■2004年2月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●クローン
クローン牛約300頭が食卓に!

 体細胞クローン牛を食品として認可する動きが強まっている。そのような状況下、農水省が昨年11月21日、9月末時点での「家畜クローン研究の現状について」を発表した。
 すでに市場に出た受精卵クローン牛は、247頭で、不明が65頭にのぼるため、300頭近くが私たちの食卓に出た可能性がある。体細胞クローン牛に関しては、相変わらず死産・生後直後の死亡が多く、出生した牛の約3分の1しか生存していない。クローン豚やクローン山羊づくりも進んでおり、すでに豚は36頭も誕生している。
 受精卵クローンとは、受精直後の16細胞期くらいまでの胚を分割して、それぞれ別の代理母牛の子宮に入れて出産させるクローン個体のこと。分割したそれぞれの卵から生まれた牛たちがクローンである。これに対し体細胞クローンとは、生殖細胞以外の細胞の核遺伝子をあらかじめ核を取り除いた未受精卵に入れ、子宮に入れて出産させるクローン個体のこと。この場合は体細胞の提供牛と誕生した牛がクローンである。


表1 クローン家畜の現状 (単位:頭)
受精卵
クローン牛
全出生頭数 686
 死産 73
 生後直後の死 30
 病死など 96
 事故死など 68
 売却された牛
  ・食肉となったことが確認された牛
  ・農家で飼育中
  ・不明
319
(247)
(7)
(65)
 育成・試験中の牛 100
受胎中の牛 2
全出生頭数 367
 死産 58
 生後直後の死 50
 病死など 66
 事故死など 56
 育成・試験中の牛 137
受胎中の牛 49
体細胞クローン豚 出生頭数 36
体細胞クローン山羊 出生頭数 5

●遺伝子組み換え作物
スターリンクの混入つづく

 農水省が行った家畜用飼料の検査で、米国産トウモロコシから相変わらず、アベンティス社(現バイエル・クロップサイエンス社)が開発した殺虫性トウモロコシのスターリンクが検出されていることが明らかになった。昨年12月19日に農水省消費・安全局が発表した。スターリンクは有害性が指摘されたため、2001年以降は作付けが行わ
れていない。混入の割合は減少しつつあるが、ゼロにはなってない。

表2 スターリンク汚染の実態
2000年上半期 20/30検体(66.7%)
    下半期 34/72検体(47.2%)
2001年上半期 8/53検体(15.1%)
    下半期 5/45検体(11.1%)
2002年上半期 4/42検体(9.5%)
    下半期 5/69検体(7.2%)
2003年上半期 3/77検体(3.9%)


●遺伝子組み換え樹木
GM樹木で温暖化防止?


 イタリア・ミラノで昨年12月1日から開かれた、国連気候変動枠組条約締約国会議で、先進国が途上国で行っている植林事業を自国の二酸化炭素削減分と見なすルールが合意された。会議では、EU諸国や環境保護団体から、植林による長期的な削減効果への疑問や、遺伝子組み換え樹木や外来種の植林は生態系を破壊するという意見が出され、論争になった。しかし、気候変動枠組条約京都議定書の発効を優先したEU諸国が譲歩して合意がなされた。GM樹木や外来種の植林を排除しなかった点に関して、環境保護団体は強い懸念を示した。〔ロイター 2003/12/9〕