注意
下の最終結論の項に説明しているように,この作業は結果的にはあまり意味がなく,
最終的には中古パワステポンプへの交換またはオーバーホールが必要だった,という結論になってしまった.
ただ,原因追及の上で,バルブの滑りの状態を調べることは有益と思われるので,「交換」ではなく「分解・点検」
を主眼として読んでほしい.
症状と,原因についての考察
ときどき高速走行直後にインターチェンジやパーキングエリアで大きく曲がろうとするとパワステが効かなくなることがある.
たいていはハンドルを回しているうちに「ガクッ」という感じで急に効くようになって,それ以後は何ともない.
重いままで走ったこともあるが,高速道路本線のカーブやレーンチェンジ程度だと,問題なく効いている.
以上の所見からは,
- パワステポンプの油圧は発生している(小舵角では効いているので)
- パワステの作動部の動作も問題ない(街乗りでは生じない)
- 高速走行により高い圧力がかかり,そのためどこかのバルブが押しつけられた状態で固着してしまい,
大舵角で必要な油量を供給できなくなって,効かなくなるのではないか.そして固着がはずれるとフルードが流れて,
パワーアシストが効くようになる.
といったことが考えられる.このパワステをコントロールするバルブとしては,パワステポンプ内のフローコントロールバルブと,
ステアリングシャフトについているロータリーバルブの2つがあるが,上の症状からはフローコントロールバルブの方があやしいと思われる.
修理書を見ると,バルブの気密点検で側面から空気圧をかけたときに両端からエアがもれないことを確認となっているが,
これは高回転時にパワステポンプからの圧力が高くなった際にフルードの流れを制限するためのバルブが,
空気圧で閉じるためなのだろうけど,このバルブの戻りが悪くなっているのではないか.
つまり高回転時の高圧により押しつけられたバルブが戻らず,そのためにパワステフルードが移動できなくなっていると考えた.
したがって,現在の症状を改善するためには,このバルブだけを交換すればよいと考えられる.
ただし,パワステポンプは他にもベーンプレートやベアリングといった消耗品があり,
近いうちに寿命を迎える可能性があるので,どうせならポンプ全体を交換すれば,という意見もあるだろう.
ただ,いまのところ異音などの他のトラブルはないようであり,バルブとフルード交換によりパワステの動作が滑らかになれば,
他の構成部品に対するストレスも減って寿命が延びるのではないかと考え,今回はバルブのみ新品交換して様子を見ることにした.
交換手順の検討
修理書によると,フローコントロールバルブの交換には,まず
- パワステフルード抜き取り
- ホース類取り外し
- 車をジャッキアップ
- エンジンアンダーカバー取り外し
- 補機ベルト取り外し
- パワステポンププーリー取り外し
- パワステポンプ取り外し
の手順を踏む必要があるが(→脱着図),
パワステポンプの分解構成図を見ると,
フローコントロールバルブは,プレッシャーフィードチューブ(いわゆるパワステホース)
のついている側から一直線に抜けるように書いてある.そうすると,この抜ける側に十分な作業スペースがあれば,
べつにパワステポンプをエンジンから外さなくてもバルブは交換可能なように思えた.そこでエンジンルームをよく観察すると,
バッテリーを外してしまえば,このプレッシャーポート周辺に十分な空間が確保できそうなことがわかった.
プレッシャーフィードチューブは少し下向きに出ているので,バルブが滑り落ちてきて落下させたりしないかだけが心配だが,
なんとかなりそうである.あと,バルブを交換するならついでにパワステフルードも交換してしまうといいだろう.
必要な部品は,バルブ本体の他にOリングとプレッシャーポートユニオンについているガスケット2枚くらいである.
この場合の作業手順は,
- パワステホース取り外し(17mmのフレアナットレンチを使用)
- フローコントロールバルブのユニオンボルト取り外し(24mmのソケットレンチを使用)
- プレッシャーポートユニオン取り外し(24mmのソケットレンチを使用)
- (これによりバルブとスプリングが抜ける)
という具合になるだろうか.修理書のバルブの構造図から見ると,交換しなくても,
ブレーキクリーナーなどで洗浄してやるだけでいいような気もするが,せっかくなので新品に交換することにした.
参考のため,パワステポンプ周辺の写真を下に示す.
