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フューエルフィルター交換


・概要

ガソリン内にゴミが入っていると,そのままだとゴミがガソリンと一緒にエンジン内部に入り, 場合によってはエンジンの異常摩耗を引き起こす可能性がある.これを防ぐため,ガソリンタンクからエンジンまでの間に, ガソリンを濾過してゴミを取り除くためのフィルターがついている.で,長い間使ってゴミが限界以上にたまると, フィルターが詰まってガソリンが十分にエンジンに送られなくなる.今日,日本国内で販売されているガソリンに, それほど多くのゴミが含まれているとは思えないのだが,いちおう10万kmで交換することが推奨されているので, 交換しておくことにした.

また,EFI車の場合,燃料をポンプで加圧してインジェクターから噴射するわけだが, 圧力のかかった液体の流れを急激に止めると,液体は慣性で流れ続けようとするので, 急激な圧力の上昇が起き,場合によっては配管が破壊されることもある(ウォーターハンマー現象). また,インジェクターの噴射時には,瞬間的に燃圧の低下が起きる.これらの燃圧の脈動をやわらげるため, パルセーションダンパーという装置が付いている.X80の場合,パルセーションダンパーはフューエルフィルターに取り付けられている. 基本的に,それほど劣化ということは考えなくてもよい部品なのだが,私の車の場合, エンジン不調があってインジェクターなどの総点検を行ったこともあり, フューエルプレッシャーレギュレータなどと一緒に交換することにした.

・準備品

まず,修理書の図の確認. 通常は,車を持ち上げて,車の下から作業することになる(「2回目の交換」を参照). 今回はシリンダーヘッド載せ替えと同時に行ったので,上から作業できた. ガスケット類については,フューエルフィルターASSYとしてセットで販売されているので,単品で購入する必要はない. パルセーションダンパーについては,通常は交換する必要はないので,外した部品を再利用すればよい.下側のユニオンボルトも同様. ただし,取り外し時にネジをなめてしまったりしたら交換しないといけなくなるかもしれないが・・・. 今回は,上で述べたような理由により,特別に交換である.あと,22mmのスパナのちょっと上等なもの(できるだけ柄の長いもの) があれば,なおよい.

フューエルフィルターとパルセーションダンパー.
2. 3. 4. はすでに交換済み.
1. フューエルフィルター
2. インジェクター
3. ガスフィルター
4. プレッシャーレギュレータ
5. パルセーションダンパー

・実際の作業

まずシリンダーヘッド載せ替えの項にあるように,シリンダーヘッドを降ろす. で,シリンダーヘッドが降りて,他の人にピストン頂部を清掃してもらっている間に,こちらの交換作業を行った.

シリンダーヘッドを降ろしたところ.
黄色の内がフューエルフィルター
交換作業は,インテークマニホールドを外側に動かした隙間から行う.ちょっと狭いが,いちおう問題なく可能だった. インテークマニホールドガスケット交換の時にできなかったのは, スロットルボディに向かうウォーターバイパスホースとワイヤハーネスが引っかかっていたためだと思われる. であるので,この処理さえできれば,シリンダーヘッドを降ろさなくても上から交換できるのかもしれない. ただ,フューエルフィルターを交換するくらいでサージタンクを降ろすのも大変だし, 通常はやっぱり車をジャッキアップして下から交換ということになるだろうか. 修理書の図ではインテークマニホールドステーを取り外すことになっているが, 今回は上側の固定ボルトがインテークマニホールドをずらす時に外してあったので,ちょっとステーを傾けてやるだけで作業空間が確保できた. 今回の作業では,フューエルフィルターの上に付いているパルセーションダンパーを外すのがちょっと手間取った. 六角部の二面幅は22mmなのだが,スパナしかかけられない上に,ここにあったスパナが短いものだったので, なかなか緩まない(長いスパナを買ってあったのだが,今回,持っていくのを忘れてしまった). それでも手伝ってもらって,やっと外すことができた.下側の17mmのユニオンボルトは, ふつうのメガネレンチがかかるので,楽勝.あとフューエルフィルター本体を固定しているボルト2本を外せば, フューエルフィルター本体が取り外せる.さて,取り外したフューエルフィルターの中を覗いてみるが, はっきりいって汚れているかどうかわからない.これは割ってみないとわからないんだろうな. パルセーションダンパーは,新旧を比較すると,ガスケットの形状が少し変わっている.上から見ると同じ形なのだが, 新しいパルセーションダンパー用のガスケットは旧品には合わない.むむむ. とりあえずフューエルフィルターASSYについていた注意書きの通りのガスケットを使用することにした. 取り付けは,まずフューエルフィルター本体をエンジンブロックに固定し, フューエルパイプをガスケットを介してパルセーションダンパーとユニオンボルトで固定すれば作業完了である.

その後,シリンダーヘッドを載せる作業については,またシリンダーヘッド載せ替えの項で.

・交換後の結果

基本的に,詰まってさえいなければ,交換したからといって特に変化があるわけではないので, 実際に体感できるような変化はなかったはずである(シリンダーヘッド載せ替えと同時だったので, そちらで大きくエンジンフィーリングが変化したが).ともかく,これであと10万kmは心配ないだろう. 次に交換する時は,普通に下から交換ということになるだろうか.
(作業日:2002年3月24日)

2回目の交換

・概要

走行距離が25万kmを超え,前回のフューエルフィルター交換から11万kmくらい走ったので,2回目の交換を計画した. 今回はシリンダーヘッドは触らないので,修理書通りに下から交換することになった.

