■2012年3月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●フランス政府が正式にGM作物栽培禁止を継続

 フランスではEUが認可しているモンサント社のGMトウモロコシ「MON810」を2008年栽培禁止にした。これに対して昨年欧州司法裁判所が、また同国最高裁も、「MON810」の栽培禁止を違法とする判断を下した。2012年に栽培禁止期間が終了するが、昨年末、サルコジ大統領が「政府はGM作物栽培反対の姿勢を維持する」と述べたのに続いて、環境大臣と農業大臣が正式に栽培禁止措置を今年も継続すると発表した。 〔Thomson Reuters 2012/1/13〕

●欧州食品安全機関、Btトウモロコシの悪影響を認定

 欧州食品安全機関(EFSA)のGMO審議会はこのほど、パイオニア・ハイブリッド社とマイコジェン・シード社の殺虫性トウモロコシ「1570」について、対象以外の昆虫に害を及ぼすことを認める意見書をまとめた。2005年にまとめた、「1507」に問題はないとする意見書と異なり、今回は、「殺虫成分に非常に敏感な、駆除対象ではない鱗翅目(チョウ目)の昆虫が、(幼虫期に餌とする植物の葉に落ちたGMトウモコロシの花粉を摂取した場合)害を被る可能性がある」と述べている。しかし、こうした潜在的なリスクは軽減可能であるとして、「1507」の栽培認可は支持している。 〔GM Freez 2011/12/13〕


●ブルガリアで、市販の家畜飼料からGMO検出

 ブルガリアで、市販の家畜飼料からGMOが検出された。同国ヴァルナの研究機関である「持続可能な発展のための公共環境センター(PECSD)」の調査で、ブルガリア産大豆ミールなど5種類の飼料に、モンサント社の除草剤耐性大豆が5%以上混入していた。同国およびEUの法律では、0.9%以上のGM原料が含まれる飼料には表示が義務付けられている。ブルガリア農務省は、GM飼料がルーマニア経由で輸入され、市場に流通していたことを明らかにした。ブルガリアは、2010年3月にGM作物の栽培禁止を決めている。 〔Novinite 2011/12/12〕
●北米事情
●GMアルファルファ栽培に緩衝帯必要なし

 GMアルファルファが栽培されると、蜂などの昆虫による受粉の際、遺伝子汚染が起きるおそれがあるとして、栽培禁止を求めて農家が訴えていた裁判で、GMアルファルファ栽培にあたっては緩衝区域を義務付ける必要はないとする政府見解を支持する判決を米国連邦地方裁判所が下した。米国では、モンサント社が開発した除草剤耐性アルファルファについて、環境影響評価が不十分として2007年3月に一旦、栽培禁止の判決が下りたが、農務省(USDA)が2011年1月に栽培を承認し、禁止措置が解除された。これに対して一部の非GMアルファルファ栽培農家が裁判に訴えていた。 〔San Francisco Chronicle 2011/1/7〕

●モンサント社の2種類の種子解禁へ

 米国農務省(USDA)は、モンサント社の乾燥耐性トウモロコシ「MON87460」と、脂肪酸生産量を増やした除草剤耐性大豆の規制を解除する方針を明らかにした。モンサント社は今年、栽培実験を行い、申請のためのデータ収集をはかるという。 〔Truthout 2011/12/22〕

●モンサント社を相手取り、有機農家が特許権裁判を提起

特許をめぐり、有機農家がモンサント社を相手取り裁判を起こした。1月31日、ニューヨーク南部地区連邦地裁で審議がはじまる。メイン州のジャガイモ農家ジム・ガリットソンらは昨年3月、モンサント社のGM作物にかかわる特許の有効性を質し、特許権侵害で訴えられることから農家を守るのを目的として提訴した。原告には、有機農業種子生産業者や種子販売組合、それに公共特許財団が加わっている。 〔Sustainable business 2012/2/1〕

●米国農務省、日本のGMパパイヤ承認遅滞を非難

12月5日、ハワイから日本に向けてGMパパイヤ「レインボー」が初めて出荷された。これはすべて、日本で展開している米国系資本で会員制のスーパー「コストコ」で販売。1248箱(1箱5ポンド(2270グラム))が販売用、32箱がサンプル用として出荷された。コストコ以外には出荷されていない。 〔The Packer 2012/1/30〕
 ハワイ産GMパパイヤ解禁について米国農務省は、日本政府の承認が申請(1999年)から10年以上もかかったため、1000万ドルあった日本への輸出量が200万ドルまで減少したと指摘した。 〔Fruit Net 2012/1/6〕

●米国の消費者団体がGMスイートコーン不売キャンペーン

 全米規模の消費者団体「食品と水監視(Food&WaterWatch)」は、モンサント社のGMスイートコーンを販売しないよう、流通業者などに働きかけるキャンペーンを開始した。この呼びかけに応じて、世界最大のスーパーマーケットのウォルマートが、GMスイートコーンを扱わないと表明した。 〔Digital Journal 2012/1/19〕
●南米事情
●ペルーのGMO禁止措置法公布

 ペルー議会は11月4日、今後10年間にわたりGMOの栽培流通などを禁止するGMO栽培禁止措置法案を可決〔本誌2012年1月号〕、12月9日付官報に記載し公布した。ただし、この法律では、研究目的の閉鎖系での生きた組み換え生物(LMO)を用いた実験は対象外となっている。 〔Third World Network 2011/12/23〕
●アジア事情
●フィリピンでGM食品表示法案審議始まる

フィリピン議会が、GM食品表示義務法案の審議を開始した。議会プレスリリースによると、これはフィリピン消費者の権利と福祉を守るためのものであると説明している。また同法案では、すべてのGM作物とそれを原料にした加工食品の表示を対象としている。〔Visayan Daily Star 2012/1/17〕

●パキスタン州政府がBt綿交渉中止

パキスタン最大の綿生産地であるパンジャブ州政府は、モンサント社とのBt綿導入交渉を中止した。次々と明らかになっているBt綿の問題が原因とみられる。州政府がとくに問題視しているのが、綿栽培最大の脅威の葉巻ウイルス病に対してBt綿は役に立たないことだ、と同州農業省高官は述べている。パキスタン種子協会は、GM種子は国立種子機関の存立を脅かすおそれがあり、それが回避されたことを評価し、決定を歓迎した。〔Pakistan Today 2012/1/7〕

●インドの農業団体がBt綿栽培禁止を求める

 インド・マハラシュトラ州の農業団体は、同州でのGM作物栽培禁止を連邦政府に申し立てた。同州では400万haにGM綿を作付しているが、当初の見積もりより1000億ルピー減収している。 〔MeriNews 2011/12/22〕

●インド・ケララ州、GM作物の研究も試験栽培も禁止に

 南インドのケララ州は、GM作物の栽培や流通はもちろん、研究や試験栽培も許可しないことを決定した。栽培や流通を認めない自治体は多いが、研究や試験も認めないのはまれである。 〔The New Indian Express 2012/1/9〕