■2010年4月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●2009年のGM作物栽培状況


 
 2月23日、ISAAA(国際アグリバイオ事業団)による「年次レポート」の2009年版が発表され、昨年のGM作物の実績が示された。それによると、2009年にはGM作物は25カ国、1400万戸の農家によって作付けされ、その90%が途上国の農家だった。また、栽培面積は前年よりも約7%、900万ha増加して1億3400万haになっている。
 今年のレポートでは、昨年、中国でBtイネとフィターゼ・トウモロコシが承認されたことをトップで報じ、同国での市場拡大を取り上げている。次いでインドでBtナスが承認されたことをあげて、途上国でのGM作物の広がりを前面に出している。またブラジルがアルゼンチンを抜いて世界第2位の栽培国になった。作物では、テンサイが拡大し、GM技術ではスタック品種(除草剤耐性+殺虫性)の増加を取り上げている。その結果、GM品種が占める割合は、世界の大豆畑の4分の3以上、綿畑の半分以上、トウモロコシ畑の4分の1以上、ナタネ畑の5分の1以上になったとしている。 〔ISAAA 2010/2/23〕
 ISAAAの年次レポートは、もともと宣伝効果をねらったものであり、数字の根拠が曖昧で誇張されていると環境保護団体から批判されている。例えば、インドのBtナスは栽培の一時停止が決まり、商業栽培の目途は立っていない。米国では、アルファルファ同様GMテンサイの栽培停止命令が出された。スタック品種の増加についても、相変わらず除草剤耐性と殺虫性をあわせもつ作物しかなく、年次レポートが自画自賛するように成功しているとは決していえない状況にある。


表1 遺伝子組み換え作物の作付け面積推移(万ha)
1996年  170
1997年 1100
1998年 2780
1999年 3900
2000年 4300
2001年 5260
2002年 5870
2003年 6770
2004年 8100
2005年 9000
2006年  1億200 
2007年  1億1430
2008年  1億2500
2009年  1億3400
(参考:日本の国土面積 3780万ha)


表2 国別作付け面積(万ha)
米国 6400 大豆、トウモロコシ、綿、ナタネ、カボチャ、パパイヤ、アルファルファ、テンサイ
ブラジル 2140 大豆、トウモロコシ、綿
アルゼンチン 2130 大豆、トウモロコシ、綿
インド 840 綿
カナダ 820 ナタネ、トウモロコシ、大豆、テンサイ
中国 370 綿、トマト、ポプラ、パパイヤ、甘唐辛子
パラグアイ 220 大豆
南アフリカ 210 ナタネ、大豆、綿
ウルグアイ 80 大豆、トウモロコシ
ボリビア 80 大豆
フィリピン 50 トウモロコシ
オーストラリア 20 綿、ナタネ
ブルキナファソ 10 綿
スペイン 10 トウモロコシ
メキシコ 10 綿、大豆
その他* 10
計1億3400
*その他の国 チリ(トウモロコシ、大豆、ナタネ)、コロンビア(綿)、コスタリカ(綿、大豆)、ホンジュラス、チェコ、ポルトガル、ルーマニア、ポーランド、エジプト、スロバキア(トウモロコシ)

表3 作物別作付け面積(万ha)
2009年 2008年
大豆 6920 6580
トウモロコシ 4170 3730
綿 1610 1550
ナタネ 640 590
その他 60 50
 計 1億3400 1億2500

表4 性質別作付け面積(万ha)
2009年 2008年
除草剤耐性 8360 7900
殺虫性 2170 1910
除草剤耐性+殺虫性 2870 2690
その他 わずか わずか
1億3400 1億2500