・準備品

先ほどの修理書の図の確認. 前回はシリンダーヘッドを降ろしてからだったので,フューエルフィルターをエンジンに取り付けたまま燃料配管の脱着が行えたが, 通常の状態ではフューエルフィルター周囲にはスパナをかけるような隙間はない.見回してみた結果, フューエルフィルターからフューエルデリバリーパイプ(インジェクターの根元)へ向かうフューエルパイプNo.1を, フューエルデリバリーパイプ側で切り離し,フューエルポンプを固定しているボルト2本を取り外して, フューエルフィルターをフューエルパイプNo.1と一緒に車体下へ落としてくることにした. この位置関係は,パーツカタログの図の方が見やすい.

必要な工具としては,フューエルフィルター上下のパイピングを取り外すのに,17mm,19mm,22mmのスパナが必要になる. インテークマニホールドステーの上側のボルトを外すときは,メガネ側が少し反った形の14mmのコンビネーションレンチが便利だ. また,フィルター本体やフューエルパイプ固定用のボルトを取り外すのに,長めのエクステンションやユニバーサルジョイントを用いた.
今回の交換部品
品名品番個数価格
フューエルフィルターASSY23300-4917516100
ガスケット90430-12026280

・実際の作業

通常なら,まず燃料流出防止作業を行って燃圧を抜いておく必要があるが, これはインジェクター交換のページを参照のこと. 今回はフューエルポンプ交換に続けて行ったため,この作業は不要だった.

作業を始めるにあたって,ちょうど作業場に1JZ-GEのインテークマニホールド周辺部品が転がっており, 作業の手順を考えるときに,とても良い見本として役に立った(下の写真).
修理書の図と見比べていただければわかるように, まずインテークマニホールドステーを取り外し(), フューエルパイプNo.1を固定しているボルト2本()と, フューエルフィルター本体の固定ボルト2本()を取り外せば, いちばん下のフューエルメインホースは軟らかいゴムホースなので,全体を車体下に引き落とせることがわかる.

これで部品配置は解ったが,実際にやろうとすると,どのボルトも非常に手の入りにくい場所にあって, たった6本だけなのに,かなり苦労させられた.しかも,エンジンルームの上からと下からの両側から作業する必要があり, ジャッキアップしたままで上からも作業するのは,足台を使っての作業になるので,作業中の転倒にも注意しないといけない. 救いとしては,フューエルフィルターはエンジンマウントの後ろ側にあり,エンジンアンダーカバーを外す必要はないことだろうか.

作業は,最初にインテークマニホールドステーを取り外す.上側のボルトは,普通に上から緩めるのだが, 先端が少し反った形状のメガネレンチがあると,わりあい容易に緩めることができる(まっすぐのメガネでも緩められなくはない). 下側は,クルマの下に潜って,3/8のラチェットを使って緩める.エクステンションの長さを上手く選んで,回すスペースがとれるようにする.

ステーを取り外したら,次はフィルター本体を固定しているボルト(前後2本)を緩める. このボルトの位置について,下から見上げた状態は次の写真の通り.

内が後ろ側のボルト(12mm)

前側のボルト(12mm)
前側のボルトの上下に見える14mmのボルトは,エンジンマウンティングブラケットのボルトなので,間違えないように. あとはフューエルパイプを固定しているボルトと,フューエルデリバリーパイプとの接続部のユニオンボルトを緩める. ユニオンボルトはエンジン後端の上から見えているので容易だが(横を通るバキュームホースが少し邪魔), もう1個のボルトはインテークマニホールドの真下で,シリンダーヘッドのすぐ近くの位置にあるので, かなり長めのエクステンションを使わないと難しい(ボルトは10mm角なので工具は1/4で十分). これを緩めれば,フューエルパイプをひねるようにして下に落とし,フューエルフィルターを下に引き出す.
上の写真のようになったら,あとはフューエルフィルターからホースを取り外して, 新しいフューエルフィルターとガスケットに交換するだけである. 上側のパルセーションダンパーと下側のユニオンボルトを緩めるわけだが, フューエルフィルター側にある六角部分にスパナをかけて回り止めをしないと緩まないから注意. パルセーションダンパーは22mm,ユニオンボルトは17mm,フューエルフィルター側の六角部は19mmになっている. フューエルフィルターを無事に取り外せたら,新しいフューエルフィルターとガスケットを用意して, 取り外しとは逆の手順で取り付けていけばよい(フューエルメインホースを交換する場合は, ここで新しいホースに交換する).

ホースの取り付けが済んだら,フューエルフィルターを元の位置に装着するわけだが, フューエルパイプNo.1を元のように通すのがなかなか難しい.上から誰かに引っ張ってもらうか, 何か紐のようなものを上から通して,それに結んで引き上げるようなことをしないと難しそうだ. それがうまくいけば,あとは上と逆順でボルトを締めれば完成である.

最後にエンジンをかけてみる.初めはフューエルフィルターがカラなので,エンジンがかかるまで時間がかかるが, 焦らずクランキングを続けていると,最初は「ブスブス・・・」という感じでエンジンが回り出し, もう少しすると普通に回るようになる.しばらく回したら,今,作業をした部分の燃料パイプの接続部を観察. ガソリン漏れがないかよく確認しておく(漏れていると,走行中に出火する恐れもあるので,念入りに確認). これで問題がなければ,すべて終了である.

・交換後の結果

あたりまえだが,交換したからといって何かが変わるわけではない.これでまた10万kmは大丈夫だろう, という安心を手に入れただけである.そうすると,次回交換時には総走行距離が36万kmくらいになる計算であり, 「月まで走ろう(約38万km)」の目標まであと一歩になる.なんとかそこまで頑張りたいものだ.
(作業日:2005年12月29日)

最終更新日:2006年1月3日

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