視神経炎について


物が見える仕組み
物を見た場合、目に入ってくる光は、
まず、角膜を通り、
その奥の虹彩にあいた穴(瞳孔)を通り抜け、
次に、水晶体(カメラのレンズ)を通って、
網膜(フィルム)に達し、像を結びます。
この刺激が、視神経の興奮となって、大脳の視覚中枢に伝えられ、
はじめて、視覚として認識されるのです。


視神経炎

炎症・脱髄・感染が視神経に及んだときに生じる臨床診断名であり、
日本では、人口10万人に対し年約1.0人(成人人口10万対1.6人)に発症し、
10台後半から50歳までに多くみられる。

  成人 小児
男性:女性 1:1.8 1:1.2
初発時 両眼:片眼 1:6.0 1:1.2
年齢 39.5歳 9.3歳


症状
眼球運動痛を伴った急性視力障害、
相対的求心路瞳孔障害、
中心暗点などの視野障害、
中心フリッカー値の低下、
後天性色覚異常
などがみられる。


治療
パルス療法や、ビタミンCの大量投与などが行われる。
(慢性期に星状神経節ブロック(麻酔科)が有効だったという報告もありました)
この星状神経節ブロック(注射)にかわり、より安全性の高い方法として、
近赤外線療法というものも、あります。


予後
初発の場合、自然治癒傾向が強く、80%以上が治療の有無によらず改善傾向を見る。
しかし、10〜20%は十分な視力回復がみられず、10%未満は0.1以下に留まる。
再発は、20%〜25%にみられる。
また、高年齢発症や再発を繰り返す場合は、回復程度が明らかに低下する。
過度の疲労は、再発を誘発しやすくする危険性がある。  

注意
視神経は中枢神経であるため、
一旦細胞死してしまうと、現在の技術では、再生することはありません。
新しい治療法として、神経保護の研究が数多く進められています。
視神経は、12ある脳神経のうちの一つです。
 ・中枢神経系…脳と脊髄
 ・末梢神経系…脳と脊髄を身体の各部に連絡している神経のネットワーク


闘病記
Seria Yuki さんの闘病記は、こちら



文献: 日医雑誌 第125巻1号 P53〜P57
    日医雑誌 第118巻7号 P1041〜P1045
    日本ペインクリニック学会誌 Vol.10 No.4 2003 P516〜P518
    家庭医学大全科 法研

 

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