こんなことで困っている

注意:対象となるお子さんの障害の程度や種類により対応できなかったり、適応でない場合があります。


むせる

食べ物の種類・形態では☆

水分・汁物

 さらっとして流れやすいので、口の中で一度ためて飲み込むことがうまくできない場合、のどの動きよりも早く流れ込むので、気管に入り込む。味噌汁は具と汁が分離しているので、飲み込みが下手だと、いっしょに飲み込むことができず、汁を最初に吸い込んでむせる場合と、残った具を吸い込んでむせる場合があります。

対策:とろみをつける。汁と具を一緒に口に入れない。ゼラチンで固める。

固形物

 咀嚼が苦手だったり、唾液とうまく混ぜ合わせることができない場合、よくこなすことなく飲み込むために、のどの通過が悪く、途中で引っかかったり、気管に吸い込んだりする。また、パサパサしたものや口の中でばらばらになりやすいものはむせやすい。

対策:よく煮込んで柔らかくする。適当な大きさにする。ぱさぱさするものは、とろみでくるむ。

☆介助の仕方☆

ペースが速い

 飲み込みの速度が遅いのに、次々に食べ物を与えると、処理速度が追いつかず、誤嚥につながる。

対策:交互食べが有効(一口与えたら介助者が一口食べる)です。口の中を見て飲み込んだことを確認する。

一口量が多い

 大人の口の容積と子供のそれとはかなり差があります。一回の量が多いと、口の中で唾液とうまくませ合わせることができなくなるので、結果としてのどを通過するときにむせる原因となります。時間内で早く食べさせようとすると一口量が多くなる。

対策:スプーン大きさやのせる量を加減する。

☆姿勢が悪い☆

 首のすわりが悪いと、どうしても、頭部が後ろにそり気味になります。この状態はのどの動きを制限します。ためしに頭を後ろにそらせて水を飲んでみてください。かなり苦しいと思います。

対策:顎が引き気味になるような姿勢を工夫します。

☆目覚め☆

 目覚めが悪かったりうとうとしている状態で与えると、むせます。口やのどの動きも目覚めていないからです。薬の副作用で傾眠状態になる場合も同様です。

☆のどの神経麻痺☆

 ある特定部分の脳神経が障害されたり機能低下するとのどの動きや食べ物の送り込みのタイミングが崩れます。

☆薬の副作用☆

 薬の副作用で唾液の分泌が減ると食べ物を混ぜ合わせることがうまくできなくなり、スムーズな飲み込みができなくなります。また、けいれんや発作を押さえる薬は、飲み込みや、送り込み動作やが悪くなることがあります。


こぼす

 唇をしっかりと閉じて食べ物の処理をしないと、口の外の食べ物が出てしまいます。

☆唇の筋力が弱い・上唇が降りてこない☆

 対策:口唇訓練・口唇マッサージなど。顔面神経麻痺を参照してください。

☆鼻で呼吸ができず常に口で呼吸している☆

 対策:耳鼻科で口呼吸の原因を調べてもらう。鼻呼吸訓練・口唇訓練などの間接訓練をします。

☆顔面神経麻痺☆

 対策:神経麻痺の原因をさぐる。該当部を冷たい刺激(アイシング)でマッサージをする。コミュニケーションが取れれば、頬を膨らませる練習、笛を吹く練習などをし、口唇周囲の筋力をつけます。

☆意識が低下している☆

 意識状態が低下していたり、目覚めが悪いと、口がうまく動きません。

 対策:生活リズムを整える・食事の時間を覚醒のよい時にあわせる。服薬の影響があるときは主治医に相談する。

☆姿勢が悪い☆

 いすやテーブルの高さが不適切。

 対策:→共通の練習法

☆舌が嚥下のとき口から飛び出す☆

 唇の閉じが悪かったり、逆嚥下だと嚥下するときに口の外に食物を押し出してしまう。

 対策:成人嚥下を覚えさせる・口唇の閉鎖介助・あごの閉鎖介助・口唇訓練

☆前歯が極端に前に飛び出している☆

 対策:歯の矯正が必要なので、専門医に診てもらいます。鼻呼吸ができなかったり、口唇の閉鎖する力が弱い場合、舌に押され歯が前に飛び出します。

☆食具がうまく扱えない☆

 対策:発達段階にあわせて、食具を選ぶ。手づかみ食べを習得する。


飲み込まない

 食べものは、噛み砕かれ、唾液と混ぜ合わされて、どろどろになって始めて飲み込めます。食物がこの状態まで、処理されていないと飲み込めません。(舌での押しつぶしや咀嚼がなされていない)

 ☆口を閉じることができなかったり、舌がうまく機能しなかったりしてもうまく飲み込むことができません☆

 対策:口唇や顎の閉鎖の介助をして、のどへの食品の送り込みを楽にします。 

☆食べものを認識できないため口の中に入ったものを意識的にかんだり飲み込んだりしようとしない☆

 対策:声かけをする。食品の温度、香り、味をはっきりさせる。好物を与える。

 ☆飲み込む機能が未発達、または発達と食物の形態が一致していない☆

 対策:機能発達の段階の再確認をして、調理形態を変える。

 ☆飲み込む機能が障害されている☆

 対策:専門家とともに原因を探り、間接訓練、直接訓練をする。

☆意識が低下している☆

 意識状態が低下していたり、目覚めが悪いと、口がうまく動きません。

 対策:生活リズムを整える・食事の時間を覚醒のよい時にあわせる。服薬の影響があるときは主治医に相談する。

 ☆飲み込むこと自体わからない(嚥下失行)☆

 対策:皆さん教えてください。

☆心理的な拒否がある場合☆

 不適切な介助法(無理やり食べさせられるなど)。食品や食事の環境で、過去に嫌な経験をしている。むせる、飲み込まないなどすべての摂食嚥下障害に共通です。


 かまない

☆口の機能の発達と食べ物の調理形態があっていない☆

 発達の遅れや障害があるにもかかわらず、咀嚼しなければ食べられないものを与えられる例が多く見られます。咀嚼ができるかどうかは、機能発達のページを参照してください。

 適切な大きさや柔らかさで与えれば食べることができるのに、硬い肉や生野菜、噛み切りができないのに一口量が大きかったりする処理が難しいものを与えれば、うまく噛むことはできません。

 かむ力自体が弱いと、機能的に問題がなくても、うまくかめません。全身の運動能力とも関係してきます。

☆心理的な拒否がある場合☆

 不適切な介助法(無理やり食べさせられるなど)。食品や食事の環境で、過去に嫌な経験をしている。むせる、飲み込まないなどすべての摂食嚥下障害に共通です。

 


 

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