■2010年4月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●EUがBASF社のGMジャガイモを承認

 ドイツBASF社が開発した、耐病性のGMジャガイモ「Amflora」が、EUの承認を得、栽培や流通が可能になった。EUが現在GM作物の栽培を許可しているのは、1998年に承認されたモンサント社の「MON810トウモロコシ」のみ。〔Business Week 2010/3/2〕

●NGO地球の友ヨーロッパがISAAA報告を批判

 環境保護団体・地球の友(Friends of the Earth)ヨーロッパが、ISAAA報告に対抗するレポートを発表した。報告によると、GM作物は米国や南米で農薬の使用量を増加させ、化石燃料の使用量を増やしている。南米では大豆畑の拡大によって熱帯雨林が消失し、温暖化を加速させている、と述べている。しかもGM作物の99%以上は家畜の飼料に用いられており、食糧問題の解決に寄与していない、と指摘している。ヨーロッパではGM作物の作付け面積が10%以上減少しており、世界中の小規模農家は、有機農業など地球に優しい農業を支持している、と述べている。 〔FoE Europe 2010/2/23〕

●ブルガリアでGM作物栽培規制法可決

 GM作物の栽培規制緩和をめぐり揺れていたブルガリアが、規制強化に向けて動き始めた。同国議会の環境委員会が、GM作物栽培にあたっては、有機栽培農家の農地から7q以上離すこと、ミツバチの巣箱から10q以上離すことを決めた。さらに、科学的調査を行うためにGM作物栽培を5年間禁止する、モラトリアム法案を採択した。 〔Novinite Sofia News Agency 2010/2/17〕

●スイスGM作物栽培規制、3年延長

 スイスでは、2005年にGM作物栽培や流通を5年間禁止することを国民投票で決めた。このたび、その期間をさらに3年間延長することを正式に決定した。〔GMO Compass 2010/2/8〕
●アジア事情
●中国のGMトウモロコシ商業栽培は3年後か

 商業栽培を承認したフィターゼ・トウモロコシについて、Huang Dafang中国農業科学アカデミー・バイオテクノロジー研究所ディレクターは、まだ種子登録が必要であり、実際に栽培が始まるのは3年後になるだろう、との見通しを述べた。このトウモロコシは、飼料に用いると家畜の消化が促進され、飼料効率がよくなるという。〔Business Week 2010/2/24〕

●タイでGMトウガラシとGM大豆の違法栽培発覚

 タイ北部及び中部の平野部で、GMトウガラシとGM大豆の違法栽培が見つかった。農業団体バイオタイと、研究者団体の生物資源保護のためのアカデミック・ネットワークが、タイで栽培されている768の農作物を分析し、明らかになった。 〔The Bangkok Post 2010/2/9〕

●インドで2013年にゴールデンライス栽培へ

 フィリピンにある国際イネ研究所(IRRI)のスポークスマンが、2013年にはインドがゴールデンライスの商業栽培を開始すると述べた。IRRIはすでに、フィリピンとバングラデシュで2012年に栽培を開始するとしていたが、それに続いてインドもまた、栽培に踏み切るという。 〔Food & Beverage News 2010/2/22〕

●インドで企業重視のバイオテクノロジー規制法立案

 Btナス承認で揺れるインドで、新たな法案が波紋を広げている。企業秘密を重視した国家バイオテクノロジー規制局設置法で、それに対して市民団体などから批判が強まっている。市民の側に立つ科学者や内部告発者を認めない内容になっているからだ。科学者ヴァンダナ・シバは、「この法律が施行されると、私たちは食べ物を選択する自由が奪われ、食の安全について話をすることさえできなくなる。もし話をすると、投獄されたり罰金を課せられる。とても民主主義とはいえない」と述べた。〔Thaindian News 2010/2/23〕

●オセアニア事情
●ヴィクトリア州のGMナタネ拡大予測

 モンサント・オーストラリア社は、ヴィクトリア州でGMナタネの作付けが広がるという見通しを発表した。それによると、2008年には62戸が5000haに作付けし、2009年には200戸が2万7000haに作付けした。2010年にはさらに増えるだろう、としている。〔Weekly Times 2010/2/24〕

●西オーストラリア州の技術者が州政府を告訴

 西オーストラリア州の品種改良技術者パトリック・フェルスが、同州政府を告訴した。州政府がGMナタネを導入したため、農業省のナタネ拡大計画が打ち切られ、解雇されたというのが、その理由である。〔Australian Broadcasting Corporation 2010/2/10〕
●アフリカ事情
●タンザニア政府、遺伝子特許取得を批判

 タンザニア政府は、同国の農場で栽培されたソルガムから取り出した遺伝子を、米国政府などが特許化したことを批判した。取り出した遺伝子は、アルミニウム耐性遺伝子で、この遺伝子を導入すると酸性土壌に強い作物ができ、さまざまな作物に応用できるとしている。米国農務省、ブラジル農業省、米ベンチャー企業のアグリカルチュラル・リサーチ社、テキサスA&M社の研究者が共同で見つけ、特許を取得した。この遺伝子特許によってソルガムの価格の高騰をまねき、人々の生活を苦しめ、食糧安保を脅かし、国際協定にも違反する、というのがタンザニア政府の主張である。 〔The East African 2010/2/15〕