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第205号 冠詞−4

=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.205    20130731   Chick Tack
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             ● 第205号 ●

………………
 Contents          冠詞−4
………………
       (1)話し手と聞き手にとっては1つ

       (2)space

       (3)keep an eye on someone[something]


………………………………………………………………………………………………
(1)話し手と聞き手にとっては1つ
………………………………………………

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    ・常識的には1つではなくとも、話し(書き)手と聞き(読み)
     手には、1つのものに特定される場合は定冠詞 the を使う
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) Jay stripped his clothes off and ran into the sea.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「ジェイは服を脱ぎ捨てて、海に走り込んだ」
   ←「ジェイは自分の衣服を脱いで離し、そして海の中へ走った」

  前(第204)号で「常識的に考えて1つしかない名詞に the を使うこと
  がある」と書いた。the sun や the sky, the government などを例に挙げ
  た。

  government は、常識的に考えると1つとは限らない。世界各国に政府はあ
  り、また地方公共団体も政府を持っている。

  同様に「海」といった場合、「日本海」「地中海」「カリブ海」など、海は
  いくつかあろう。the Sea of Japan, the Japan Sea, the Mediterranean
  Sea, the Caribbean Sea。これらをいくつか束ねたり、そのうちの1つとい
  う場合は the seas や a sea というのもあり得る。

  しかし、「陸」に対する「海」として使う場合、the をつけて使われること
  が多い。

  ocean を含め、「海」は1つにつながっているのだ。

  また例文の場合、話し手と聞き手が共通に認識する「あの海」という解釈も
  可能になる場合がある。

  いずれの場合も第202号(1)で書いた「情報発信者と受信者に共通認識
  のある名詞には the を使う」というのに当てはまる。


 (b) It was a calm sea.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 8th edition”)
  (“Oxford ADVANCED AMERICAN Dictionary: For Learners of English”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
     「穏やかな海であった」

  前(第204)号に出てきた moon のように、1つのもののいくつかの様相
  の1つという場合、〔不定冠詞〕が使われることがある。〔複数形〕になる
  こともある。


 (c) But Balliol found little difficulty in making his attack by sea.
   (“History of the English People, Volume II”by John Richard     
    Green)http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer04.html#hep
   「しかし、ベリオールは海による彼の攻撃を作ることの中にほとんどない
    困難を見つけた」
   →「しかし、ベリオールは、ほとんど困難を感じることなく海からの攻撃
     を行った」

  Edward Balliol(1283〜1367)は、スコットランド王 John Balliol の長男。

  慣用表現で〔無冠詞〕の sea が用いられることもある。by sea には by  
  ship と同じ意味を表す使い方がある。別の機会に by car や by bike など
  と一緒に取り上げられれば、と思っている。

  at sea で「航海中」という意味になることもある。at the sea なら「浜辺
  に滞在中」が想像される。


  sea の他にも the ground, the country, the environment なども the を
  付けて用いられることが多い。

 (d) We must do more to protect the environment.(=the natural world 
  around us)
  (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu
  「私たちは環境を保護するためにもっと多くのことをしなければならない」

  「自然環境」は〔定冠詞〕と共に用いられることが多い。

 (e) We need to create a safe working environment for all of our       
  employees.
 (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
   English”Palgrave Macmillan)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#meda
   「私たちは従業員全員のために安全な労働環境をつくる必要がある」

  もちろん〔不定冠詞〕と共に使うのがふさわしい場合もある。


 (f) Many city dwellers like to spend their vacations in the country.
  (“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud
    「多くの都市居住者は、いなかで休暇を過ごすのが好きである」

  country には「国(家)」や「国民」などという意味を表すこともあるが、
  「都会に対する田舎(いなか)」「郊外」という概念を表す場合、〔定冠詞〕
  the と使われる。「国民」の場合も the が使われる。


………………………………………………………………………………………………
(2)space
………………

  sun や moon・star・sky・world などは〔定冠詞〕the と共に用いられるこ
  とが多いが、「宇宙」を表す space は〔無冠詞〕で使われる。

