JR北海道管内の極端に利用者が少ない駅の廃止ラッシュが止まらない。2021年春のダイヤ改正では宗谷本線だけでも
抜海、
豊清水など計13駅が廃止の対象になった。恩根内もその一つにされたが、地元住民が存続を要請し町もそれを受け入れて、廃止が撤回されるという極めて珍しいケースとなった。
開業時のおよそ1年間だけ終着駅だったが、その期間に物資の拠点として駅周辺は栄えて行った。無人化後に貨車駅となったのち、1993年に現在の小ぶりな駅舎に建て替えられたが、現駅舎と乗り場までの微妙に離れた距離やホームと旧駅舎土台跡の境目を観察してみると、昔の駅舎はもっと大きな建物であったと言える。
駅舎はちょうど西側を向いているようで、日没前は待合室内に西日が直接入ってきて非常に眩しい。駅舎内には駅ノートが置かれ、室内の片隅には和凧も飾られているが、少なくとも10年以上そのまま貼られているせいか、色あせてしまっている。
駅から真っすぐ延びる通りにはハチミツを売っている養蜂場や郵便局に公民館、さらにはパークゴルフができる公園がある。また名寄から走ってきた路線バスは恩根内の駅前の交差点で折り返し運転を行う。駅からは
紋穂内が一番近い美深温泉だが、アクセスとしては美深だけでなく、恩根内からでもバスに乗った方が楽に着ける。
廃止が撤回されて一安心した恩根内。他の地区、例えば
安牛のように過疎が進んで人がいなくなってしまえば、将来的に再び廃止の対象になってしまうことも十分にあり得る。
(2020.9.1)