旅行者払戻制度 (Tourist Refund Scheme:TRS) |
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オーストラリアから国外へ出国する旅行者が、オーストラリアで物品を購入した際に一緒に支払っている消費税(GST)やワイン平衡税(WET)の払戻しを受けられる事をご存知でしょうか? 今回は、この制度について触れてみたいと思います。 |
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TRSって、何? 2003年の年末、サーファーズ・パラダイスのショッピング・モール内にあるCと言う有名なスポーツウェア専門店で、大学時代の友人からの頼まれ物を買った際、店員さんが"Where are you from?"と話しかけてきました。 「日本から」と答えると、その店員さんはレシートと共に、もう1枚のレシートらしき紙と、ある日本語パンフレットをくれました。 旅行者払戻制度(Tourist Refund Scheme、以下"TRS")。 これは、オーストラリアで購入しなおかつ同国内で「消費」をしなかった物品について、旅行者が購入時に支払った消費税(Goods and Service Tax: GST)やワイン平衡税(Wine Equalisation Tax: WET)を、出国時に手荷物として持ち出す場合に限り、払戻しをしましょう、と言う制度です。 ただし、消費をしなかった物品について、全てが全て払戻しを受けられる訳ではありません。 @オーストラリア出国から遡って30日前までに購入したものに限る。 A「同一店」での購入金額(税金を含めて支払った金額)が$300-以上でなければならない。 B購入した物品のTax Invoiceを出国時の払戻しを受けるまで大切に保管しておくこと。 C「旅行者」とは、オーストラリア国外からの旅行者、及びオーストラリア居住者で国外に出国する者を指すが、航空・船舶乗務員には適用されない。 以上の条件を全て満たした場合に限り、支払った税金の払戻しを受ける事ができます。 しかし、例え、上で述べた条件を満たしている場合であっても、以下の物品は払戻しの対象外となります。 ・食べ物など、「消費」してしまったもの(消費していない物品に対する払戻しがこの制度の主旨) ま、300ドル以上もする食べ物もそんなにはないわけですが… ・機内に手荷物として持ち込めないもの オーバーサイズのもの、危険物など ・アルコール類(ワインを除く)およびタバコ類 「何だ、物品に税金がかからないのは、免税品と一緒じゃないか」とお思いの方もいらっしゃるかも知れません。 確かに結果的に税金の負担をしないという共通点はありますが、免税品との相違点も色々とあります。 ・対象となる税金の種類が違う。 いわゆる免税店で免除される税金とは、国を越境する場合において課税される輸出関税を指します。 これに対し、TRSの対象となるGSTやWETは、同国内で普通のお店で物品を購入したときにかかる税金で、一時滞在、永住の区分なく、誰もが平等に支払っているものです。 免税品は「輸出」されるまで、国内で開封して使われることがない事を前提にしているのに対して、TRSの払戻し対象となる物品は、オーストラリア出国前においても国内で使用すること(衣服の着用など)が可能です。 ・一時的な金銭の負担をする。 免税品は「免税」されることを前提にしていますので、予めを税額控除された代金を支払うため、税金を負担することはありません。 TRSの対象となる物品は、出国時に持ち出しが確認された時点で税金の「払戻し」が認定される(つまり、購入時点では、払戻しの対象になるかどうかは分からない)ため、認定されるまでは一時的に税金に該当するお金を当局に預ける形となります。 どれくらい、払い戻されるの? 購入時に課税される税率は、消費税(GST)は10%、ワイン平衡税(WET)は14.5%です(2004年1月現在)。 払戻額は、購入時の支払金額から、以下の通り逆算して導き出されます。 (例1)A店で$250と$150の服を購入した場合のGSTの払戻し額 ![]() ※GSTの場合、支払額を11で割ると、払戻し額を算出できます。 (例2)B店で$300と$200のワインを購入した場合のWETの払戻し額 ![]() どうやって、払戻しを受けるの? 実際にやってみると、特に難しいことはないのですが、慣れない海外での手続き、大きな買い物を予定している方は、大まかな流れを掴んでおいてください。 @物品購入時 普通に買い物をしてください。 現金、クレジット・カード、トラベラーズ・チェック(お店で認めている場合に限る、使えるところは少ないです)…どの方法でも支払うことができるのも同じです。 レジでの代金支払時に、レシートと共に、Tax Invoiceと言う紙をもらいます。これが、本コラムの最初で書いた「もう1枚のレシートらしき紙」の正体です。