更新日:2006.11.19


 ここでは、フォノイコライザーアンプの製作を中心にアナログ盤再生について いろいろ公開しようと思います。  レコードを聴かなくなって10数年、すっかりご無沙汰でしたが、最近新たにレコード を購入し、久しぶりに聴いてみるとレコードの音の悪さに愕然。。。 装置のクオリティが上がってるだけに悪さばかりが目立ちます。CDを中心 とした音作りをしてきて、レコードの事は置き去りにしてきたのですから当然なのか もしれません。。。。
 そこで、一念発起してこれからいろいろフォノイコライザーアンプを製作してい くつもり?なのですが、プリアンプを作る事は、パワーアンプを作るのとは次元が 違い、重箱の隅を突様に細かい点を突き詰めていかないと良い物は出来ない ようです。また、回路方式やデバイスも様々でそれらの組合せを考えていくと 膨大になってしまいます。それに、いきなり最初から時間と大金を費やして大作 を作っても自分の気に入る音質になるとは限らず、ハズレると全て無駄になっ てしまいます。幸い、パワーアンプ程お金は掛からないし、試作レベルなら比 較的簡単に作る事ができるので、遊び感覚でいろいろ試してみて楽しもうと 言う事です。
 まぁ、先ずはMJやラ技のバックナンバーを穿り返していろんな回路を見、気 楽に挑戦してみようと考えています。

 ちなみに、ここでは10万円もするカートリッジやMCトランス、或いはケーブルの 類、高額パーツの話は殆ど出ません。何せ、クラシックやジャズのレコードは 殆ど持っていませんし、持っていてもせいぜい一枚100円ですから程度を考えて 進めるつもりです。
                                                   茅屋住人

前置き

【カートリッジ】
 パワーアンプにスピーカがあるように、フォノイコライザーアンプには対象と するカートリッジがあります。今、手持ちにあるカートリッジはMC、MM、セラミック 型の三種類です。セラミックはフォノイコライザーアンプ不要なのですが、機会 があれば電蓄システムみたいな物を作って遊んでみようかと考えています。  MM型とMC型のどちらの音質が良いか。。。という議論はしませんが、 故・長岡鉄男氏によると、MC型の方が発電力は大きいとの事。
ざっくり計算してみると、

 MC型の出力電圧が0.3mV、負荷インピーダンスが40ohmとすると、
(0.3E-3)^2÷40=2.25nW

 MM型の出力電圧が3mV、負荷インピーダンスが47kohmとすると、
(3E-3)^2÷47E3=0.19nW

となります。
長岡さんがおっしゃっていたようにMC型はMM型に比べ1/10の出力電圧 ですが、電力は10倍大きいのです。

 自分は過去に両者の音質の評価を行い、MC型の方に軍配を上げていたの ですがが、MC型はステップアップトランスの音質を排除できない為正確とは いえず、違う物を違うと評価したに過ぎません。  それぞれの利点、欠点を良く理解した上で取り扱えば両者共それ相応の 高音質は得られるはずです。

 さて、ここではMM型をメインにしかも、JUNK屋さんで入手したコンポ用の MM型カートリッジを対象にアンプを作ろうと思います。何もすき好んでそんな 安物を。。。と言われそうですが、そこはステレオコンポ全盛の時代、今様の 安かろう、悪かろうの物とちょっと質が異なります。保守交換用として出番を 待つものの時代に取り残されてJUNK屋で埃を被って居た物に、今一度活躍 の場を与えようという事です。ケチなコンポではなく、金の掛かったアンプに 繋げるのですから悪い音を出すはずがありません。(笑)

【イコライザ回路】
 一般的なイコライザ回路を大まかに分けるとCR型、NF型、LCR型があります。 CR型は単純なパッシブフィルター回路で増幅は出来ませんので、予め前段の ゲインを大きくとる必要があります。従って、ダイナミックレンジを必要とするため ノイズに弱くなります。  次にNF型は帰還回路にフィルターを掛け、周波数毎の帰還量を変えてイコライズ します。両者共一般的なCRパーツで構成できるのでパーツの調達には苦労しません。   最後にLCR型は、定インピーダンス型が主流で、Lを含むため前段回路は 低インピーダンスを駆動するだけの電力増幅をしなければならず、実はかなり 設計・製作が難しい回路です。LCR型の音質が今一という方はドライブ回路を 見直した方が良いかもしれません。ちなみに、自分はLCR用のパーツを持って いませんので今のところ試作出来ないのが現状です。今後、代用品が見つ かれば試作するかもしれません。 

【デバイス】
 球マニアであればやはりイコライザーアンプも真空管を使いたいものですが、 真空管は内部抵抗が高いデバイスなので、カートリッジの微小入力を扱うには 不向きです。従って、イコライザ回路を真空管で作った場合、ノイズに弱く、SN 比を確保するのは簡単な事ではありません。  一方、半導体を使ったディスクリート構成のイコライザーアンプを作る場合、 半導体の入手が球以上に困難な状況であり、これも別な意味で簡単ではあり ません。なし崩し的に今のところ入手しやすい真空管を選択せざるを得ないの ですが、部品の入手具合によっては半導体アンプも視野に入れる事にします。  それから、OPアンプ”を使った簡単なイコライザアンプを作ってみてリファレン スにするつもりです。OPアンプを使ったアンプは汎用性が高く、音楽を聴くだけ でなく実験用のアンプとして使えるので一台作っておく事をお勧めします。

 Contents

   ・ 78rpm盤を再生する2006.5.16
   ・ オペアンプ5532Dを使ったイコライザアンプ準備中
   ・ WE-141型アンプを使ったLCRイコライザアンプの製作2013.1.23
   ・ 10Ж12С(WE-310A)フォノイコライザアンプの製作2017.12.30

 参考文献一覧

 ※手持ちの無線と実験誌、ラジオ技術誌から引用、参考にした物。

   ・ 無線と実験 1978.10月号 誠文堂新光社 310A-5692 ステレオイコライザー・アンプ  箕田 亮平著


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