商業主義の寓話。
あるところに特別扱いされている人がいました。
いろんな組織が、頭のいいその人に取り憑き、
考えを盗み製品化して莫大な利益を上げていました。
それが本人にもばれ、
知っていて何もしないのは本人が悪いからと訴えると語り掛けました。
本人は好きな数字・世界最大・宇宙最大の数字を書いて自分を訴えろと言い切ります。
さて困ったのが取り憑いている世界最大・宇宙最大に拘る輩です。
世界最大・宇宙最大って…?
それは発明しなければいけません。
てっとり早く書くには、コンピュータにでも印刷させる事を考えます。
そして最大の数、9を永久に印刷させる事を考え付きました。
印刷物には格がなくてはいけない…。
そう考え、大型コンピュータに印刷させる事を考えました。
ただ…、大型コンピュータには欠点?があります。
印刷するにはスプールというところに溜めて終了後に打ち出さなければいけません。
ただ…、無限に9を印刷するにはプログラムが終了しません。
そしていつまでたっても印刷できません。
挙句の果てには、そのプログラム自体がリソース不足で異常終了してしまいました。
それに留まらず大型コンピュータがシステムダウンもしてしまいました。
リソース増やせばいいだろう…!
ハードディスクもメモリーも買い足しました。
だって宇宙最大の請求ができるんだから、儲かるからOKなんだそうです。
確かに…でも宇宙最大???
そのうち、噂を聞きつけたプリンターメーカから提案がありました。
ただ9を無限に打つだけなら、私共の製品に機能を追加します。
大型コンピュータなんて要りません!
プリンターだけで充分にできます。
その為の開発費数億かかりますが…。
あっさりとそのプランが通りました。
プリンターが勝手に数字を印刷し続けるのみとなりました。
そのうち…、一枚の紙に印刷できる9の数が大した事無い事に気づきました。
コピー用品メーカがそのビジネスに参入します。
こんなの大した事ないですよ。
我が社のコピー機ならもっと安く大量に印刷できます!
つきましては導入費用が数百万、そして毎月保守点検料等かかります…。
これもあっさりと通りました。
プリンターメーカが黙っていませんでした。
所詮コピーはコピーですよ。
印字品質がまるで駄目ですね。
我が社は文字を小さくして印刷できる9の数を増やしましょう。
お望みとあれば顕微鏡でやっと見える程の数字を印刷いたしましょう!
そうだ、両面印刷にも対応します!
これには開発費が数十億と毎月の保守点検料、他に消耗品等の料金がかかります…。
何か騙された気分ですが、これも渋々通りました。
だって宇宙最大の請求ができるのですから…。
この結果には大満足!
真っ黒な紙が次々と出てきます。
そして顕微鏡で見てやっと9の羅列が判るほど。
しかもはっきりと…。
コピー機メーカー営業は、ここで断念しました。
うちには、とてもできません!
請求書発行システムが無事本稼動を迎えました。
一見すると真っ黒な紙が、毎分数百枚の勢いで印刷されてきます。
稼動数年…。
この馬鹿げた請求プロジェクトの為に、
プリンター一台あたり十人の女性が二十四時間体制で専門に派遣雇用されました。
紙代・トナー代・電気代・人件費・そして物流倉庫代他の莫大な金額の請求が…。
今までの利益はあっさりと吹き飛びついに倒産を迎えました。
さて…、宇宙最大の数って…?
倉庫に入っている一見真っ黒な紙が無駄になりました。
その紙は両面印刷、一見使い物になりません。
倉庫会社も真っ黒な紙を放棄しました。
野ざらしの真っ黒な紙を拾った子供が、
白いクレヨンで大きなヨットの絵を描きだしました。
そして別の紙で紙飛行機を作りました。
頑丈で水気にも強く、よく飛ぶと評判になりました。
真っ黒い紙は、
コピーを取る時に原稿の上に置くと綺麗にコピーできるとOLに評判にもなりました。
子供の遊びにヒントを得た業者が、
色つきのトナーも開発し、
現代の各会社では真っ黒い原稿の上に文字を印刷しています。
意外だったのが、古いインパクトプリンターのリボンがなくても印字ができた事…。
そして…、写真画質を超えたプリンターは、
今では某国で世界通貨も印刷しています…。
勿論、カラー化の為の開発費をがっぽりと請求しましたとさ…。
ただ…、もらえた報酬が、
ゆくゆくは自社製品での印刷物になる事実をすっかり忘れての、
大いなる有頂天でした。(^(笑)^)
※注 勿論、寓話ですので、私個人の創作であり事実とは全く異なります。
05/10/17 あきらん+。
戻る
|