■2010年11月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●スウェーデンでGMジャガイモ違法栽培

 スウェーデンで、未承認のGMジャガイモ「Amadea」が、先にEUで承認されたGMジャガイモ「Amflora」とともに屋外の畑で栽培されていたことが明らかになった。今年6月11日に見つかったもので、欧州委員会が開発者であるドイツのBASF社に説明を求め、スウェーデン当局は作物の撤去を求めている。ドイツとチェコでも同様の事態が起きていないか、調査が始まった。また、ドイツのメクレンブルク・ベストポメラニア州は、実験に用いる「Amflora」の種子配布を止めると同時に、同州環境大臣はBASF社の管理能力への信頼は地に墜ちた、と述べた。 〔Newcomers Network 2010/9/8ほか〕


●ルーマニアで市民団体が農業大臣罷免を求める

 9月6日、ルーマニアの70を越える環境保護活動などに取り組む市民団体が連名で、新しく就任した農業大臣Valeriu Tabaraの罷免を求めた。その理由は、同大臣がモンサント社などバイテク企業と癒着しており、同国の農業に悪い影響をもたらす、というもの。〔Agence France Press 2010/9/7〕
 そのルーマニアで、環境大臣Laszlo Borbelyが、GM作物栽培を5年間禁止する覚え書きに署名した。これに対して、農業大臣が激しく批判し、反対の意向を表明した。 〔Bucharest Herald 2010/10/3〕


●イタリアの農業団体がGM作物禁止を求める

 イタリアの各地域の農業団体代表が集まり、GMトウモロコシ栽培禁止を農業大臣に求める決議を満場一致で採択した。イタリアでは現在、共存法ができるまでGM作物栽培は禁止されている。しかし、共存法の行方をにらんで、一部でGMトウモロコシ栽培を強行する農家があらわれている。強行した農家に対してイタリアの裁判所は、2万5000ユーロの罰金を科し、作物を引き抜くよう求めた。農家は、上告するとしている。〔Thomson Reuters 2010/9/30〕
●アジア事情
●マレーシアのGM蚊野外放出をめぐり激しい論争

 マレーシアで認可申請が出されているGM蚊の試験放出に対して、環境影響などを危惧する消費者団体が、却下するよう国家バイオセーフティ委員会に求めている。マレーシア医学研究所(IMR)が申請しているもので、蚊が媒介するデング熱などの病気を予防するのが目的。殺虫遺伝子を持つGM蚊(ネッタイシマカ)の雄を放し、野生の雌と交尾させて、子孫が生き残れないようにする計画だという。消費者団体は、雌雄判別技術が完全ではないため、病気を媒介する雌が放される可能性があることや、環境中にテトラサイクリン(畜産業で一般的に使われる抗生物質)が存在すると、GM蚊と交尾しても子孫が死なない可能性があること、などを危惧している。また環境保護団体は、国民の健康に及ぼすリスクが高すぎると批判。これらの批判に対して厚生大臣Datuk SeriLiowLaiは、現在一般の人たちの意見をまとめているところであり、その結果がまとまるまで野外に放出することはない、と述べた。 〔New Straits Times 2010/9/12ほか〕


●インドでGM作物許認可権の中央集権化に州政府が批判

 インド政府が提案している国家バイオテクノロジー規制局(BRAI)設置法案に、各州から強い反対の声が上がっている(2010年4月号参照)。今国会で法案の審議が予定されているが、GMO認可・規制権限をBRAIに全面的に与えるなど、州政府の自治権を侵害するものだとして、マッディヤ・プラデーシュ州をはじめ、オリッサ、ケララ、アッサムなどの各州が反対している。また、バイオテクノロジーを推進する科学技術省バイオテクノロジー局の中にBRAIを置くという提案にも、利害の対立を懸念する声があがっている。 〔The Hindu 2010/8/21〕


●フィリピンの農家、GMトウモロコシで健康被害か

 10月4日、GMトウモロコシ栽培地帯にある、ルソン島北部コルディエラ山地カガヤンバレーなどで、GMトウモロコシを食べた人々や家畜に下痢などの症状が起きたとして、農家が農業省に調査を申し入れた。 〔Manila Bulletin 2010/10/4〕


●GMナス反対運動、インドからフィリピンへ

 世界最大のナス生産国フィリピンで、モンサント社が開発したGMナスをめぐり、農民の間で危機感が広がっている。このGMナスは、インドで大規模な反対運動が起きたため、フィリピンでの栽培に切り替えられた経緯がある。インドから科学者を招くなど、フィリピンでも反対運動が広がりつつある。 〔Manila Bullerin 2010/10/1〕
●企業動向
●パイオニア社、アフリカの種子販売会社の株式取得

 パイオニア・ハイブレッド社が、南アフリカを拠点にアフリカに販売網を持つ種子企業パナル・シード社の株式大半を購入した、と発表した。同社は、デュポン社の系列にあり、モンサント社に対抗した、アフリカへの種子販売戦略を展開するためと思われる。〔The Des Moines Register 2010/9/15〕

●遺伝子組み換え生物
●GM豚、米国・カナダで食品申請

 カナダ・ゲルフ大学が開発したGM豚は、飼料にリンを補う必要がないことから、リンの排出量が少なくなり、環境への負荷が少なくなるということで、環境(エンバイロメント)と豚(ピッグ)を組み合わせて「エンバイロピッギー」と名づけられた。開発者のセシル・フォルスバーグは、米国食品医薬品局とカナダ保健省に食品として申請したことを明らかにした。〔Canadian TV 2010/9/25〕