわれてくる。私もがんばろう。人物が作品の中で立ち上がってくれる、そんな表現をめざして!
9月8日(月)
用足しに日暮里へ。その足で天王寺さんにお参りしました。JR日暮里駅の丘側を登っていくとすぐ。門の右手には谷中霊園が広がっています。5月、白い可憐な花をつけていた沙羅双樹は、銀杏より少し大きな丸い実をつけていました。本殿には阿弥陀様。しかし右手にある別棟は印象的です。細く開いた戸からみえるのは仏様ではなく、まーるい鏡。江戸時代のものではないでしょうか。手を合わせてふっと目をあけると鏡に映る「私」がいてドキっとします。門の手前には宝珠をもった日舞の観音様がいます。そして門を出ると、小さな社がありました!中には大きなお地蔵様と手をあわせた石仏。沢山貼られた千社札をみると噺家さんや講談師さんの名前が。もしや、語りの仏様・・・。あわてて手を合わせしっかりとお参りをしました。
9月1日(月)
9月です!夏休みが終わりました。朝、久しぶりに幼稚園へ行く子ども達と送りにいくお母さん達の声が聞こえてきました。夏の終わりの空をゆきあいの空っていうんだそうです、。夏と秋が行き逢う、なーんてロマンチック。2、3日前、柿の実がなっているのを、都内を歩いていてみつけました。緑色の小さい実なのではじめは何の実かわからなかったのですが・・。秋が近づいていますね。秋になると会津の柿をいただくことがあります。みしらず、っていう名前です。身の程知らずに実をたくさんつけるからなんだそうです。種がなくてとてもおいしい。なのに身の程知らずといわれるなんて切ないです。ひとり暮らしをしていた20歳の頃、アパートの隣の部屋に同い年の子がいました。月美ちゃん。ある日「ゆうべお腹がすいて、あの柿食べたわ」と言うのです。2階の窓からみえる柿の木の枝を傘の柄で引き寄せて取ったというのですが。よく落ちなかったものだと驚いている私に、「でも渋かった。」 緑色の柿の木を眺めながらそんなひと時を思い出しました。
8月27日(水)
一足先に秋がきてしまったような数日から今日は久しぶりにお日様がさしてくれました。きれいな日の光です。昨日は用があって、?十年振りに幼稚園の頃に住んでいた場所をたずねました。ドンドン商店街というところです。ドンドン商店街を抜けるとその頃2年間住んでいた家に着くのですが、なんともレトロな雰囲気(横浜市内とは思えない)さすがにその頃に比べ、お店は少なくなり、果物屋さんとお花屋さんとお線香などを売っているお店がちらほら(そのあたりはとてもお寺の多いところなのです。)この道を幼稚園へ通ったんだなあと懐かしかったです。その幼稚園で教えてもらった歌で今でも覚えているのが、枇杷の歌。♪枇杷は優しい木の実だから♪という歌が大好きでした。で、今、琵琶を弾いている、というわけではないと思うのですが・・。先日のコンサートで枇杷に似てるから琵琶というのですか?と聞かれましたが、たぶん琵琶に似ているから枇杷なのでは(うーん玉子とニワトリ?)ちなみに6月に大津へ行ったとき、大津の方に琵琶湖って、なんで琵琶湖っていうんですか?と聞いたら、琵琶に似ているからですよ、とあっさり言われました。なあんだそうだったのか!!少し気持ちがすっきりしました。
8月21日(木)
ホームページがリニューアルしました!ポートグラフィーに3月のオランダ公演の写真を載せさせていただきました。乙女文楽の吉田光華さん、京子ちゃん、泉さん。浄瑠璃の竹本越孝さん越春さん、三味線の鶴澤都賀栄ちゃん、弥弥ちゃん、八王子車人形の西川古柳さん、柳時さんご兄弟、小林さん、本当にお世話になりました!この写真は古柳さんが撮って、みんなに送って下さった中の一部です。海外で体験した古典芸能は尊かった!私もがんばります!!