1.リザーバタンク 2.リターンホース 3.プレッシャーポートユニオン 4.ユニオン(エアコントロールバルブ用)
5.ユニオンボルト 6.プレッシャーフィードチューブ(いわゆるパワステホース) 7.エアコントロールバルブ
部品の調達
トヨタ部品共販で注文しようとしたところ,バルブはパワステポンプのハウジングによって数種類あることを忘れていた.
エンジンルームをあけてパワステポンプを見ると,「10 F」と書いてある.どうやらFのようだ
(あとで修理書を見ると,見る場所が違っているような・・・だいじょうぶかしら?).
またプレッシャーポートにつくエアコントロールバルブのユニオンのガスケット2枚は,
現在では2個の銅ワッシャがつながれてコの字形になったものに変わっていた.さすがに10年も経つと設計変更があるんだな.
2003年3月12日追記:
2003年版の電子カタログで調べたところ,この「コ」の字形のガスケット(44327-12010)
は実はプレッシャーフィードチューブのギヤボックス側のガスケットであり,
本来,ここで使用すべきガスケットは旧来の円盤状ガスケット(90430-16242)2枚であることがわかった.
あとプレッシャーポートユニオンのOリングと,念のためスプリングも注文しておいた.
スプリングはプレッシャーポートユニオンとセットになっているようなので,ユニオンごと交換ということになりそうである.
価格は,フローコントロールバルブが4910円,プレッシャーポートユニオンが2720円で,
あとのスプリングやガスケットは100円前後であった.
修理書でフローコントロールバルブの種類を示す刻印の位置を確かめると,プレッシャーポートの出口の横にあることになっている.
これは左下方に向いているので,ミラーを使って確認すると,「E」とも「F」ともつかない字が読みとれた.
絵で描くとこんな感じ→である.
下にちょろっとあるのは「F」ではないということだろうから,「E」なのであろう.よく考えると,
これはミラーに映しているので,上下が逆になっているわけだから,ますますこれは「E」と考えざるを得ない.
仕方がないので,バルブについては再注文する.刻印の位置を下の写真に示す.
刻印の位置
| ミラーで見たところ.
|
2003年3月12日追記:
後日,パワステポンプ交換の際に刻印位置を確認したところ,
次の写真のように2通りのパターンがあった.
左下の写真は「E」と読める.右下の写真は・・・何とも難しい.内部を分解すると,
フローコントロールバルブは「B」が使用されていたので,どうも「B」ということのようだ.
ちなみに修理書の図では,右下のパターンが示されていた.
さて,実際に届いた部品を見ると,バルブとプレッシャーポートユニオンの形状が,
修理書の図とずいぶん違っていることに気付く.また型番も違っている.どうやら途中で設計変更されたらしく,
そのためバルブを交換する時はプレッシャーポートユニオンも同時に交換しないと正常に作動しない,ということのようだ.
一方,スプリングは単品で存在しており,プレッシャーポートユニオンとセットというわけではなかった.
今回の交換部品
品名 | 品番 | 個数 | 価格
| フローコントロールバルブ(type-E)(*1) | 44330-22321 | 1 | ¥4910
| コンプレッションスプリング | 90501-13034 | 1 | ¥80
| プレッシャーポートユニオン(*1) | 44308-22102 | 1 | ¥2720
| Oリング | 90301-19013 | 1 | ¥120
| ガスケット(*2) | 44327-12010 | 1 | ¥150
| (*1) : 仕様変更品につき,セットで交換すること
(*2) : 90430-16242×2 が本来,使用すべき品番
|
実際の作業
バルブの交換に先立って,新品のバルブが古いフルードで汚れないように,パワステフルードを交換しておく方がよいのだが,
今回は前日のX80系のオフ会で簡単な交換作業をしているので,あらためて交換する必要はなかった.
準備したのは,予備のパワステフルードと17mmのフレアナットレンチ,ソケットレンチのセット,
ペーパータオル,排液を受ける容器(ペットボトル),あと新品バルブやガスケット一式といったところである.
フレアナットレンチは,コンビネーションレンチ型だけでなく楕円形のソケット型も買っておいたはずなのだが,
このときは見当たらなかったので,今回はあきらめた(後日,発見された).コンビネーションレンチ型は柄の長さが短いので,
あまり力が入れられずにフレアナットを緩められない心配があるが,ないものは仕方がない.
いよいよボンネットを開けてバッテリーを外し,作業開始.作業前にパワステフルードを抜いておくかどうか迷い,
できたら抜いておこうと思って,リターンホースをはずそうとしたのだが,これがなかなか抜けない.
