他にも、慢性腰痛の原因として腰椎分離症があります。分離症は、腰椎の突起部分が、分離している状態です。激しいスポーツにより腰椎に繰り返し負担がかかり、分離するのではといわれています。 「腰椎分離症」はレントゲン写真で診断可能ですが、この状態の人全てが腰痛を感じるわけではありません。思春期の子供が激しいスポーツをして起こることが多く、いわゆる疲労骨折なので発症した時には激しい痛みが出ますが、その時は運動を中止しコルセットなどで固定し腰への負荷を軽減させます。早い段階だと分離部分が癒合して寛解します。癒合がされない場合や成人の場合、腹筋や背部の筋肉の強化が必要になったり、腰椎分離すべり症は状態により、固定をする手術をすることもあるのですが、これについてもヘルニアと同じことが言えます。椎弓部の分離部が完全に偽関節になってしまえば、いつまでも痛みを出すことは考えにくく、その部分に炎症が続き痛みが慢性化してしまう訳で、急性期(完全に椎弓部が分離しかけている時期)に適切な治療を受けていないと、患部での炎症が慢性化して慢性腰痛になってしまう訳です。つまり、椎間板ヘルニアも分離症も慢性腰痛になってしまえば、分離症やヘルニアが痛みのきっかけにはなっていますが、慢性痛と言う新たな病態になっているということです。慢性痛の場合の治療はヘルニアや分離症の患部に対する治療ではなく、慢性腰痛の痛みに対しての治療になります。 徒手療法で飛び出しているヘルニアの部分が引っ込むはずもなく、疲労骨折により分離してしまった椎弓部が引っ付くわけでもありません。急性期の腰痛の場合では、炎症を起こしている部位を、しっかりと特定して損傷部位が修復する時期に、しっかりと安静にすることが出来れば、慢性腰痛に移行せずに、確実に治っているはずです。完全に分離症になっている人が、何年も経っても痛みが続くのであればそれは分離部分の痛みではありません。残念なことに、分離症になってしまった人は気がついていない人も含めると相当数がいます。 |