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今月の潮流●2009年のGM作物栽培状況
2月23日、ISAAA(国際アグリバイオ事業団)による「年次レポート」の2009年版が発表され、昨年のGM作物の実績が示された。それによると、2009年にはGM作物は25カ国、1400万戸の農家によって作付けされ、その90%が途上国の農家だった。また、栽培面積は前年よりも約7%、900万ha増加して1億3400万haになっている。
今年のレポートでは、昨年、中国でBtイネとフィターゼ・トウモロコシが承認されたことをトップで報じ、同国での市場拡大を取り上げている。次いでインドでBtナスが承認されたことをあげて、途上国でのGM作物の広がりを前面に出している。またブラジルがアルゼンチンを抜いて世界第2位の栽培国になった。作物では、テンサイが拡大し、GM技術ではスタック品種(除草剤耐性+殺虫性)の増加を取り上げている。その結果、GM品種が占める割合は、世界の大豆畑の4分の3以上、綿畑の半分以上、トウモロコシ畑の4分の1以上、ナタネ畑の5分の1以上になったとしている。 〔ISAAA 2010/2/23〕
ISAAAの年次レポートは、もともと宣伝効果をねらったものであり、数字の根拠が曖昧で誇張されていると環境保護団体から批判されている。例えば、インドのBtナスは栽培の一時停止が決まり、商業栽培の目途は立っていない。米国では、アルファルファ同様GMテンサイの栽培停止命令が出された。スタック品種の増加についても、相変わらず除草剤耐性と殺虫性をあわせもつ作物しかなく、年次レポートが自画自賛するように成功しているとは決していえない状況にある。
表1 遺伝子組み換え作物の作付け面積推移(万ha) |
1996年 |
170 |
1997年 |
1100 |
1998年 |
2780 |
1999年 |
3900 |
2000年 |
4300 |
2001年 |
5260 |
2002年 |
5870 |
2003年 |
6770 |
2004年 |
8100 |
2005年 |
9000 |
2006年 |
1億200 |
2007年 |
1億1430 |
2008年 |
1億2500 |
2009年 |
1億3400 |
(参考:日本の国土面積 3780万ha) |
表2 国別作付け面積(万ha) |
米国 |
6400 |
大豆、トウモロコシ、綿、ナタネ、カボチャ、パパイヤ、アルファルファ、テンサイ |
ブラジル |
2140 |
大豆、トウモロコシ、綿 |
アルゼンチン |
2130 |
大豆、トウモロコシ、綿 |
インド |
840 |
綿 |
カナダ |
820 |
ナタネ、トウモロコシ、大豆、テンサイ |
中国 |
370 |
綿、トマト、ポプラ、パパイヤ、甘唐辛子 |
パラグアイ |
220 |
大豆 |
南アフリカ |
210 |
ナタネ、大豆、綿 |
ウルグアイ |
80 |
大豆、トウモロコシ |
ボリビア |
80 |
大豆 |
フィリピン |
50 |
トウモロコシ |
オーストラリア |
20 |
綿、ナタネ |
ブルキナファソ |
10 |
綿 |
スペイン |
10 |
トウモロコシ |
メキシコ |
10 |
綿、大豆 |
その他* |
10 |
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計1億3400 |
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*その他の国 チリ(トウモロコシ、大豆、ナタネ)、コロンビア(綿)、コスタリカ(綿、大豆)、ホンジュラス、チェコ、ポルトガル、ルーマニア、ポーランド、エジプト、スロバキア(トウモロコシ)
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表3 作物別作付け面積(万ha) |
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2009年 |
2008年 |
大豆 |
6920 |
6580 |
トウモロコシ |
4170 |
3730 |
綿 |
1610 |
1550 |
ナタネ |
640 |
590 |
その他 |
60 |
50 |
計 |
1億3400 |
1億2500 |
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表4 性質別作付け面積(万ha) |
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2009年 |
2008年 |
除草剤耐性 |
8360 |
7900 |
殺虫性 |
2170 |
1910 |
除草剤耐性+殺虫性 |
2870 |
2690 |
その他 |
わずか |
わずか |
計 |
1億3400 |
1億2500 |
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