工具箱を探したがペンチがなかったので,抜くのをあきらめた(後で探すと,ペンチはトランク内に落ちていた).
フルードを抜かなくても,エンジンが回っていなかったらバルブ内にわずかに残っている分しか出てこないだろう,と思って,
ホースの下にペーパータオルを何枚か敷きこんでから,パワステのプレッシャーフィードチューブを緩めにかかる.
前述の通り,このフレアナットレンチは長さが短いので,緩まなかったらどうしようと思ったのだが,幸い,無事に緩めることができた.
ただ,このとき軍手をしていなかったため,緩んだ時にはずみでボディの一部に手をぶつけてしまった.
やっぱり車いじりのときには,必ず軍手をしないといけないことを痛感させられた.
いったん緩めば,あとは手でも回せるので,完全に緩めてチューブを抜くと,ドーッとフルードがあふれてくる.
おいおい,勢いが強すぎるぞ.これってもしかして,リザーバ内の全部のフルードが出てくるんじゃあ?
敷いておいたペーパータオルは,あっという間に容量オーバーして回りやら下やらにフルードがあふれてしまった.
とりあえずペーパータオルをありったけ出してまわりに敷いたのだが,それでも駐車場の地面に大きなフルードのシミを作ってしまった.
今から思うと,あわてずにチューブを戻して流出を止めてから,ゆっくり対処を考えればよかったのだが,
そのときは必死だったので,そこまで考えが及ばなかった.次回からは,下にちゃんと受ける容器をおいてやりましょう.
そうしているうちに,フルードがほとんど出尽くしたようで,ほぼ流出が止まったため,
次のエアコントロールバルブのユニオンボルトを緩めることにした.事前調査では23mmだと思っていたのだが,
やってみると23mmでははまらない.24mmだった.かなり強く締まっていたが,スピンナーハンドルを使えば簡単に緩んだ.
ユニオンボルトを抜いて,エアコントロールバルブはそのへんで遊ばせておく.ここで,問題発生.
作業工程の写真を撮ってから見てみると,エアコントロールバルブの位置がずれている.
よく見ると,エアコントロールバルブにつながるホースの接続部が,片方,折れているのだ.
折れたところは,瞬間的に強い力が加わってパキッと折れたのではなく,根元が腐ってもげたような感じになっている.
周囲の状況をよく確認すると,この折れた側のホースが,パワステのリターンホースに当たっていて常に押されているような状況で,
エンジンの振動などが加わったため接続部が劣化して折れたようだ.これは配置上の間違いじゃないかとも思ったが,
どちらにしても今日はどうしようもないので,週明けに部品を買いに行くことにして,
とりあえずこのエアホースはサージタンクにつながっており,開放したままだと空気を吸い込んでエンジン不調の原因ともなるので,
接着剤で塞いでおくことにした.
折れたエアコントロールバルブと,ユニオン, ユニオンボルト,ユニオンガスケット.
ユニオンガスケットが違うことに注意.
本題に戻って,次はプレッシャーポートユニオンを外す.こちらも24mmだった.
抜くときにいっしょにフローコントロールバルブとスプリングが落ちてくるかもしれないと思って慎重にはずしたが,
残ったフルードが少し流れてきただけで,バルブは落ちてこなかった.ラジオペンチで内部を探ってみると,
意外とバルブがくっついていて簡単には抜けない.本来は滑らかに動かないといけないものだと思うので,
これもパワステ不調と関係あるのかもしれない.しっかりつかんで引っ張り,やっと取り出すことができた.
取り出したものを,今回,買ってあった新品と比較すると,バルブ,プレッシャーポートユニオンとも,
かなり形状が異なっている.前のものは,いろいろトラブルが多かったのだろうか.スプリングに関しては,
新品と外したものとでは,長さは同じようだ.再使用できると思うのだが,バルブの形状がかなり変わっているため,
念のため今回,買った新品の方を使用することにした.あとバルブには,おそらくポートの内径によってAからFまでタイプがあり,
ポンプ側とバルブ側で同じタイプのものを使用する必要がある.ポンプ側の文字は,見方によって「E」に見えたり「F」に見えたりして,
結局「E」と「F」の両方を買ってあったのだが,実際にバルブを見てみると「E」だったので,「E」のものを使用することになった.
