■2010年12月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●GMO表示
●仏大手スーパー・カルフールがGM飼料不使用表示開始

 フランスの大手スーパーマーケット・チェーンのカルフールが、肉や卵、養殖魚などへのGM飼料不使用表示を開始した。同チェーンのフランス国内の店舗約300店、300以上の製品に表示される。〔Just Food.com 2010/10/25〕


豪州スーパーの粉ミルクに環境保護団体がGMO表示貼付

 環境保護団体オーストラリア・グリーンピースは、スーパーマーケットのウールワースで販売されている粉ミルクに、「GM粉ミルク」の表示を貼り付けた。オーストラリアで人気があるこの粉ミルクは、同団体の検査で繰り返しGM大豆が検出されていたが、表示していなかった。〔Greenpeace Australia Pacific 2010/10/26〕

●遺伝子組み換え作物
●収穫量の少ないスマート・スタック

 除草剤耐性と殺虫性の遺伝子を一度に8つ導入する「スマート・スタック」品種が、思い通りの成果を上げていないことが明らかになった。9月下旬に、モーガン・ジョセフ社のアナリストとモンサント社の農業学者が共同で評価してわかった。当初、1エーカー(約0.4ヘクタール)あたり300ブッシェル(1米ブッシェルは約35リットル)の収穫が期待されていた。しかし、遺伝子を3つ導入した品種の収穫が175ブッシェルで、8つ入れた品種は期待された半分の160ブッシェルだった。〔Medill Report Chicago 2010/10/19〕

●モンサント社
●モンサント社、除草剤使用量増加に対策費用

 米国では、除草剤耐性雑草の広がりとともに除草剤の使用量が増加しているため、モンサント社が増加分相当を対策費用として提供していることが明らかになった。10月19日に、GM綿栽培農家に初めて適用された。〔The Des Moines Register 2010/10/19〕

●生命特許
●米国政府が遺伝子特許を認めない見解

 米国司法省は従来の方針を見直し、遺伝子の特許を認めないとの見解を示し、産業界に波紋が広がっている。この見解は、乳癌と卵巣癌の2つの遺伝子にかかわる訴訟で、司法省が裁判所に提出した書面において示した。遺伝子の特許は、研究を阻害し、モンサント社のように独占禁止法に問われるケースを引き起こすなど、問題点が指摘されてきた。しかし、これまで米国政府が国家戦略として掲げてきただけに、その変更は衝撃的であり、とくにバイオ産業界に与える影響は大きい。〔The New York Times 2010/10/29〕

●国際条約
●生物多様性条約COP10、名古屋議定書合意で閉幕

 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が終了し、「名古屋議定書」と「愛知ターゲット」が合意された。COP10での課題は2つあり、1つが遺伝資源から得られる利益の配分(ABS)問題で、2つ目が生物多様性保護の国際目標の設定である。議論は難航、COP10最終日の10月29日夜、閉会式が始まった段階でも、成立するかどうか微妙な状況だった。結局、延々と続いた議論は30日未明にまでずれこみ、ABS問題は「名古屋議定書」として採択され、生物多様性保護の目標設定も「愛知ターゲット」として採択され、主要テーマはことごとく合意を得ることに成功した。合意に至った背景には、日本など先進国が巨額の支援を打ち出したことがあった。先進国がカネで合意を勝ち取ったといえなくもない。