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インテークマニホールドガスケット交換


・概要

アイドリング時のエンジン振動に関して,プラグやプラグコード,インジェクターも交換したが症状に変化がないので, あやしいひと仲間に相談したところ, インマニガスケットからのエア吸い込みの可能性を指摘された.たしかにこれだと, アイドリング中のような負圧の大きいときに不調になり,アクセル開度の大きいとき(負圧が小さいとき) にはあまり影響がない,ということで,今の症状と符合する点が多いように思われた. 作業的には,前回のインジェクター交換に近いが,あとサージタンクとインテークマニホールドを取り外す必要がある. ただ実際にやってみると,ウォーターバイパスホースがインテークマニホールドの気筒間をくぐっているのと, ハーネス類が後ろに張りついていて,インテークマニホールドを取り外すことはできなかった (ガスケットを交換できる程度の隙間はできた)ので,前回,見送りになっていたフューエルフィルターとパルセーションダンパーは, 今回も交換できなかった.これに関しては,近く車の下側から交換しようと考えている. (追記:後日,シリンダーヘッド載せ替え時に交換した.)

・準備品

まず,修理書の図の確認.→(こちら
準備する物は,インテークマニホールドのガスケット(シリンダーヘッド側とサージタンク側の2種類)の他に, インジェクターとフューエルデリバリーパイプを取り外す必要があるので,フューエルパイプのガスケット (IN側とリターン側2枚ずつ)が必要になる.工具類では,インテークマニホールドをシリンダーヘッドに固定しているボルトが, インテークマニホールドの真下にある場所が何カ所かあって,通常の工具では緩めるのがかなり困難だが, ドア立て付け調整用のムーンレンチがあると圧倒的にやりやすくなるだろう(今回は使用しなかったが). また,インテークマニホールドステーの固定ボルトを緩めるには,メガネレンチの中でも, オフセットがなくて先端が20°くらい持ち上がっているようなコンビネーションレンチがあるとよい(これも今回は使っていないが). なお,今回はECUのバキュームセンサー用のガスフィルターを交換するため,ガスフィルターと (写真はインジェクター交換を参照)24mmのディープソケットも用意してある.

・作業の実際

 (1)燃料流出防止作業

 (2)スロットルボディを動かす

この作業は,前回のインジェクター交換と同じである.

 (3)サージタンク取り外し

インジェクターを取り外す前に,この作業では先にサージタンクを取り外した方が,後の作業がやりやすくなる. サージタンクには,前方にオイルレベルゲージやダイアグノーシスコネクタ(左下写真), 後方にはエンジンハーネスがくっついているため(右下写真),それらを取り外す.
またATFのレベルゲージがサージタンクを固定しているボルトの前にあるので,レベルゲージを抜いておく(下写真緑円内). さらにサージタンクのインテーク側についている可変吸気バルブ用のバキュームホースを抜いておかないといけない. これであとは上側のサージタンクステー(写真なし)と,インテークマニホールド側の両端のナット2個 (下写真橙円内・右端は矢印の先のハーネスの裏),内側のボルト5本(下写真赤円内)を抜くとサージタンクが外れる.

サージタンクの固定ボルト/ナットの位置

サージタンクを外したところ.
後で写真を見て気づいたことだが,少し見にくいが,
1番と4番の吸気ポートだけがやたらと汚れている.
吸気側への吹き返しを示唆する所見だったのだが,
このときにはそこまで思い至らず,そのままだった.
サージタンクを取り外す前に,ECUのバキュームセンサーへの配管の根元についているガスフィルターを, 交換のために取り外す.24mmのディープソケットを使用した.(通常はここまで交換する必要はない)

 (4)燃料配管の切り離し

 (5)フューエルデリバリーパイプ取り外し

この作業も前回のインジェクター交換を参照のこと. ただしサージタンクがないので,作業自体はやりやすくなっている.