 (a)(×)There are hundreds of millions of stars in the space.
   (○)There are hundreds of millions of stars in space.
  (“Longman Dictionary of Common Errors Second Edition”ND Turton;  
   JB Heaton)http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dce
   「宇宙には何億もの星がある」

  hundreds of... で「何百の」、millions of... で「何百万の」。掛け算し
  て χ×1,000,000×100=100,000,000χ(1≦χ<10)「何億の」。


 (b) For example, at, in and on can express relations in time and   
  space as well as abstract relations.
  (“CAMBRIDGE GRAMMAR OF ENGLISH”Ronald Carter & Michael McCarthy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#cge
    「例えば、at や in・on は、抽象的な関係を表せるのと同様に、
     時間や空間[場所]の関係を表現することができる」

  「空間」や「場所」という意味では、〔可算名詞〕として使われることもあ
  る。

  (b)の例文では at, in and on が〔主語〕。


 (c) I'm going to be late so please save me a space at the concert.
  「遅れそうなのでコンサートの場所[席]を取っておいてください」
  (研究社『新編英和活用大辞典初版』編集代表市川繁治郎)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#kdec
   ←「私は遅くなる予定です。それで私のためにそのコンサートの場所を1
     つ確保しておいてください」

  「空間」や「場所」が、1つのまとまりでイメージできる場合は〔可算名詞〕
  扱いとなる。


 (d) Indent two spaces on the next line.
   「次の行で2スペース分のインデントをつけなさい」
   「次の行は、最初に2つ分の空白を設けなさい」

  文字1つ分の空白は a space で表すことができる。〔可算名詞〕になるの
  は理解できる。


 (e) He fell asleep in the space of a few minutes.
 (“Oxford Collocations Dictionary for Students of English”Diana Lea)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ocdse
   「彼は2・3分(の時間)で眠ってしまった」

  a space や the space で「期間」「時間」という意味になることもある。


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(3)keep an eye on someone[something]
……………………………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・keep an eye on someone[something]
       「誰かを見張っている」「何かから目を離さずにいる」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) If you keep an eye on something or someone, you watch them    
  carefully, for example to make sure that they are satisfactory or  
  safe, or not causing trouble.
  (“Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版”トムソンコーポレーション)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild
   「もしあなたが、何かや誰かを keep an eye (on) すると言えば、それは
    はこういうことです。例えば、観察している対象が満足しているか、完
    全や安全な状態であるか、問題を引き起こしていないかなどを確かめる
    ために、注意深く観察するということです」
   「keep an eye on something[someone] は、見守る物や人が大丈夫か、安
    全であるか、問題が生じていないか、などということを確かめるために
    注意深く対象を見守るという意味です」

  辞書の語義説明文。

 (b) ..., he is sure to keep an eye on the papers,....
  (THE ADVENTURE OF THE BLUE CARBUNCLE from“The Adventures of       
   Sherlock Holmes”by Sir Arthur Conan Doyle)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#holmes
   「……、彼はきっと(いくつかの)新聞を注意して見ているはずだ。……」

  “be sure to do something”については、第164号の(1)を参照されたい。
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/161-180/egu164.html#1


 (c) Do go back and keep an eye on the children.
   (“Peter Pan and Wendy”by James M. Barrie、Kindle用無料版)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer04.html#pp
    「戻って子供たちを見張りなさい」

  do は〔強調〕のために用いられている。本当はそういう意味ではないが 
  「すぐに」や「はやく」などと訳すと日本語らしくなる。


 (d) A good driver keeps his eye on the road.
  (“A DICTIONARY OF AMERICAN IDIOMS 4th edition”Adam Makkai)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dai
   「優良ドライバーというものは、絶えず道路に目を配っているものだ」

  “keep one's eye on...”ともできる。keep の代わりに have の時もある。
  on は upon であることも。ただ、どういうわけか eyes とはならないよう
  だ。


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
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● あとがき

 局地的に記録的な豪雨が続いている。人間は自然に対し、恐れの感覚を取り戻
 すようにする必要があるだろう。そうすれば、山岳遭難なども減るのではある
 まいか。


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 ☆ブログ 丹生川郷下村通信
 http://sobey.at.webry.info/


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        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2013
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