■2010年9月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●EUが6種類のGMトウモロコシの輸入承認

 検討中の6種類のGMトウモロコシについて、いったんは6月に欧州農相理事会が食料・飼料目的での輸入承認を否決したが、その後7月28日に欧州委員会が決定を覆して輸入を承認した。決定には栽培目的は入っておらず、10年間の期限付きである。業界は、輸入を認めなければ飼料不足に陥ると述べ、欧州理事会・委員会に圧力を加えていた。輸入が認められたGMトウモロコシの1つは、2007年に期限が切れていたスイス・シンジェンタ社のBt11で、残る5つは、シンジェンタ社が1種類、米デュポン社とダウ・ケミカル社の共同開発が2種類、モンサント社が2種類である。 〔ロイター 2010/7/28〕

●アイルランドで未承認GMトウモロコシ栽培発覚

 アイルランドで、未承認のGMトウモロコシが栽培されていた。このトウモロコシはパイオニアハイブリッド北欧社の「eventNK603」で、6月3日に環境庁に報告され、7月19日に農業・漁業・食料省によって確認された。〔Environmental Protection Agency 2010/7/23〕

●ドイツ州政府がGMジャガイモ栽培停止求める

 ドイツ北部にあるメークレンブルク・フォーアボンメルン州政府農業大臣が、連邦政府の農業大臣イルゼ・アイグナーに対して、EUが認可したGMジャガイモ「Amflora」の栽培を行わないよう求めた。同州は、ヨーロッパで唯一残されたウイルス感染のない種イモの生産地で、健康な種イモ生産が危険にさらされる、というのがその理由である。 〔Till Backhaus 2010/7/28〕

●ウェールズがGMO栽培者の公開登録制度を計画

 英国ウェールズ地方政府は、GM作物の栽培者を登録し、一般市民がその登録にアクセスできる制度を計画している。名前が明らかになるため、栽培者への圧力が懸念されるが、非GM作物栽培者を汚染から守ることができるというのが、その理由である。〔Farmers Weekly 2010/6/23〕

●英国の消費者、GM食品拒否

 英国の消費者研究団体「GFK NOP」が6月6日に行ったアンケート調査で、GM飼料が英国の家畜に使われているのを知っている人が40%以下、GMOフリー飼料で育てた食肉や乳製品に明確な表示を求める人が89%、割高になってもそうした製品を買うという人が72%を占めた。 〔Friends of the Earth 2010/6/15〕

●イタリアで違法栽培のGMトウモロコシ刈り取られる

 グリーンピースは、北イタリアでGMトウモロコシが違法に栽培されているのを発見し、刈り取った。栽培されていたのはモンサント社の殺虫性トウモロコシ「MON810」。遺伝子汚染が懸念されるため刈り取った、とグリーンピース・イタリアの担当者は述べている。
〔Greenpeace International 2010/7/30〕
●北米事情
●違法GM種子販売で、モンサント社に制裁金

 モンサント社が、栽培規制地域にGM種子を販売した行為により、250万ドルの制裁金を支払うことになりそうだ。米国環境保護局(EPA)が指定した、GM作物栽培を規制した地域の農家に、規制の存在を話さずGM綿の種子を販売したため。 〔The Wall Street Journal 2010/7/8〕

●米連邦議員がGMアルファルファを承認しないよう要請

 GMアルファルファの認可は違法であるという、最高裁判決を受けて(先月号参照)、トム・ヴィルサック農務長官に、GMアルファルファの商業化を承認しないよう米国連邦議会議員が申し入れた。申し入れたのは、上院6人、下院50人の民主党の国会議員。もし栽培されれば、他の作物を汚染し、有機農業に被害をもたらす、というのがその理由である。 〔The Des Moines Register 2010/6/23〕


●スーパー雑草制御不能に

 スーパー雑草と呼ばれる、除草剤の効かない耐性雑草が、米ジョージア州の綿産業に大きなダメージをもたらしつつある。同州の綿農家は、数年前まではスーパー雑草をなんとか押さえ込んでいたが、いまや制御不能な状態に陥ってしまった、とジョージア大学の植物の専門家は述べている。 〔Southeast Farm Press 2010/7/6〕

●GM樹木の野外栽培試験を承認した農務省を提訴

 環境保護団体の連合組織は、耐寒性ユーカリの野外栽培試験を認可した米農務省(USDA)を提訴した。このGM樹木は、ArborGen社が申請していたもので、厳しい環境評価を経ないまま南部7州28の試験場(具体的な場所は明らかにされていない)での開花を伴う野外栽培試験が5月12日に認可された。だが、この地域の固有種でないユーカリは、土地の植物種に影響を及ぼすおそれがあり、いったん花粉が飛散して交配してしまえば、抑制できなくなる可能性がある、と原告側は主張している。 〔Center for Biological Diversity 2010/7/1〕

●GMサケの安全審査進む

 米食品医薬品局(FDA)が、成長を早めたGMサケ「AquAdvantage」(AquaBounty Technologies社開発)について、食用として安全かどうか審査し、まもなく承認する見通し。通常のサケは冬の間は成長せず、フルサイズになるまでに3年を要するが、このサケは通年で成長する魚の遺伝子が組み込まれ18カ月で成熟する。開発企業は、繁殖不能にしているので安全に養殖できると主張している。同社は、魚そのものを販売するのではなく、卵を養殖場に販売する予定。認可されれば、食卓に上る初のGM動物となる。 〔McClatchy Newspapers 2010/7/11〕

●バイテク企業、小麦生産量減をGM小麦開発の好機に

 バイテク企業が、この間の米国での小麦生産量の落ち込みを好機と捉え、GM小麦開発に弾みをつけたいと考えている。米モンサント社と独BASF社は合弁事業を拡大し、GM小麦を開発すると発表した。〔The Wall Street Journal 2010/7/7〕