新旧バルブの比較.上が新品,下が使用済み
いよいよ組み付けであるが,まずプレッシャーポートユニオンにOリングをはめる.
次にバルブとスプリングをポートに入れて,プレッシャーポートユニオンで押さえ込む.伝わってくるバネの感触が,
滑りがよいことを示しており,うまくねじ込んでからレンチで締めつける.あとはエアコントロールバルブのユニオンを取り付け,
最後にプレッシャーフィードチューブを締め込んでできあがり.とりあえず周囲のフルードがあふれた部分をできるだけきれいに拭き取り,
バッテリーを戻して,パワステフルードをいっぱいまで注入したら,いよいよエンジン始動である.エンジンをかけてみると,
パワステポンプの内部がカラになっていたためか,最初カラカラと変な音がしたが,2秒ほどでおさまり,あとは特に問題ない.
エア抜きのために数回,ハンドルを左右にめいっぱいまで切ることを繰り返し,エンジンを止めてからパワステフルードをチェックすると,
エアが抜けたためかフルードレベルが規定以下に下がってしまっている.その分を補充して,もう一度,エア抜き作業を行う.
そのあとのフルードレベルが問題ないことを確認して,すべての作業が終了した.(作業日:2001年11月24日)
結果
作業終了後の試走では,全速度域,特に車庫入れ程度の極低速時の操舵力がかなり軽くなっているように感じられた.
翌日,金沢まで往復したのだが,高速走行直後でもハンドルの切れ方はスムースだったようだ.でも,ちょっと重い?
これは全体にハンドルが軽くなっているので,それに慣らされてしまい,高速を降りる時に重く感じてしまうのではないだろうか.
もともと高速走行後にハンドルが重くなるのは毎回起きることではなく,一度,パワステフルードを交換してからは,
高速の出口の最初のカーブでハンドルを切り始める時に少し引っかかるような感じがする程度だったので,
今後の状態を追跡する必要があるだろう.
2002年3月14日追記:
その後,約4ヶ月が経過し,1万km以上走ったが,パワステが重くなる症状はまったく出ていない.
完治したと言ってよさそうに思える.ということは,あのパワステが重くなる原因は,
やはりフローコントロールバルブの固着だった,ということなのだろう.ただし,
固着に至った背景としては,おそらくパワステフルードの劣化があったと思われるので,
パワステフルードの定期的な交換が必要だったのでは,と考えられた(この車の場合,おそらく10年間無交換だったと思われる).
2002年7月15日追記:最終結論:
半年ほど経過した頃,走行中に前車を追い越そうとしてアクセル全開にした後のカーブで,
急にハンドルの感触がおかしくなった.最初はサスペンション系のトラブルかと思ったが,直進安定性は特に変化がなく,
むしろハンドルの重さがエンジン回転によって変化するような感じになっていて,
車庫入れ時の据えきりは激重ハンドルになってしまっており,少しエンジンを吹かすと軽くなる
これにより,パワステの供給圧力の調節不良,すなわちフローコントロールバルブ周辺のトラブルが疑われたため,
翌朝,上記の手順に従って点検してみた.その結果,前回よりもさらにひどくバルブが固着しており,
ハンマーで叩いてやっと取り出せた.バルブ自体の外見はきれいで,固着の原因はポンプハウジング側にあると考えられた.
そういえば前回も,取り出したバルブの表面にはスラッジの付着はあまりなく,バルブ自体にはあまり問題がなさそうだった.
本文中にあるように,私は最初はフローコントロールバルブ内部のリリーフバルブの固着(開きっぱなし)かと思い,
フローコントロールバルブ交換を考えたのだが,今回の場合は,おそらくハウジングへのスラッジ付着により,
フローコントロールバルブの外側で固着が発生したものと思われ,この場合はバルブを交換しても状況は改善せず,
ポンプ全体を洗浄・オーバーホールする必要があったようだった.したがって,もし同様な症状の出ている場合は,
上記手順に従ってフローコントロールバルブの滑りのチェックをして,動きが滑らかだったときはバルブ交換で治る可能性があるが,
もし動きに引っかかりがあるようなら,すなおに中古パワステポンプへの交換またはオーバーホールを勧める.
この作業については,パワステポンプ交換 および
パワステポンプオーバーホール の項に述べているので,併せて読んでほしい.
後始末
作業中に折れたエアコントロールバルブであるが,これはパワステが高負荷時にアイドルアップするためのスイッチということだ.
