■2012年6月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●GM作物栽培農家、米国政府へ「危険な」除草剤の分析を求める

 4月18日、2000を超える農民と食品加工業者、食品大手セネカなどで結成された団体(SOCC)は、GM作物とそれに用いる除草剤散布によってもたらされる被害について、連邦規制当局に分析を求める法的措置を講じると発表した。現在、米国で広がる除草剤耐性雑草への対抗策として、モンサント社やダウ社は新しい除草剤を開発しているが、対象だけに効かせることは難しく、逆にさまざまなものへの被害拡大が懸念されている。SOCCはGM作物を支持する農民が多く参加しており、GM作物反対ではなく、化学物質の危険性を訴えている。 〔Thomson Reuters 2012/4/18〕

●2,4-D耐性トウモロコシ承認反対の声広がる

 米ダウ・ケミカル社が開発し、承認が間近と見られる除草剤2,4-D耐性トウモロコシに対する反対運動が強まっている。農薬2,4-Dは、ベトナム戦争時に2,4,5-Tと組み合わせて「枯葉剤・オレンジ剤」として用いられ、ベトナム市民や米兵に多くの健康被害を発生させた。反対する市民は、発癌性に加えて、環境ホルモンとして作用する毒性をもち、健康障害をもたらす危険性があるとして、農務省に対して承認しないよう求めた。 〔The New York Times 2012/4/25〕

 米国農務省は、2,4-D耐性トウモロコシの承認に反対するパブリック・コメントを36万5000通受け取ったことを明らかにした。 〔Center for Food Safety 2012/4/26〕
●南米事情
●モンサント社と闘う母親、ゴールドマン環境賞受賞

 モンサント社と闘うアルゼンチンの母親たちの運動のリーダーのソフィア・ガティージャが、国際的な賞であるゴールドマン環境賞を受賞した。13年前、GM作物に用いる農薬の汚染によって、彼女は産後すぐに娘を腎不全で失った。最初は悲嘆に暮れていたが、やがて地域の子どもを守るための闘いに立ち上がり、脅しを受けながらも多くの母親とともに住宅地周辺でのGM大豆の農薬空中散布を止めさせた。〔Pesticide Action Network North America 2012/4/13〕
●GM昆虫
●ブラジル市街地に1000万匹のGM蚊放出

 ブラジル市街地で、1000万匹を超える大量のGM蚊が放出されたことが、3月29日にリオ・デ・ジャネイロで開催されたワークショップで明らかになった。オキシテック社が開発したデング熱対策蚊が、人口28万8000人が住む都市ジュアゼイロに放出された。 〔SciDev.Net 2012/4/10〕

 同じデング熱対策GM蚊の放出実験が予定されている米国では、反対運動が強まっている。4月19日、環境保護団体は連盟で、実験予定地のフロリダ州知事あてに、実験中止を求める文書を送付した。
〔Keys Environme 2012/4/19〕

●メキシコでは新しいGM蚊を放出

 メキシコでは、これまで繰り返し放出実験が行われているオキシテック社のGM蚊とは異なる、新たなデング熱対策蚊の放出実験が行われた。これは米カリフォルニア大学の生物学者アンソニー・ジェームズらの研究チームが行ったもので、用いたGM蚊は雌の蚊で、飛べないように改造されており、そのためデング熱対策になるという。 〔The Toronto Star 2012/4/20〕
●GM動物
●中国でヘルシー仔羊開発

 中国で魚の遺伝子を導入し、オメガ3脂肪酸を多く含ませたGM仔羊が開発された。この仔羊は、1カ月前に新疆の研究所で誕生し、「彭彭」と名づけられた。ヘルシーさを売り物にしており、北京ゲノミクス研究所のYu tao Duは、すでに量産できる体制にある、と述べている。 〔The Daily Telegraph 2012/4/24〕
●GM樹木 
●GMユーカリ、ブラジルで植林へ

 スザノ製紙(Suzano Papel e Celulose S.A.)傘下のFuturaGene社が、ブラジルにおいてバイオマス発電を目的としたGMユーカリ植林の承認を得た。このユーカリは、発電と製紙用パルプ生産を兼ねており、成長を早めたものである。 〔Business Week 2012/5/2〕

●GM食品表示
●トルコがGM飼料由来食品の表示へ

 GM飼料で飼育された家畜などから作られる食品への表示が、トルコで導入されることになりそうだ。メフディ・エケル農業大臣は、トルコの消費者が購入する肉、ミルク、卵、チーズなどへ食品表示が行われるようになるだろう、と述べた。 〔Hurriyet 2012/4/18〕


●米州議会委員会がGM食品表示法案を可決

 4月20日、米国バーモント州議会下院農業委員会は、GM食品表示法案を可決した。法案が施行されるには、さらに下院司法委員会、下院本会議、上院、知事の承認が必要なため、法律として成立するかどうかは不透明である。 〔Burlington Free Press 2012/4/20〕


●住民提案のGM食品表示法案、州民投票へ

 米国カリフォルニア州では、11月6日の大統領選と同時に行われる市民発議の州民投票に、GM食品表示法案がかけられることになりそうだ。これまで発議に必要な署名運動がすすめられてきたが、最低限必要な55万5236筆を超え、97万1126筆が集まった。10週間で100万に近い数が集まり、表示制度成立に向けた動きにはずみがついている。 〔Food Freedom News 2012/5/3〕