近藤英隆 コラム パンチを打つ飯田覚士選手



ボクシング界でよく使われている言葉の意味について考える


3 強いパンチを打つには?(その1)


パンチにスピードがあって・拳が鋭く回転して・当ってから食い込み・拳が固く、何より下半身で作られたエネルギーをロスが少ない状態で拳に伝えることが理想です。早くパンチを打つためには、ストレートの場合単純に早く腕を伸ばすことです。どうすれば早く腕を伸ばすことができるのでしょうか?まず筋肉には関節を伸ばす筋肉【伸筋】と関節を曲げる筋肉【屈筋】の2種類があります。早く関節を伸ばすためには体中の伸筋だけを100%働かせるのが最も効率的なのですが、それでは関節が最後まで伸びきってしまい関節を痛めてしまいます。関節が最大に伸びきる瞬間に屈筋が働きブレ―キングを行わなければなりません。

ブレ―キングをわかりやすく説明するために、ソフトボールのピッチャーを思い出してください。ソフトボールのピッチャーは野球とは違い下から早いボールを投げるために投げる際、ボールを握った腕をピッチャーの腿の側面に強くぶつけるように投げることでブレ―キングを行い、ボールの威力を増すことが出来ます。もちろん、野球のピッチャーも上からボールを投げる際にブレ―キングをおこなっています。野球の場合、ソフトボールと違いボールを上から投げるためにボールのリリースポイントの手前でボールを持った腕をブレ―キングすることが出来ます。ソフトボールの場合、体の前でブレ―キングをおこなえばボールは山なりのボールになってしまいスピードのあるボールを投げることが出来ません。

ブレ―キングは沢山のスポーツで行われています。テニスでスマッシュを打つ時、バレーボールでアタックを打つ時、要するに強くインパクトをおこないたい時や物を遠くに投げたり早く投げたりするような時には、ブレ―キングを行うことで瞬間的な爆発力を生んでいます。古いタイプの体温計の温度を下げるために体温計を持って振っている姿を思い浮かべてみてください。振り下ろした時に自然にブレ―キングをおこなっています。

このブレ―キングが強いほど安心して腕を早く伸ばす事が出来ます。肘が伸びきらないためには、肘が伸びきる瞬間に肘の屈筋である上腕二頭筋や上腕筋に瞬間的な力が加わり、肘が過伸展(肘が最大に伸びた状態よりも更に伸びた状態)するのを防止しているのです。





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2 「パンチがある」
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