 (6)インテークマニホールド取り外し

まず,インテークマニホールドとサージタンク接合面側で,前方についているECUのアースポイントと, 後方にあるATFのレベルゲージの固定ボルトを外す.次に中央部のインテークマニホールドステーの固定ボルトを取り外す. このとき,メガネレンチの中でも,先端が20°くらい少し持ち上がった形状のものを使うと, 無理なく緩めることができる(まっすぐのものでも緩められないことはないのだが). インテークマニホールド前よりの裏側にある,リターン側のフューエルパイプは,無理に外さなくてもよいのだが, 固定ボルトを外してフリーにしておくとシリンダーヘッド側の固定ボルトを緩めるときに手が入れやすくなる. また,シリンダーヘッド吸気側前端にあるエンジンハンガーが,いちばん前よりのナットを緩めるときに少し邪魔になるので, 取り外しておく.あとはインテークマニホールドをシリンダーヘッドに固定しているボルト7本とナット2個を緩めるとよい(下の写真). ただし,この固定ボルトのうち,マニホールドの裏側にあるボルトは,なかなか緩めるのに苦労する. 手前側については裏から手を入れたり,長めのエクステンションで回せないことはないのだが, 奥の4番ポートの裏側についているものなど,どうしようもないようなものもある. 今回はまっすぐの普通のコンビネーションレンチだけでなんとか緩めることができたが, 一般にはドア立て付け調整用のハーフムーンレンチのようなものがないと困難だろう.これを使えば,わりあい簡単に取り外しできる.

インテークマニホールドの固定ボルト(赤)と,
ナット(緑).下側の4本が緩めるのが難しい.
ここまでくると,インテークマニホールドが動かせるようになるが, 最初の予定ではインテークマニホールドを取り外すはずだったのだが,ここで見てみると, ウォーターバイパスホースがインテークマニホールドの気筒間をくぐっている.ということは, やっぱり冷却水を抜かないと取り外せないのだろうか.少しがんばってみたところ, ウォーターバイパスホースを抜かなくても,インテークマニホールドガスケットを取り外せるくらいの隙間ができることがわかった (下の写真).そこで,今回はインテークマニホールドはそのままで,ガスケットだけを交換することにした. 従って,当初,予定していたフューエルフィルターの交換は,次回ということになる.

インテークマニホールドをずらしたところ.
これくらいでガスケットは交換可能である.

 (7)外したガスケットのチェック

取り外したガスケットを,新品と比較してみる.一見したところ,どちらも同じもののようである. 新型車解説書によると,1JZ-GTEの場合は,一層のステンレス板にニトリルゴムコーティングを施したものとあるので, 1JZ-GEの場合も同じと考えられる.表面をよく観察すると,一部,コーティングがひび割れてはがれているところがあったが, ひび割れがガスケットのシール部に到達しているところはなかった.
上の写真は1番と2番の部分であるが,二つの吸気ポートの間の部分に少しひび割れがあって, コーティングがはがれかけている部分があるが,シール部にはひび割れはなさそうである.

 (8)再取り付け

あとは,ガスケットを新品に交換して,元通りに組み直す.なお,インジェクターを戻すときに, インジェクターのバイブレーションインシュレータが,おそらく前回交換時, 最初に組み付けたときに少しずれたままで締め込んでしまったためか,少し傷んでいるのがわかった. 今回はインシュレータの予備はないので,これに関しては近い将来に再交換した方がよいかもしれない.
(追記:後に,シリンダーヘッド載せ替え時に新品に交換した.)
とりあえず,今回はきちんとつけようと思い,インシュレータをインテークマニホールドにセットしてからインジェクターを差し込んでみた. ところが,このように先にインシュレータをインテークマニホールドに入れてしまうと, インシュレータが周囲から押さえつけられるため内径が小さくなり,インジェクターを通すことができなかった. 仕方がないので,前と同じようにインシュレータをまずインジェクターにセットしてから,インジェクターごと差し込むようにした. この場合もインシュレータ内部にインジェクターの先端が入っていてインシュレータが膨らみ, インテークマニホールドの穴になかなかうまく入らない.ただ,この場合はドライバーの先などでインシュレータのゴムを, 穴にはまるように押し込んでやると,なんとかおさまるようである.その状態でフューエルデリバリーパイプを固定して, インシュレータの座りが正しいかどうか確認して,何とかここはOKとなった. あとは燃料系のガスケットを新品にして締めつけ,スロットルボディなどを戻し,コネクタやホースを元通りに差し込んで, 作業完了となった.
また,この作業のついでに,パワステのアイドルアップホースの交換を行っている. 作業記録はこちら

・交換後の結果

取り外したガスケットに,シール部に達するようなひび割れなどは見られなかったことからも予想されたことだが, 残念ながらエンジンの状態については作業前と何も変化なかった.こうなると,やはり燃焼室内部やバルブなどの問題なのだろうか. そうするとエンジンオーバーホールということになり,ちょっとこれは個人でやれる範囲を超えているように思われる. 秋の点検の時に一緒にエンジンO/Hしてもらおうかな・・・.(作業日:2002年2月16日)

最終更新日:2002年10月18日

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