近藤英隆 コラム 飯田覚士選手が世界チャンピオンになったとき


心と腰痛の関係~なぜ腰は痛むのか?~

7 緊急性がないものの注意すべき腰痛

椎間板ヘルニア、や脊椎圧迫骨折、脊柱管狭窄症、癌の骨転移などがあげられます。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニア(herniated disc)は、ウィキペディアを参考に紹介すると、「ヘルニアの一種であり、椎間板の一部が正常の椎間腔を超えて突出した状態です。椎体と椎体の間には人体最大の無血管領域と呼ばれる椎間板が存在している。椎間板は中央にゼラチン状の髄核、周囲にはコラーゲンを豊富に含む線維輪から成る。この髄核や線維輪の一部などが突出した状態が椎間板ヘルニアである。Macnabによる分類が有名です。椎間板ヘルニアは、下位腰椎(L4/5, L5/S1) が最多で、次に下位頸椎に多く、胸椎には少ない。胸椎に少ないのは、胸郭により、椎体間の可動性が頚椎や腰椎に比べ少ないことによる。また、神経根走行の関係から、下位腰椎では、上位腰椎に比べ、神経根症状を起こしやすく、発見されやすい面もあるかもしれない。高齢になると、下位頚椎での可動性が減少し、ヘルニアが起こりにくくなり、比較的上位の頚椎病変を来しやすくなる。すなわち、椎間板ヘルニアは、よく動く脊椎の部分で起こりやすいのである。」

最新の研究では、腰椎椎間板ヘルニアの発症原因の一つとして遺伝的要素が係わっていることを理化学研究所らの研究グループが突き止めたそうです。

腰椎圧迫骨折

圧迫骨折とは、ウィキペディアによると、「外傷椎骨の弱まりによる椎骨の崩壊のこと。椎骨の弱まりは骨粗鬆症や骨形成不全の患者、原発もしくは転移性骨腫瘍、感染による。健康な人の場合は射出座席のような垂直的な圧力がかかった場合におこる。X線撮影では、くさび形に変形して見える。高齢者におこる圧迫骨折のほとんどが骨粗鬆症に起因しており、胸椎と腰椎の移行部の椎体に生じやすく、くしゃみや腰をひねっただけ、尻もちなどの軽微な外力によって生じる。」と、紹介されている。

脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は、ウィキペディアによれば、「脊椎にある脊柱管(せきちゅうかん)という神経を囲んでいる管が狭窄する整形外科疾患。

通常、加齢に伴って発生する脊髄変性症で広く見られる症状であるが、ときには脊椎椎間板ヘルニア骨粗しょう症腫瘍によって引き起こされる場合もあると紹介されている。有名人では桂歌丸(落語家)みのもんた(司会者)大山加奈(バレーボール選手)橋本じゅん(俳優)NAOKI(EXILE)(ダンサー)天龍源一郎(プロレスラー)らが、羅患したことで知られている。」

「ぎっくり腰」の場合、一度の治療でも直ぐに痛みがなくなることもありますが、足首を捻挫した時や骨折した時のように、時間をかけないと損傷した組織が修復し無いわけで、すぐには治らないような腰痛が殆どです。特に「ぎっくり腰」のようになってから3日ほどは、炎症期であるため、炎症が引くまでは痛みが徐々に軽減するようなことが多く、患者さんから「若田接骨院に行ったら1発で「ギックリ腰」が治ったと聞いて来た!」と言われることがありますが、1発で治る事があるのは、残念ながら、ごく一部の急性腰痛です。炎症期を過ぎるのに3日はかかります。

単純に「ぎっくり腰」と言っても、本当に色々とあるわけです。

1回の治療で治ることがあるとすれば、椎間関節で関節包が挟まっているのが原因の急性腰痛の場合には、挟まっている一部の関節包がうまく外れた時は劇的に治ります。整体やカイロなどで腰を「ボキボキ」と、やってもらって劇的に治るのがこのタイプになります。歩くのも大変で、ほんの少し動くのに相当時間がかかります。一人で歩けなくて、担がれて来院された患者さんが、帰る時にスタスタと歩いて帰れば感動的だと思います。たまたま、その様子を見ていた、他の患者さんも黙っていられないので、良い噂は一度に広まると思います。しかし、ここまで書いてきたように「ぎっくり腰」にも色々ありますので、いきなり腰をひねるような荒治療は「一か八か」と言うことです!つまり、劇的に良くなる人もいますが、捻られたことによるダメージで後遺症が残ってしまう人が跡を絶ちません。

私の考えは1000人治療して999人良くなると分かっている治療法でも、たった1人でも後遺症が残る可能性があるような治療は絶対するべきではないと考えています。なので、ホームページにも接骨院の待合にも「ボキボキ・バキバキ」はやりません。痛い治療もしません!と書いています。患者さんに痛いことをして痛みで痛みを取るような治療(痛むところと違う部位に痛みを与えると、痛みの抑制システムが働いて元々存在している痛みが和らぐ)もありますが、私はその様な治療法は好きではありません。出来るだけ患者さんには、心地よい刺激で治療をすることを心がけています。

腰椎追完関節

動ける程度の腰の痛みの場合は、組織的な損傷が原因で無いことが多く、先に紹介した、機能的な問題だけであれば、1回の治療で治ることがあります。全く動くことができなくなるような強い痛みがある場合は、椎間板の問題や靭帯や筋の損傷を伴う事が多く、炎症症状が強い事がほとんどです。組織損傷を伴う場合は安静が一番の薬です。炎症期は徒手療法を試みても痛みが変わらないことが多いのです。

患者さまの立場からすれば、とにかく腰痛から早く開放されたいし、直ぐに治りたいと思うことは当然です。受傷後数日症状が変わらないようであれば心配にもなります。足首を捻挫した時も同じですが、明らかにケガをしたのであれば、殆どのケガは安静にしていれば放っておいても治ります。腰痛の場合も明らかな原因があれば、安静にしていれば殆どの腰痛は治ります。まれに、原因がしっかりとしている腰痛の場合であって安静にしていても治らないこともありますが、それがストレスによる腰痛の可能性が高いのです。





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