具体的には,車庫入れや据えきり時にエンストしないためのもので,据えきり時にアイドリングが不安定にならないのなら,
べつに壊れていても支障はないらしい.とはいうものの,壊れたままでは気持ち悪いから,修理しておきたい.
なお,このエアコントロールバルブのエアホースを塞いだ状態では,
夜間にヘッドランプをつけた状態で停止して,ハンドルを切りながらアクセルをほとんど踏まずに出ていくような状況下で,
少しエンジンがブスブス言うことがあった.
というわけで部品共販で新品を買ってきて(新品は8800円もする),
またエアコントロールバルブは油圧を受けて作動するようになっているので,
再度,パワステフルードを抜いて入れ直さないといけないから,予備のパワステフルードを購入して作業に臨む.
今回はプレッシャーフィードチューブの下にペットボトルの口を切った受け皿を用意して作業することにした.
ここで,一つ心配なことがあった.エアコントロールバルブはユニオンにねじ込んであるのだが,
そのネジを回すための六角部分は,周囲が太いためスパナしかかからないのである.
六角全部に力のかけられるソケットレンチやメガネレンチと違い,スパナは2面にしか力がかけられないので,
ネジが固着していた場合は六角部分をなめてしまう可能性が高い.そこでパワステフルードを抜く前に,
エアコントロールバルブのネジが緩むかどうか確認することにした.前回の作業で,
もしかしたらバッテリーを外さなくても可能かもしれないという感触があったので試してみたが,
残念ながらバッテリーやCATZ ZETAのユニットがじゃまになってネジが回せない.仕方なくバッテリーを外し,
CATZ ZETAのユニットも少しずらして場所を確保した.さて,いよいよスパナをかけてみるが・・・・う〜ん,回らん.
衝撃をかけてみたりしたが回らず,逆に六角部分をなめてしまう結果となった.
スパナの向きを変えると,別の2面にもかけられそうだったので,次はCRC5-56を吹いてから作業してみた.
しかし,結果は同じ.やっぱり緩まずに角をなめてしまった.あらら.
これはユニオンごと交換するしかないのだろうか.まぁ,ユニオンなんて単なる鉄の塊だから,
値段もせいぜい数百円だろうし,いいか.
その後,部品共販でユニオンを注文しに行ってきた.ところが・・・
コンピュータで検索しても,ユニオンの部分の図が出てこない.あれれれ?
上のところに形式名(GX81やMX83など)が出るのだが,JZX81として出てくる図面が,
実際のパワステポンプの図と全然,違うのである.以前にフローコントロールバルブを注文した時には,
ちゃんと正しい図が出てたのに.いろいろ調べてもらったのだが,結局JZX81としては表示されず,
しかたなしにJZX90で検索すると,エンジンが同じであるためか,パワステポンプも見たところ同じ図が出ていた.
まぁ,ユニオンというのは単なる分岐パイプで機能部品じゃないから,ネジさえ合えば問題ないだろう,
ということでJZX90用の型番で出してもらった(価格は660円).またユニオンの前後にはガスケットが必要なのだが,
JZX81用のガスケットは前後の2枚が連結されて「コ」の字形になっているものだったのに,
JZX90用は連結していない普通のガスケット2枚になっている.こちらもJZX90用で出してもらう.
あとで以前にJZX81用として購入したものと比較してみると,こっちの方が値段が高い.
JZX81用は2枚くっついたものが150円だったのに,JZX90用は1枚110円が2枚である.なんで特殊なものの方が汎用品より安くなるんだ?
よくわからないが,とりあえずエアコントロールバルブのネジは合っていたし,ガスケットも同じサイズだったので,
おそらく問題ないだろう.
2003年3月12日追記:
2003年版の電子カタログで調べたところ,ユニオンに関してはJZX81とJZX90は同一品番(44413-14090)
だったので,まったく問題ないことがわかった.ガスケットについては,「コ」の字形のガスケット(44327-12010)
は実はプレッシャーフィードチューブのギヤボックス側のガスケットであり,本来のユニオンガスケットは,
JZX90と同じ円盤2枚(90430-16242)であることがわかった.
今回の交換部品
品名 | 品番 | 個数 | 価格
| エアコントロールバルブ | 17630-70020 | 1 | ¥8800
| ユニオン | 44413-14090 | 1 | ¥660
| ガスケット | 90430-16242 | 2 | ¥110
|
新品のエアコントロールバルブとユニオン,ガスケット
そして,三度目の正直で,エアコントロールバルブの交換作業にかかる.
