十和田市サッカー協会 第4種委員会

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ブレゲ 新しいタイプ XXとタイプ 20を正しく理解する。

パイロットウォッチの定番ラインから生まれた最新作の未来はどうなるのか。日付窓などのディテールを掘り下げて、ブランドが下したデザインの決断を深く理解する。

いうまでもなく約60時間分のパワーリザーブを完全にテストすることも、長時間の精度を測ることもできなかった。ローターとコラムホイールにはDLCコーティングを施しており、ムーブメントとのコントラストをより際立たせていた。また垂直クラッチを採用したことで、ムーブメントに信頼性と複雑さを加えているほか、ヒゲゼンマイ、ガンギ車、アンクルはすべてシリコン製である。さらにブリッジやクロノグラフは手仕上げで、ブレゲスーパーコピー完全一体型のまったく新しいフライバッククロノグラフムーブメントの一部として、希望小売価格の258万5000円(税込)に見合ったものとなっている。

Ref.2057(軍用)のために、2レジスターを備えた新しいムーブメント、Cal.7281を搭載。一部ローターにより覆われているが、ムーブメントの6時位置、民生用ムーブメントでは積算計があるはずのブリッジから、ふたつの石がなくなっている点に注目だ。

DLCコーティングを施したコラムホイールをはじめとする、タイプ XX用のクロノグラフパーツ。

しかしここではっきりとさせておこう。この時計に対する否定的な反応は、ある1カ所に集約される。それは従来日付窓がなかった時計に、美的感覚、市場原理、あるいは実用性などの観点から日付窓を追加したということである。まあ価格もまた論点のひとつだったが、正直いってそれを判断するのは難しい。以前もいったように、期待よりも少し高かったかもしれないがこの価格に衝撃を受けることはなかった。日付窓の話に戻ろう。

かつては日付のないオリジナルか、あるいは日付のあるタイプ XXの“トランスアトランテック”、Ref.3820(または日付もあるタイプ XXI)を買うという選択肢があった。いずれにしても日付窓は6時位置にありダイヤルのバランスを保っていたために、時計評論家が思うすべての“悪い”と思う部分のなかでも小さいように思えた。日付を入れること自体がピュリストを動揺させるに違いなかったが、ブレゲはここで彼らが最も理想的でないと考えている、4時30分位置への日付窓を選んだのである。

この日付窓は、窓とミニッツトラックのあいだに白く“Swiss Made”が含まれていることでさらに強調されている。この窓を隠すのにはあまり役立つとはいえないディテールだ。私が思うに、日付窓が抱えている最大の問題は、もともとの軍用仕様に日付が含まれていないことだと思う(また自動巻きでもない。ア・マルカ氏のご指摘のとおりだ)。しかし、もしブランドが2バージョンの時計として発売すると決めていたのであれば、少なくともどちらか片方の日付表示を見送ることができたのではないだろうか。

発表イベントで何人ものコレクターや小売業者と話をしたが、一般の人たちにとって日付窓は最も好ましくないことが明白だった。私が話を聞いたコレクターたち(ほとんどが自他ともに認める現代ブレゲのコレクター)でさえ、日付窓にはまったく見向きもしなかった。なおある小売店では、24時間以内にすでにいくつかの予約注文が入っていたそうだ。またその小売業者は彼の経験から、ブレゲはある程度裕福なコレクターが、その何倍もの価格で時計を手に入れるための出発点として購入することが多いブランドであるとも話していた。それが全面的に正しいかどうかはわからないが、時計の歴史をより詳細に深く研究する(そして熱狂的な)ファンたちによる、熱心なオンラインコミュニティの一員でなくても、ブレゲあるいは時計全般を好きになれるというのは確かだ。そしてブレゲの市場調査により日付があっても時計が売れるということがわかったため、これはタイプ 20/XXにとって最良の選択だったのだ。

Breguet Type 20
「残念なことにもしカウンターのなかの6時位置に日付を配置したら、“6”を失っていたかもしれません」とマルカ氏はいう。「不幸なことに、3時だとそこもカウンターの真ん中になっていたでしょう。そこでベストポジションを考えて色々と検討した結果、4と5のあいだにして、4・5・6をキープするようにしました」

「私たちはパーツも文字盤もすべて持っていますから、オリジナルの時計をつくることはできました。しかしそれは私がやりたかったことではありません。私は時計を複製するのではなく、これまで行ってきたものと似ているけれど、新しいムーブメントを搭載した時計がつくりたかったのです」

ピュリストのコレクターたちの不満はよく理解できる。2019年と2021年のオンリーウォッチで、ブレゲは彼らが何を求めているか把握していることを示したため、たったひとりのコレクター以外誰も手の届かないモデルがこの世に存在しているというのは不満だろう。しかしそれをマルカ氏が認めてくれたことで、正直なところ、伝統的なコアユーザーをより満足させる時計が将来登場するのではないかと、私は大いに期待している。私も普段は伝統主義者だからだ。ひどく非難される日付窓を乗り越えると、これらの特徴の多くが好きになってくる。

タイプ 20の仕様には緑色の光を放つ夜光が塗布されており、そのおかげでミリタリーモデルが好きになったというのが正直なところである(エマニュエル・ブレゲ氏が発表翌日のミーティングでヴィンテージの例を見せてくれたのだ)。各モデルに配されたベゼルの三角マークも含め、短時間の蓄光でかなり明るく輝く。民生バージョンでは、数字に塗布されたクリーミーな夜光はすぐには光らなかったが、私はこの時計と短い時間しか過ごせなかった。クイックチェンジストラップシステムも、間違いなくオリジナルにはないものだが、この価格帯の腕時計にはあってしかるべきであるもうひとつの素晴らしい機能である。