これを「訳の分からない紙切れ」と思って捨ててしまわず、大事に保管してください。払戻しのための大事な書類です。 Aオーストラリア出国手続時 チェック・イン時、購入した物品をスーツケースに入れて預けたりせず、機内持込み手荷物として携行して下さい。(預けてしまう人が意外と多いと思います。) チェック・イン→セキュリティ・チェック→出国手続と手続きを済ませると、税関職員が"Duty Free?"を連発して待っていますが、こちらは免税品に付けられた申告書を渡す場所、免税品を持っていない人は無視して構いません。近くの空港職員にTRSのブースの場所を確認し、出発ゲート内の指定の場所に向かいましょう。 (ちなみに、ここで免税品の申告書を渡した時点で、免税品を開封できるようになります。) BTRSブースにて ブース内に入ると、笑顔のないスタッフが待ち構えています。(ま、どこの国も役人はこんなもんです。) ![]() ・購入した物品 ・Tax Invoice ・パスポート ・国際線のボーディング・パスなど、旅行を証明する書類 ・クレジット・カード(クレジット・カードで払戻しを受ける場合のみ) 特に問題がなければ、Tax Invoiceは"PROCESSED BY TRS"と言うスタンプを押されて戻され、CLAIM RECIEPTと言う払戻しの通知の書類や(希望した場合は)現金や小切手が渡され、その他提示した物品や書類なども全て戻され手続き完了となります。 なお、払戻しの手段としては、現金、小切手、クレジット・カードへの振込、オーストラリアの銀行口座への振込から選択できます。日本に帰国する旅行者であれば、豪ドルはもう必要ないこと、手続きが簡単である事などを考えれば、僕はクレジット・カードへの振込をお奨めします。 同一店って、どう言う事? 「1つのお店で$300-以上のお買い物」という条件、明確に定義されているようで、実は曖昧でもあります。 一つの店舗を指すのか?一連の系列店を指すのか? 僕は、オーストラリアに来ると、先出のC店に必ず行き買い物をしています。 2003年の年末、僕はサーファーズパラダイスとシドニーのQVBでそれぞれ$320-、$240-と買い物をしました。 QVBのお店で$240-の買い物をした時に、店員さんに「サーファーズで買い物した分と合計した$560-に対して払戻しをしてくれるの?」と聞くと、"Yes."との答え。 店員さんの言葉を信じ、帰国当日、出国手続きを終えてTRSのブースで手続きをしたところ、 係員「この$240の買い物については、払戻しはできません。」 T-Kay「えっ?!この2つは場所が違うだけで、同じお店なんですよ?」 係員「我々が同じお店かどうかを判断するのは、ここです。」 その係員が指差したのは、Tax Invoiceの"ABN:"と言う項目に記された11桁の数字。 Australian Business Number…これはオーストラリアにおける会社登録番号なのですが、この番号が同じかどうかで合算するか否かを判断するのだそうです。 ありゃりゃ…本当に違いますね。 TRSのブースの係員のお兄さんは、「(オーストラリアで有名なデパートの)DやGだと同じ番号になっているケースがある」と言っていました。恐らく、百貨店のように一つの会社が全ての店舗を管理して一つの番号で登録している場合と、日本のコンビニなどのフランチャイズ・チェーンのように各店舗で事業者としての届出をしている場合があると言うことなのでしょう。 よって消費者側からでは、「同一店」の範疇についての判断は、買い物を済ませてTax Invoiceを見ないとできないと言うことになります。確実に払戻しを受けたければ、同一の「場所」で買い物をする…これしかありません。 C店の店員さんは、TRSの詳しいシステムのことは知らず、深く考えずに「同じCだったら大丈夫でしょ」と考えたのだと思われます。「オーストラリアでは役人の言うことは絶対」という言葉をある人から聞いていた僕は、今さらC店の店員さんやこの係員に文句を言っても仕方ないと、一部の払戻しをあきらめ、帰国の途に着いたのでした。 オーストラリアで買い物する予定のある方、ぜひ以上の事を参考にして楽しんできてくださいね。 |
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さらに詳しく知りたい方は、以下のサイトをご参照ください。 在日オーストラリア大使館 http://www.australia.or.jp/ 上部メニューより「トラベル」をクリック →メイン画面よりTRSのマークをクリック オーストラリア税関 (英語) http://www.customs.gov.au/ →quick guide to Costoms for travellers →Tourist Refund Scheme |
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