前回,パワステフルードをかなりこぼしてしまったこともあり,今回は下にペットボトルを受け皿として置いておいた.
プレッシャーフィードチューブを緩めていくと,接続部からフルードがたら〜っ,と垂れてきた.
ここまではよかったのだが,チューブを抜くと,垂れる位置がずれて,受け皿の外に流れてしまった.
これは受け皿の位置をずらして対処できたのだが,あとチューブ側からも結構,あふれるように出てくる分があり,
これがチューブを伝って違う場所にこぼれてしまっていた.そこで,下にペーパータオルをあてがって,
伝ってくるフルードがペーパータオルに吸収され,受け皿に落ちるようにして対処したのだが,
結局,また少し地面にしみができてしまった.ううむ.あと,リザーバタンクのフルードが全部出てしまうのかと思ったら,
流出がほとんど終わってから見ても,リザーバタンクにはフルードがたくさん残っている.
最終的に流出した量は150〜200ml程度だったようだ.続いてユニオンボルトを緩めるわけだが,
ここでもトラブル発生.ユニオンボルトを緩めようとしたら,根元側のプレッシャポートユニオンの方が緩んでしまった.
修理書を見ると,おそらくこういう事態を防ぐためなのだろうか,
ユニオンボルトよりプレッシャーポートユニオンの方が強いトルクで締めるようになっているが,
前のフローコントロールバルブの交換の時にプレッシャーポートユニオンの締め付けが足りなかったのかもしれない.
とりあえずいったん締め直し,次は少しショックを与えるように緩めてやると,今度は無事,ユニオンボルトの方が緩んだ.
よかった. ユニオンボルトが外れれば,エアコントロールバルブとユニオンが一体で外れる.
外したユニオンと,今回用意したJZX90用?のユニオンを比較したが,どうも同じもののようだった.ちょっと安心.
さて,ユニオンを取り付ける前に,さっきのようなことにならないよう,プレッシャーポートユニオンをしっかり締め直しておく.
それから,ユニオンボルトにユニオンとガスケットを通して,パワステポンプに取り付ける.
前回の所見で,エアコントロールバルブのエアホースが,パワステのリターンホースに押されているのが問題ということだったので,
エアコントロールバルブの取り付け角度を元の位置(約30°)から少しずらしてみる.やってみると,
すこし水平方向に近づけると干渉が少なくなるようであったので,そこでユニオンボルトを固定してやる.
そしてプレッシャーフィードチューブを取り付ける.最後にエアコントロールバルブを締めつけないといけないのだが,
エアコントロールバルブの角度の関係で,クロウフットレンチを差し込もうとすると,
下にあるエアコンのチューブと干渉して差し込みにくい.角度を変えると,今度は回すための空間がとれないような感じになった.
結局は,ソケットレンチのエクステンションを使用して,なんとか締めつけることができた.
さすがにクロウフットレンチを用いると,スパナの時のようになめる感じはなかった.
バルブを固定したら,エアホースを戻すわけだが,このエアホースも11年経っているので,少し割れがあるようだ.
というわけで汎用のシリコンホースに替えようかと思ったのだが,このエアホースは結構,急角度で配管されていて,
シリコンホースは純正より少し太いため,同じようには配管できないようだ.しかたなく元のを再利用して,
後日,純正の新品を注文する方針に変更した.エアコントロールバルブの角度を少し変えたのと,部品の個体差により,
締めつけたときの角度がわずかに違うためか,今回はエアホースはリターンホースと干渉していない.
バッテリーを戻してからエンジンをかけると,最初,ポンプ内にフルードがないためか変な音がしたが,すぐにおさまった.
あとエア抜きのために何回かハンドルを切ってエンジンを止め,フルードレベルをチェック.かなりレベルが下がっているので,
ほぼFULLの位置まで補充して,再度エア抜き操作.最後にもう一回,フルードレベルをチェックして,この作業は完了となった.
(作業日:2001年12月9日)
最後に
上の作業中に見つかった,エアホースのひび割れであるが,
上述のように市販のシリコン製バキュームホースでは取り回しができなかったため,
やむをえず純正品を使用することにした(910円).たまたまメーカ在庫切れであったため,
届くまで約2週間を要した.ホースクランプも純正で4カ所すべて新品にしている.
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