近藤英隆 コラム 飯田覚士選手が世界チャンピオンになったとき


心と腰痛の関係~なぜ腰は痛むのか?~

11 身近によくある腰痛のお話

当院に来院する患者さんの中で、ストレスが腰痛の原因だと気がついている人は殆どいません。本日(2013・1・1)たまたま、実家で正月を祝っていたときのこと。たまたま、私の兄が「ぎっくり腰」になっていました。

母親が兄に、折角プロ(私のこと)がここにいるのだから、診てもらったらどうか?と、兄に聞いていたのですが、兄は一言、私に向かって「こういうのは、ほっといたら、治るんだよな?」と、私に一言!「さすが私の兄!」と、私が言い返しました!その通りです!何度かぎっくり腰になっている人は、経験的に知っているのですね!過去にも私の兄がギックリ腰になった時に、何度か治療をしました。しかし毎回必ず治療していたわけではなく、治療せずに、そのままほっといても、3日も経てば治ることを経験的に知っていたのですね。

治療しても、治療しなくても根本的に治りきる時期は大きくは変らないということです。これを読んでいる、「ぎっくり腰」経験者には、私の言っていることが、何となく分かると思います。もし私が「ぎっくり腰」になったらどうするか?

前にも書きましたが、足首を捻った時と同じですので、腰を捻挫しても同じです。

捻挫して直ぐは動かしても痛くないようにサラシを巻いて固定します。椎間板ヘルニアで動けないような患者さんには、ギプスで固定することもします。安静にしていれば組織の損傷が原因であれば確実に治ります。ここでジタバタして、その場だけ痛みを取ることをしても強い痛みが無くなる時期は大きくは変わりません。

痛みだけを取るような注射や鍼治療をしても、組織の損傷に対する修復の過程が終わらないのでれば、炎症も収まらない訳なので注射や鍼の効果がなくなれば痛みは再発します。痛みを取ることでかえって安静にできずに損傷部位の修復を遅らせてしまう可能性もあります。どの部位を捻挫しても同じことが言えます。

我々が治療することで効果があるのは、炎症期を過ぎてからです。簡単な動作で「ぎっくり腰」になるような人は何度も「ぎっくり腰」を繰り返しています。そうなってしまった原因が解決されていないからです。その原因を見つけて、炎症期を過ぎてから根本を治療すれば腰痛は繰り返さなくなります。

私の兄はとてもスマートな男(太ってはいる、賢いという意味で使っている)なので、私が治療するたびに腰痛のメカニズムについて言い聞かせてきましたので、よく理解してくれています。実際につい最近の出来事ですが、私たち兄弟の実家の横に高層マンションが立つらしく、母親がその事にショックを受けていたのが、兄のストレスになっていました。今回はこの件が引き金になっている気がします。もちろん私も気にしてあげなければいけないのですが・・・

そんな時に、軽い動作でギックリ腰になっていたのです。根本的には運動不足もあり、兄は商社マンという職業柄、不摂生も多いため内臓が疲れていることによる腹圧の減少(お腹に力が入りにくい)も、何時ものことながら原因の一つになっています。

ストレスと腰痛の関係を医学的に説明するのは難しい事です。

現在、私は名古屋大学医学部で、研究生をさせて頂いているのですが、私のいる教室では疲労について研究をしていています。それと関連して、マウスを使ってストレスと痛みについての研究がされております。そんな事もあり、私の最近の臨床での新たな経験と、今までの培ってきた経験を参考に、私なりに腰痛の原因について、改めてまとめてみることにしました。

はじめに、お伝えしておいたほうがいいと思うことは、

いわゆる「ぎっくり腰」と呼ばれる急性腰痛と、なかなか治ることが出来ない「慢性腰痛」は、分けて考えなければならないということです。簡単に言ってしまえば、急性腰痛は放っておいても、ほとんどのものが治ります!(希に治りにくいこともありますが)厄介なのは、慢性腰痛です。慢性腰痛は放っておいても治らないのです。





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