■2010年11月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●GM汚染
●農業生物資源研がカルタヘナ法違反

 茨城県つくば市にある独立行政法人農業生物資源研究所が、GM作物を栽培している温室の天窓を、9月9日と14日の2度にわたって開いたまま実験を行っていたことが判明した。本来実験中は、花粉の飛散などを防ぐため、環境から隔絶した閉鎖状態で行わなければいけない。これはカルタヘナ法違反となる。10月1日、文科省は同研究所に厳重注意した。


●協和発酵キリンの研究所からGMマウス逃げ出す

 東京都町田市にある製薬会社・協和発酵キリンの研究所で、6月25日と7月30日の2度にわたり、遺伝子組み換えマウスが2匹逃げ出した可能性があることが判明した。マウスは不明のままである。カルタヘナ法違反として、文科省が厳重注意した。


●Bt毒素がコーンベルト地帯の河川を汚染

 ノートルダム大学の生態学者ジェニファー・タンクらのチームが行った研究で、殺虫性トウモロコシがもたらすBt毒素が、河川を汚染していることが明らかになった。詳細は、全米科学アカデミー誌に発表された。トウモロコシを収穫した6カ月後に、コーンベルト地帯にあるインディアナ州の河川217箇所を調査したところ、86%の調査箇所でトウモロコシの葉や茎・花粉を確認し、13%で殺虫性トウモロコシ由来のタンパク質「Cry1Ab」が見つかり、23%で「Cry1Ab」が水に溶けていたという。

 殺虫タンパクが見つかった箇所は、いずれもトウモロコシ畑から500m以内だった。コーンベルト地帯はインディアナ、アイオワ、イリノイの各州にまたがっており、各州の河川はその90%がトウモロコシ畑から500m以内にあり、汚染の日常化が明らかになった。  〔The Independent 2010/9/28〕


●遺伝子組み換え作物
●低濃度でも、ラウンドアップ使用に催奇形性あらわれる

 除草剤ラウンドアップ耐性作物を栽培する際に使用される、除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートを用いた実験で、同成分に催奇形性の毒性があることが明らかになった。これはアルゼンチン・ブエノスアイレス医科大学のカラスコ等が行った、カエルと鶏の胚を用いた実験で、EUの農薬残留基準よりもはるかに低い濃度でも奇形をもたらすことが明らかになった。 〔GMO-Free Regions Conference 2010/9/16〕

●インドで高タンパクGMジャガイモ開発

 付加価値を高める目的で、高タンパクGMジャガイモの開発がインドで始まった。取り組んでいるのはニューデリーにある国立植物ゲノム研究所。食用アマランスから取り出した遺伝子を7種類のジャガイモに導入して実験中である。 〔Hindustan Times 2010/9/21〕

●北米事情
●米農務省がGMテンサイの再承認作業開始

 カリフォルニア連邦地裁の判決によって非合法状態になったGMテンサイについて、米国農務省が再承認作業を開始した。これに対して農業団体、消費者団体は、公示も意見募集も環境影響評価のやり直しもないまま進行させていると、農務省のやり方を強く批判している。〔The Center for Food Safety 2010/9/2〕


●米国で非GM食品販売月間スタート

 米国で、10月を連邦non-GMO月間と名づけ、オーガニック食品などを扱う店が580以上参加する取り組みが始まった。各店舗では、食品に「non-GM食品と確認」というシールを貼り、消費者に非GM食品をアピールしている。 〔The Non-GMO Project 2010/9/10〕


●人工合成細菌に米国諮問機関、支持せず

 米国クレイグ・ベンダー研究所が作り出した、人工合成したDNAを、あらかじめ不活化した細菌に導入して作り出す合成生命について、米オバマ大統領は大統領諮問委員会に諮問した。その結果、過半数が規制を求め、開発を支持したのは36%だった。 〔Live Science 2010/9/9〕


●米国でGM種子販売にかげり

 種子代が高い割には省力効果が低下してきたため、米国のGM作物種子の販売にかげりが出てきた。GM作物栽培地帯のイリノイ州では、トウモロコシのGM比率が84%から82%に減少し、大豆では90%から89%に減少した。ゆっくりではあるがGM種子から非GM種子への転換が起き始めている。 〔Dairy Tech 2010/10/5〕