ギンッ!

 手にした銅の剣が、およそ生物に当たったとは思えない音をたてて弾かれる。

 無傷ではないが、致命傷には程遠い。

 銅の剣に切れ味を求めても仕方ない。取り分け鎧ムカデの装甲を前にしては。

 後は力技か。

 そう判断して、殆ど潰す勢いで脳天に叩き付けた。

 ドサリと倒れこみ、動かなくなるのを確認し、同じ獲物を相手にしている連れを振り返った。

 案の定、手こずっているのを見て加勢に走る。

 

「下がってろ!」

「うん!」

 頷いて飛びのいた羽鳥に変わって、銅の剣を薙ぎ払う。

 長引きそうだと思った時、背後から詠唱が聞こえた。

 それは勿論羽鳥の紡ぐもので、しかし慣れた回復術にしては唱えているものが違う気がする。

 それを窺う間もなく、

「離れて!」

 反射的に、掛けられた声に従って背後に跳ぶと、次の瞬間今まで対峙していたムカデが炎上した。

 

「なっ・・・・・・・」

 呆気に取られている飛鳥の横から、鉄の槍が延びた。

 悶え仰け反ったムカデの腹部、その硬い装甲の間を縫って、槍の穂先が貫いた。

 飛鳥から見ても見事な突きだった。

 

 

「会心の一撃ィ♪ やーでも隙作んないと難しいねー」

「何だ今の、炎・・・・・・」

「ギラの事?初歩の閃熱呪文だよ」

 初歩と言っても、魔法を使える奴自体そう居ない。

 神聖魔法の類ならともかく、攻撃魔法の心得のある者は魔法国家であったムーンブルクに集まっていたので、尚更だ。

 独学か?

 

「回復しか出来ないと言っていなかったか?」

「昨日まではね。感覚掴めてきたって言ったでしょ。成功したのはさっきのが初めて」

 必要に迫られればできるもんだねー、と軽く言っているが、かなり・・・・・・大した事じゃないだろうか。

 魔法の使えない飛鳥からすれば感嘆ものだ。

「あ、ホイミの方も、この感じなら後5回くらいいけそうだから、必要あれば言ってね」

 昨日とは随分な差だ。

 末恐ろしいな、と思いながらニコニコしている顔に向かって頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

短いですか?ほぼルーズリーフ一枚分です。

授業態度が知れるというものですな。だって授業中が一番捗るんですもの。

戦闘シーン書くの好きみたいです。楽しい。でも苦手(苦笑)

やっとこさ羽鳥、足手まとい卒業。